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正規化の要点整理

Last updated at Posted at 2025-03-30

正規化の要点を理解する

正規化の背景

データベース設計において「正規化」は、データの冗長性を排除し、一貫性と整合性を保つための基本的な手法です。正規化が不十分だと、データの重複や矛盾が発生しやすくなります。以下の例を見てみましょう。

矛盾の発生例

社員の所属部署と部長を管理するテーブルを考えます。

社員名 所属部署 部長名
田中 営業部 佐藤
鈴木 営業部 佐藤
佐藤 経理部 吉田

ここで、人事異動により営業部の部長が「中山」に変更されたとします。この際、営業部のレコード全てを「中山」に更新しなければなりませんが、更新漏れが発生すると以下のようになります。

社員名 所属部署 部長名
田中 営業部 中山
鈴木 営業部 佐藤(更新漏れ!)
佐藤 経理部 吉田

このように、部長名の更新漏れが発生するとデータに矛盾が生じます。正規化を適切に行うことで、このような矛盾を設計段階で防ぐことができます。

正規化を理解する

正規化の目的

正規化の最大の目的は、データの重複を排除し、データベース内の「矛盾」の発生を「設計レベル」で防ぐことです。これにより、データの一貫性が保たれ、メンテナンスが容易になります。

正規化によって得られるもの

正規化を正しく行うことで、以下のメリットがあります。

  • データ整合性の向上: 矛盾が発生しにくくなります。
  • 冗長性の削減: 重複データを排除し、ストレージの効率化。
  • メンテナンスの容易さ: データの更新や削除が簡単になります。

正規化を行わない場合の対応コスト

正規化を行わない場合、以下のような方法で矛盾を防ごうとしますが、いずれもコストがかかります。

  1. 実装で対処する: アプリケーション側でデータの整合性を保つためのロジックを追加する必要があります。
  2. 運用でカバーする: 手動でデータの整合性をチェックし、修正する作業が発生します。
  3. 仕様でカバーする: 矛盾が発生しないようなシステム設計を行う必要があります。

正規化を行うことで、これらのコストを削減し、システムの信頼性を高めることができます。

正規化の手順

正規化手順の理解に必須の用語

正規化を理解するために、以下の用語を押さえておきましょう。

  • 候補キー: テーブル内の任意のレコードを一意に特定できるカラムの集合。主キーやユニークキーが該当します
  • 非キー属性: 候補キーに含まれないカラム
  • 関数従属性: カラムAの値が決まれば、カラムBの値も一意に決まる関係(A → B)
  • 部分関数従属性: 非キー属性が候補キーの一部に依存している関係
  • 推移関数従属性: 非キー属性が他の非キー属性に依存している関係(X → A, A → B ⇒ X → B)

正規化の手順

正規化は、以下の順序で進めていきます。今回は第3正規形(3NF)までを対象とします。

第1正規形(1NF)

条件:

  • テーブル内の各セルに単一の値のみが存在する
  • 各レコードが一意である

例:

非正規形:

社員名 所属部署 電話番号
田中 営業部 090-1234-5678, 080-9876-5432

第1正規形:

社員名 所属部署 電話番号
田中 営業部 090-1234-5678
田中 営業部 080-9876-5432

第2正規形(2NF)

条件:

  • テーブルが1NFを満たしている
  • すべての非キー属性が主キーに対して完全に従属している

例:

非正規形(部分依存):

注文ID 顧客ID 顧客名 注文日
1001 1 山田 2023-01-01
1002 1 山田 2023-01-02

第2正規形:

  • 顧客情報を別テーブルに分割

顧客テーブル:

顧客ID 顧客名
1 山田

注文テーブル:

注文ID 顧客ID 注文日
1001 1 2023-01-01
1002 1 2023-01-02

第3正規形(3NF)

条件:

  • テーブルが2NFを満たしている
  • すべての非キー属性が主キーに対して直接従属している(推移依存がない)

例:

非正規形(推移依存):

クラス 担任 経験年数
2-A 田中 3
1-C 鈴木 11

第3正規形:

  • 担任情報を別テーブルに分割

クラステーブル:

クラス 担任
2-A 田中
1-C 鈴木

担任テーブル:

担任 経験年数
田中 3
鈴木 11

まとめ

正規化は、データベース設計においてデータの整合性と効率的な管理を実現するための重要な手法です。以下のポイントを押さえておくことで、基本的な正規化の理解と実践が可能になります。

  1. 正規化の目的を理解する: データの冗長性を排除し、矛盾を防ぐ
  2. 各正規形の要点を押さえる: 第1正規形から第3正規形までの条件とその適用方法を理解する
  3. 正規化のメリットを活用する: データ整合性の向上、冗長性の削減、メンテナンスの容易さを享受する
  4. 実務での適用を考える: 正規化を通じて設計レベルで問題を防ぎ、後々のコストを削減する

正規化を適切に行うことで、堅牢で効率的なデータベース設計が可能となります。初心者の方はまず第3正規形までを目指し、実際のプロジェクトで応用してみましょう。


この記事が正規化の要点を理解する助けとなれば幸いです。質問やフィードバックがあれば、ぜひコメント欄でお知らせください。

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