「論文やレポート作成に必要なデータを効率的に収集したい」このようなお悩みをお持ちではありませんか。
卒論や論文といった学術研究は、ある特定の物事について、人間の知識を集めて考察し、実験・観察・調査などを通して調べて、その物事の事実を深く追求する一連のプロセスのことです。
そのため筋道が通った論理性の高い考察を導き出すには、根拠となるデータ収集が欠かせません。しかし、今やインターネットでは星の数ほどの情報が公開されているため、その中から必要な情報だけを取捨選択するのは容易ではないでしょう。
本記事では、論文作成・レポート作成のデータ収集を効率化したい方に向けて、おすすめのデータ収集方法を解説します。データ収集に費やす時間を短縮すれば、その分考察に時間を掛けることができますので、ぜひ参考にしてください。
1.卒論、研究、レポート、論文作成する際のデータ収集の流れ
学術研究のデータ収集の流れとして、やってしまいがちなのが「使うかどうかわからない資料・文献をとにかく大量に集め、その中から使えそうなデータを抽出する」という方法です。
しかしこの方法では、本当に必要なデータを集めきれない可能性があるため、最終的に出来上がった論文は、根拠が乏しいものになる可能性が高くなります。質の高いデータ収集(インプット)が、質の高い論文(アウトプット)につながります。
それでは、どのようなステップでデータ収集を進めれば良いでしょうか。具体的には次の4ステップで進めていきます。
1.テーマの決定
2.キーワードの調査
3.関連資料の調査
4.資料の入手
続いて各ステップの詳細を解説します。
1.1テーマの決定
いきなりデータ収集から始めるのではなく、まずはテーマを決めることが最優先です。学術論文のテーマとは、すなわち「知りたいことを明確にすること」です。
テーマが抽象的なままでは、その後のデータ収集の精度にも影響し、結果として論文の完成度につながります。そのため、論文を書き始める前には具体的なテーマ設定が大切です。
具体的なテーマとは、狭く・深く掘り下げるということです。たとえば、ファッションというテーマでも、ジャンル・素材・時代などがありますし、さらにジャンルでもカジュアル・モード・ラグジュアリーなどに分けられます。
テーマを決める際は、まずはどんなキーワードが考えられるかすべて書き出し、そこから一つを選んだり組み合わせたりして設定すると良いでしょう。
1.2キーワードの調査
テーマを設定したら、テーマに関連するキーワードを情報媒体を通じて調査していきます。最も手軽なのはインターネット検索ですが、インターネット記事の中には信頼性が乏しい情報も少なくありません。
またインターネットは基本的に広く・多くの人に閲覧してもらうことを前提にしているため、情報の質として専門性に欠けるケースもあります。より専門性を求めるのであれば、事典や専門書などの書籍が有効です。
インターネットでリサーチする場合は、いつ・誰が・どんな目的で発信したかがわかるものを利用するようにし、具体的には政府機関・自治体・研究機関などの情報を優先しましょう。
このように効率よく情報収集を行うためには、目的に合った情報媒体を使い分け、それぞれの媒体の信頼性を見極めることが大切です。
1.3関連資料の調査
学術論文で、より深い考察・洞察を得るには、テーマの直接的な情報だけではなく、関連情報を含めて広く調査します。多面的に調査することで、新しい視点や気づきを得ることができます。
関連資料を調査する方法としては主に、図書・論文・新聞記事があります。それぞれ特徴が異なるため、用途にあわせて使い分けると良いでしょう。
1.4資料の入手
手がかりとなる資料が見つかったら、公共図書館などで蔵書を探します。図書館には蔵書検索端末が設置されているため、そこで目的の蔵書があるか確認できます。
さまざまな研究者や専門家の見解や視点を広く知ることで、自身の関心や疑問が明確になります。データ収集をしていくうちに、新たな疑問が生じることもあるので、その際は再び情報収集を行い、学びを深めていきます。
2.学術研究に用いる一次データと二次データの違い
学術研究では、一次データ、二次データを扱います。一次データとは、調査目的に合った方法で自分たちが独自に調査した情報のことで、二次データとはすでに公開・販売しているデータのことを指します。
それぞれ特徴が異なるため、用途に合わせて使い分けが重要です。両者の違いを以下の表にまとめています。
一次データは学術研究の目的に合わせて自由に調査できるため、情報の質も自由度も高くなります。他にはない視点で得られた調査結果は、説得力の大きいものになるでしょう。
ただし、自分たちで自ら仮説を立てて調査をしなければならないため、調査に掛かる手間・時間の負担が大きい点がネックです。
一方、二次データの場合は費用を支払えば誰でも購入できますし、中には無料で公開しているデータもあります。しかし、データによっては調査目的に一致しない可能性もありますので、あくまでも補足的に使う方が望ましいでしょう。
3.一次データ・二次データの入手方法
一次データや二次データをどのように入手すればよいかわからない方に向けて、ここでは各データの入手方法を解説します。
3.1 一次データを入手する方法
