はじめに
2023年11月のアップデートにより、遺伝研(DDBJ)のサーバーOSがCentOS7からUbuntuに変更されました。そのため、Rのインストール手順も簡単になりました。
本記事では、遺伝研サーバーのローカル環境にRをインストールする方法を紹介します。
参考:
1. インストールの概要
ユーザー権限でRをインストールできるため、管理者権限(sudo)が不要です。必要なバージョンのRをホームディレクトリ($HOME/local/
)にインストールします。
2. 必要なライブラリのインストール
まず、Rの依存ライブラリであるPCRE2とlibcurlをインストールします。
mkdir -p ~/local/src
cd ~/local/src
# PCRE2 のインストール(Perl-compatible regular expression library)
wget https://github.com/PCRE2Project/pcre2/releases/download/pcre2-10.42/pcre2-10.42.tar.gz
tar zxvf pcre2-10.42.tar.gz
cd pcre2-10.42
./configure --prefix=$HOME/local
make
make install
cd ~/local/src
# libcurl のインストール
wget --no-check-certificate https://curl.se/download/curl-8.4.0.tar.gz
tar zxvf curl-8.4.0.tar.gz
cd curl-8.4.0
./configure --prefix=$HOME/local --with-openssl
make
make install
cd ~/local/src
3. Rのインストール
3.1. 計算リソースの確保
遺伝研サーバーではqlogin
コマンドを使用して必要なメモリを確保できます。
exit
qlogin -l s_vmem=60G -l mem_req=60G
cd ~/local/src
3.2. Rのインストール
以下の手順でRをコンパイル・インストールします。
# Rのバージョンを指定
R_VERSION=4.3.2
R_MAJOR=4
# Rのソースコードをダウンロード\wget https://cran.ism.ac.jp/src/base/R-${R_MAJOR}/R-${R_VERSION}.tar.gz
tar xzvf R-${R_VERSION}.tar.gz
cd R-${R_VERSION}
# Rのコンパイルとインストール
CPPFLAGS=-I$HOME/local/include LDFLAGS="-L$HOME/local/lib -Wl,-rpath=$HOME/local/lib" \
./configure --prefix=$HOME/local \
--with-cairo \
--with-blas \
--with-lapack \
--x-includes=/usr/include/X11 \
--x-libraries=/usr/lib/X11 \
--with-x=no \
--enable-R-shlib
# 並列処理でmakeを実行
qsub -cwd -V -pe def_slot 8 -b y make -j 8
# Rのインストール
qsub -cwd -V -pe def_slot 8 -b y make install -j 8
3.3. 環境変数の設定
インストール後、~/.bashrc
にRのパスを追加します。
echo export PATH=$HOME/local/bin:$PATH >> ~/.bashrc
echo export LD_LIBRARY_PATH=$HOME/local/lib64/R/lib:$HOME/local/lib64:$LD_LIBRARY_PATH >> ~/.bashrc
また、~/.bash_profile
の最後に以下を追加してください。
source ~/.bashrc
4. Rの起動
R
5. devtoolsのインストール時の注意点
devtools
のインストールにはtextshaping
というパッケージが必要ですが、このパッケージの依存ソフトウェア(harfbuzz
、fribidi
、freetype2
)はUbuntu環境では管理者権限でのインストールが必要です。
そのため、遺伝研の管理者にインストールを依頼する必要があります。以下のようなメールを送信してください。
件名: ソフトウェアのインストール依頼(R関連)
本文:
氏名: ○○○○
所属: ○○○○
ログインアカウント: ○○○○
問い合わせ内容:
Rパッケージ `textshaping` のインストールに必要な以下のソフトウェアをインストールしていただけますか?
- harfbuzz
- fribidi
- freetype2
よろしくお願いいたします。
6. アンインストール方法
Rを削除するには、以下の手順を実行してください。
6.1. 環境変数の削除
~/.bashrc
から追加したパス設定を削除し、source ~/.bashrc
を実行してください。
6.2. Rのアンインストール
cd ~/local/src/R-4.3.2
make uninstall
または、完全に削除する場合は以下のコマンドを実行します。
rm -Rf $HOME/local
詳細は 環境を初期状態に戻す方法 も参照してください。
7. まとめ
遺伝研サーバー(Ubuntu環境)において、ローカル環境にRをインストールする方法を紹介しました。ユーザー権限でのインストールが可能になり、以前より簡単になりました。
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