YouTubeは月間のアクティブユーザーが世界で25億人、日本でも7,000万人を超える人気の動画共有プラットフォームです。
そのため、YouTubeにはさまざまな情報が詰まっており、これを収集・分析することで、コンテンツの改善やマーケティング戦略の策定に役立てることができます。
本記事では、YouTubeのデータ(主に動画内のコメント)をスクレイピングで自動取得する方法を解説し、その活用方法についても詳しく解説します。
YouTubeデータを活用した分析手法や応用例
YouTubeには再生回数や視聴時間、チャンネル登録者数など、ビジネスやマーケティングに活用できるデータが豊富に存在します。これらのデータを分析することで、ユーザーの関心や行動傾向を把握し、効果的な施策を打ち出すことが可能です。
ここでは、YouTubeデータを活用した分析手法や応用例を解説します。
再生回数や動画時間データ
YouTubeの再生回数や動画時間は、動画の人気度やエンゲージメントを測る重要な指標です。これらを組み合わせることで、動画の再生数と動画時間の関係を分析することができます。
例えば、同コンテンツの10分の動画と、1時間の動画の再生回数を比較することで、動画の最適な時間尺の分析が可能です。
また、サムネイルの色遣いと再生回数、動画タイトルと再生回数等、さまざまな指標を分析することで、視聴者に対して魅力的な動画を作成することができます。
チャンネル登録者数の推移データ
チャンネル登録者数の推移は、自身のチャンネルの影響力を測る上で重要な指標です。登録者数が増えている場合、コンテンツが視聴者に受け入れられている証拠となります。一方で、減少傾向にある場合は、コンテンツの内容や頻度が期待に応えられていない可能性があります。
どのタイミングでどのようなコンテンツが影響を与えたのか分析することで、継続的に成長するチャンネル運営が可能になります。
YouTubeコメント
YouTubeのコメントは視聴者の生の声が反映された貴重なデータです。ポジティブなコメントが多い動画は高評価を得やすく、逆にネガティブなコメントが多い場合は改善の余地があることを示します。
コメント分析では、単語の出現頻度や感情分析を行うことで、視聴者の反応を可視化も可能です。
例えば、「面白い」「感動した」などのポジティブワードが多い場合、動画の内容が好意的に受け入れられていると判断できます。一方、「つまらない」「期待外れ」などのネガティブワードが目立つ場合、改善点を見つける手がかりになります。
また、特定のキーワードが多く含まれるコメントを抽出することで、次の動画作成のヒントを得ることも可能です。視聴者が求めるトピックやニーズを把握し、より魅力的なコンテンツを提供するために活用できます。
WebスクレイピングでYouTubeのコメントを収集する方法
YouTubeのコメント機能は、視聴者の生の声が集まる貴重なデータソースです。しかし、手動で大量のコメントを収集するのは時間と手間がかかります。そこで役立つのが「Webスクレイピング」です。
ここでは、スクレイピングツール「Octoparse」を活用したYouTubeコメントの取得方法を解説します。
OctoparseのYoutubeテンプレートを利用する
Octoparseには、特定のウェブサイトからデータを抽出する設定があらかじめ用意されている「スクレイピングテンプレート」があります。
例えば、食べログやTiktokのテンプレートを使えば、数クリックで簡単にデータ収集を開始できます。YouTubeに特化したテンプレートもあり、YouTubeの動画コメント、視聴回数、いいね数などのデータを簡単に抽出可能です。
参考:【食べログ】Webスクレイピングを使ってうなぎの名店を一括取得
YouTubeコメント抽出手順
ここからは、実際にYoutubeテンプレートを用いたコメント取得方法を解説します。
1.Octoparseのダウンロード
ダウンロードとインストールの手順はこちらを参考にしてください。
ソフトウェア:Octoparse
2.テンプレートの選択
Octoparseのトップページに表示されている検索ボックスに「Youtube」と入力し、スタートをクリックしましょう。
Octoparseのテンプレートから「YouTube」>YouTube Video Comments Scraperを選択します。
3.URLの入力
パラメータ入力タブ内の「Video URL」のボックス内に、スクレイピングしたいYoutube動画のURLを入力します。URLは複数入力可能です。
4.データ抽出
基本情報とパラメータの入力後、「保存して実行する」をクリックします。
「タスク実行」というポップアップが表示されるため、「ローカル抽出」か「クラウド抽出」のいずれかを選択します。クラウド抽出の方が短時間で抽出可能ですが、Octoparse無料版ではローカル抽出のみとなります。必要に応じてプランのアップグレードをご検討ください。