一次データを入手する方法は、主に次が挙げられます。
1.アンケート
2.インタビュー
3.スクレイピング
1つずつ解説します。
アンケート
アンケートは、あらかじめ質問項目が書かれたアンケートを作成し、対象者から回答を得る調査方法です。回答結果を収集することで傾向や特徴をつかむことができます。自由項目ではなく10段階評価などにすることで、定量での結果分析が可能です。
アンケートによる調査方法はいくつかの種類があります。たとえば、インターネットアンケート、電話アンケート、街頭アンケートなど回答方法は多岐に渡ります。
Googleフォームなどを用いれば、アンケートをかんたんに作成でき、URLひとつで回答を求めることができます。
インタビュー
インタビューは、対象者と対面による会話形式で行われる調査です。対象者から自由な回答を得ることができるため、より深い部分まで調査ができます。ただし、インタビューは1人に掛かる時間が長くなるため、回答母数を増やすことは難しい手法です。また母数が少ない分回答結果が属人的になりやすく、客観性に乏しい面があります。
Webスクレイピング
Webスクレイピングは、Webサイト・Webページから任意のデータだけを自動で抽出する手法です。Webスクレイパーと呼ばれるスクレイピングボットが、Webページからデータを正確かつ迅速に抽出します。
従来人間が手作業で行っていた抽出作業を自動化するため、データ収集に費やす時間・労力を大幅に削減します。Webスクレイピングは、ニュースポータル、ブログ、フォーラム、Eコマースサイト、ソーシャルメディア、不動産、財務報告、学術研究などさまざまな分野で広く使われています。
Webスクレイピングを自力で行うには、Pythonなどのプログラミングスキルの習得が必要でしたが、近年ではノーコードでWebスクレイピングを実行できる、Webスクレイピングサービスも登場しています。Webスクレイピングツールの中でも、Octoparse(オクトパス)は世界的にユーザーを抱えています。
Octoparseのメリットは、優れたUI/UXデザインにより直感的な操作だけで、Webスクレイピングを実行できるうえ、テンプレートが豊富なので選択して任意のURLをいれるだけでWebスクレイピングを実行できます。
3.2 二次データを入手する方法
二次データを入手する方法は、主に次が挙げられます。
1.図書館
2.公的な機関の公開データ
3.データ購入
4.こちらもそれぞれ解説します。
公共図書館
公共図書館は自治体が運営している施設で、誰でも無料で利用できます。図書館には、過去の研究論文や書籍などの文献がたくさん置かれていますので、より多面的・専門的な情報を収集できます。膨大な数の蔵書から、求めるものを効率的に見つけるには、国立情報学研究所が運営する「webcat plus」がおすすめです。
webcat plusではテーマにあった図書・雑誌を見つけることができ、さらに関連キーワードから連想される書籍を探すことも可能です。
公的機関の公開データ
政府機関・国際機関・自治体・研究機関などでは、独自の調査結果を公式サイト上で公開しています。公的機関が調査・公表しているだけあって、情報の網羅性や信頼性が非常に高く、エビデンスとしても十分活用できます。
論文記事を探す際は、CiNii Researchがおすすめです。CiNii Researchは世界中の文献から、期間リポジトリ等の研究データなどさまざまな情報を検索できます。
データ・レポート購入
図書館や公的機関の公開データだけで十分なデータ収集ができなかった場合は、必要に応じて購入する方法もあります。
たとえば、矢野経済研究所では、ビジネス分野の市場規模・企業シェア・将来予測・主要プレイヤーの動向など、マクロ・ミクロの視点から総合的に調査・分析した「マーケットレポート」を販売しています。
また、OctoparseではWebスクレイピングによるデータ取得代行サービスを提供しています。自身でWebスクレイピングツールを使って上手くデータを取得できない場合は、Octoparseに依頼いただくことで、指定のデータを購入することが可能です。
抽出するサイト・データなど自由にカスタマイズも可能で、高品質なデータを短納期で納品します。
詳細は以下をご覧ください。
4.まとめ
本記事では、論文作成・レポート作成のデータ収集を効率化したい方に向けて、データ収集の流れから具体的な収集方法まで大まかに解説しました。
学術研究をする際に大切なことは、いきなりデータを集めることが始めるのではなく、「何を知りたいのか」「どういったことを深く追求したいのか」といったように、ゴールを決めることです。狭く深く情報を集め、さらに関連した情報をつなぎ合わせることで、より示唆に富んだ考察が得られます。
そのような考察に時間を掛けるためにも、情報収集に掛ける時間は効率化・省力化を図るべきです。本記事でも紹介したツールを使えば、より短時間で目的の文献やデータを見つけることができますので、ぜひ活用してみてください。
WebスクレイピングツールOctoparseは個人利用であれば無料で使えるため、学術研究やレポート作成におすすめです。その他、学術研究におすすめのツールを知りたい方は以下の記事もご覧ください。