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ETEC(組込み技術者試験制度)は受けるべきか

Last updated at Posted at 2024-06-11

はじめに……

こんにちは。
この記事はETEC(組込み技術者試験制度)を受験してきた組込みソフトエンジニア2年目の記事です。
ETECについて興味を持っている方向けの情報記事になります。
※ここで言うエンジニアは組込みソフトウェア開発エンジニアを指します。

そもそもETEC(組込み技術者試験制度)とは

一般社団法人組込みシステム技術協会[JASA]が監督・運営する試験制度です。
ETEC自体は2006年末に運用され始めた試験制度であり、出来立てほやほやの資格とかではない。

結論:ETECは初学者におすすめしない。

正確に書くと、自身の知恵試しとして受験する分にはいいだろう。
しかし
▶組込み業界に就職したい人
▶資格勉強を行うことで体系的に学ぼうとする人(組込み知識を習得したい人)
には向いていない資格といえる。
なぜその結論となったのか書いていこう。

おすすめしない理由1: 認知度が無い

▶組込み業界に就職したい人
これは、就職活動のために資格を取得したい人からしたら致命的欠点であろう。
冒頭でも記載している様に2006年末から運用されている試験制度であるが、組込み業界にいるエンジニアにすら認知されていない。
車業界にいるエンジニア、医療・精密機器系のエンジニアに聞き取りを行ってみたところ一切知らないようだった。
IPAのエンベデッドではないんだよね?最近出来た資格?と確認されたくらいの認知度であった。

おすすめしない理由2: 情報が出回ってない。

▶資格勉強を行うことで体系的に学ぼうとする人(組込み知識を習得したい人)
認知度が低いのか検索しても受験者の体験記や問題などの情報もほとんどない。
どう資格勉強を行うか計画する段階で頓挫しかねない。

おすすめしない理由3: 参考書籍が参考にならない。

▶資格勉強を行うことで体系的に学ぼうとする人(組込み知識を習得したい人)
ETEC公式(https://www.jasa.or.jp/etec)
に参考書籍のタブがあるが、そのほとんどが2000年代発刊であり絶版となっている。
2010年代発刊の本もあるが絶版である。(一部本が、PDF版での購入はできるのみ)
今でも定額で購入できるのが2020年代発刊は1冊「組込みシステム開発入門」がある。

絶版本であるが故に入手性が悪くメルカリなどのフリマサイトでは高値での取引がなされているくらいである。
そして調べて頂くとわかるが詐欺ECサイトにもちらほら転載されているため、本にたどり着くまでの労力が他資格と比べ高いのである。

最新の「組込みシステム開発入門」で勉強でもしてみようかと思っても、JASA公式が本当に書いたのかと思うほど抽象的すぎる解説(というか概要だけ)で、実際に受験してみると内容があまりにも乖離しすぎている。
公式からは「組込みシステム開発入門」がETECクラス2に対応する。と回答を頂いているが、これだけでは対策にすらならない。

例として挙げるなら
書籍にはETECクラス2の通信範囲である”Bluetooth”についての説明文があったが、その説明はクラスの出力と範囲について書いてあるだけで終了している。
しかし、試験に出てくる”Bluetoothについてはそれ以上に深いレベルでの知識を要求してくる。
これが他の範囲でも起こるので試験対策どころの話ではない。

NDAを受験時に結んでいる以上、内容について詳細に語ることは出来ないが、対応しているというからには単語の概要だけでなく、試験に出題される知識レベルでの解説が必要だろうと感じた。

結論

以上挙げた理由で(主に資格対策に対するものになるが)
初学者のETEC(組込み技術者試験制度)の受験はおすすめしない。
筆者自身、資格勉強を通して対象分野の知識を付けてきた経緯があるので、そのつもりでETEC受験を決意したが、参考になるような情報が殆ど出回っておらず結果としてグレード2Bとなった。

筆者は、これまでIPAの基本情報やCompTIAのSecurity+, Network+を受験した経験から管理技術全般、通信(有線)については
公式発表(https://www.jasa.or.jp/dl/etec/ETEC2_statistical_data.pdf)
の組込経験1-3年平均より正答率が高い。
しかし、組込みについての知識を問う技術・開発要素については平均に届かぬ結果となった。
公式推奨の本だけでは組込みの知識としては、単語レベルの理解しか得られないため、本を購入せず試験出題範囲の単語をWikiなどを参照して知識をノートにまとめ、自身で知識の体系化を図ったほうが有意義であろう。
今まで他のIT分野にも触れてこなかった初学者が、本だけの理解で挑んでしまうと恐らく2Cの判定となると推測する。
そのため初学者にはおすすめできない資格といえる。
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だが、筆者のようなパターンではなく純粋に組込みの知識レベルを測りたい人にとっては有用な資格であると考える。
3年以上経験あり自身の知識レベルがどのくらいだろうかと気になっている人には筆者もおすすめするだろう。

補足

ETECは合否がなく、どの知識レベルにいるのかというのを結果として出力してくれる。
公式から2024年度中にETECクラス1の参考書籍を発刊したいとの言及があった。
ETSS(組込みスキル標準)はIPAが2005~2009年度に実施した取り組みとなる。
(過去形であるのはIPA公式サイトで”実施しました。”との記載があるためである。)

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