スクレイピングが開始され、実行中の画面に遷移します。後は抽出が完了するまで待つだけとなります。
今回は7分弱で1,000件以上のコメント抽出が完了しました。
5.データのエクスポート
データ抽出完了後、画面右下の「エクスポート」をクリックしてデータをエクスポートします。
エクスポート形式は、Excel、CSV、HTMLとさまざまで、データベースやAWS等のクラウドサービスにも出力可能です。
ここでは、「フォーマットの指定」でExcelを選択し、「はい」をクリックします。
これで、YouTubeコメントのデータ取得作業の完了です。
取得データには、コメントの内容とそのコメントに対するリプライ、コメントユーザー名、いいねの数などがあります。詳しくはYouTube Video Comments Scraperのデータプレビューをご覧ください。
YouTubeコメントを分析する方法
次に、YouTubeのコメント取得後の分析方法について解説します。コメントには視聴者の意見や感情が反映されており、適切な手法を用いることで、視聴者のニーズや動画の改善点を明確にできます。
表計算ソフト
YouTubeのコメントデータを分析する最も簡単な方法は、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトの活用です。
例えば、フィルタ機能による特定のキーワードを含むコメントの抽出や、COUNT関数による文字数カウント、コメントされる期間のグラフなどが考えられます。
マーケティングやコンテンツ改善のための初期分析には非常に役立つ方法です。
ワードクラウド
ワードクラウドは、コメントの中で頻繁に使われている単語を視覚的に表現する手法です。よく使われる単語ほど大きく表示されるため、視聴者が動画に対してどのような関心を持っているかを一目で把握できます。
例えば、無料で利用可能なワードクラウドツール「User Localテキストマイニング」を使って分析すると、以下のような可視化データが取得できます。
感情分析ツール
感情分析ツールを利用することで、YouTubeのコメントをポジティブ・ネガティブ・ニュートラルに分類し、視聴者の反応を数値化できます。
これにより、「動画が好意的に受け入れられているのか」「炎上リスクがあるのか」を客観的に判断でき、コメントのトーンに応じた対策を講じることが可能です。
代表的なツールとして、TextBlobやGoogle Cloud Natural Language API、Amazon Comprehendなどが挙げられます。
例えば、Amazon Comprehendを利用してコメントを分析すると、次のような感情分析が可能です。
message | Sentiment | Positive | Negative | Neutral | Mixed |
---|---|---|---|---|---|
久しぶり?? | NEUTRAL | 0.001690648 | 0.000150736 | 0.998144984 | 1.37E-05 |
いつ見ても肌綺麗すぎる | POSITIVE | 0.992560565 | 0.000888119 | 0.006365485 | 0.000185732 |
うるさくて聞こえない | NEGATIVE | 0.050313979 | 0.936754465 | 0.012837698 | 9.39E-05 |
message:コメント
Sentiment:コメントに対する感情の判定(中立・ポジティブ・ネガティブ・MIX)
Positive/Negative/Neutral/Mixed:コメントに対するそれぞれの数値
BIツール
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを活用すれば、YouTubeコメントのデータをより高度に分析できます。代表的なBIツールには、Amazon QuickSight、Tableau、Power BIなどがあります。
これらのツールを用いることで、コメントの時系列変化や感情分析の推移をグラフ化し、視聴者の反応を可視化できます。
下記は、Amazon QuickSughtを利用した、感情コメントの割合を示す円グラフです。
他にも、YouTubeコメントデータと再生回数・視聴時間・登録者数の推移などを組み合わせた分析も可能になります。これにより、視聴者の行動とコメントの関係性をより深く理解できるため、より効果的なマーケティング施策の立案が可能になります。
まとめ
本記事では、Webスクレイピングを使ったYouTubeコメントの自動取得方法について解説しました。YouTubeのコメントは視聴者の意見を直接知ることができる貴重な情報源であり、スクレイピングを活用することで効率的に収集・分析できます。
Octoparseを活用することで効率的にデータを収集し、効果的な動画制作やマーケティング施策の計画が可能です。本記事の内容を参考に、YouTubeのデータを有効活用してみてください。