なぜPCを捨てるにあたりディスクのデータを完全に削除する必要があるのか?
PCの(ハード)ディスクには、データが保存されています。
ファイルをゴミ箱に捨てるなどしてデータを削除しても、実際にはデータは消えず、「このデータは削除されたことになっているので、あとで他のデータで上書きしてもいいよ」というフラグが立っているだけ、ということがしばしばあります。
このことを理解せず、データを削除したつもりで安易にPCを捨てると、捨てた先でディスクからデータを復元・抽出されてしまうおそれがあります。
多くの場合、データの中には、個人情報や機密情報が含まれます。そういったデータが第三者の手にわたった場合、大変なことになります。
PCの廃棄・リサイクル業者の中には、「データの完全削除までやります!」というサービスを提供しているところがありますが、果たしてどれほど信用できるでしょうか?
今回は、安心してPCを廃棄するために、自分自身でデータを完全に削除する方法を紹介します。
ここでいう「完全に削除する」とは、ディスクの全ビットを「0」で埋め尽くす、ということです。
最近、自分がPCを捨てたので、そのときに実施した手順になっています。
他にも、物理的にディスクを破壊する方法もあります。
この手順に失敗した際の最終手段としてご検討ください。
やること概要
- 削除ツールをUSBメモリに書き込む
- 捨てたいPCをUSBメモリからブートする
- 削除ツールが立ち上がるので、削除する
利用したツール
ハードディスク消去ツール『wipe-out』 ~超消「わいぷたん」~
を利用させていただきました。
必要なもの
- 捨てたいPC(デスクトップでもノートでもOK)
- 作業用PC(代わりに捨てたいPCで作業してもOK)※ここではMac想定
- USBメモリ(8GB以上)
- ゆっくり待てる時間の余裕(1台あたり数時間かかります)
私はMacでやったのでその前提での手順になっていますが、Windowsでもほぼ同じ手順でいけると思います。
1.ツールをダウンロードする
ここ↓から「.usb」とついたファイルをダウンロードします、が、
普通にダウンロードしようとするとMacOSだかChromeだかのセキュリティ機能がダウンロードさせてくれません。
そこで、Terminalを開いて、コマンドからダウンロードしていきます。
# 作業用フォルダを作成してそこに入る
$ mkdir ~/wipe-out
$ cd ~/wipe-out
# 例1:削除対象が Windows 10 の場合
$ curl -OL http://www.wheel.gr.jp/~dai/software/wipe-out/wpout20t-2021-08-10.usb
# 例2:削除対象が Windows 7 の場合
$ curl -OL http://www.wheel.gr.jp/~dai/software/wipe-out/wpout16t-2017-03-13.usb
後述のツール起動の際に動かなかった場合は、捨てたいPCの雰囲気から適切そうなwipe-outのバージョンを選んでダウンロードしなおしてください。
作業用PCにUSBメモリを挿す
挿してください。
USBメモリのデバイスファイルを特定する
以下のコマンドで、USBメモリの名前が出てきます。
$ diskutil list external
/dev/disk4 (external, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: FDisk_partition_scheme *31.0 GB disk4
1: Windows_FAT_32 KIOXIA 31.0 GB disk4s1
KIOXIAのUSBメモリだったので、NAMEにKIOXIAと書いてありました。
今回は disk4
として割り当てられているようです。
USBメモリをアンマウントする
アンマウントしないと書き込みの際に「resource busy」といわれ、書き込みができません。
# 対応するボリューム名を確認
$ ls /Volumes
Macintosh HD@ KIOXIA
# アンマウント
$ sudo diskutil umount "/Volumes/KIOXIA"
もし書き込みが2回目以降であれば、ボリューム名が変わっていることがあるので、以下のようにアンマウントします。
$ sudo diskutil umount "/Volumes/NO NAME"
$ sudo diskutil umount "/Volumes/NO NAME 1"
USBメモリにツールを書き込む
if=
や of=
のところの引数は、ご自身の状況に応じて書き換えてください。
# 例1:Windows 10
$ cd ~/wipe-out
$ sudo dd if=wpout20t-2021-08-10.usb of=/dev/disk4 bs=1048576
# 例2:Windows 7
$ cd ~/wipe-out
$ sudo dd if=wpout16t-2017-03-13.usb of=/dev/disk4 bs=1048576
Windowsでのやり方はググってください。
作業用PCからUSBメモリを抜く
抜いてください。
捨てたいPCにUSBメモリを挿す
挿してください。
捨てたいPCをUSBブートする
USBメモリに入ったツールでPCを起動します。
捨てたいPCの電源を入れたら、F2を連打してBIOSを起動してください。
F2ではなく他のキーの場合もありますが、PCをつけた瞬間の画面にどのキーか書いてあります。
BIOSが立ち上がったら、起動オプションからUSBメモリを指定して起動してください。BIOSの雰囲気でわかると思います。
ツールから削除を実行する
ツールが起動すると文字文字した画面になりますが、放置 or Enterで進んでいきます。
あとはツールの手順書にしたがって削除をしていきます。こちらをご参照ください↓
待つ
捨てたいPCのマシンスペックにもよりますが、1 TBのディスクで2-3時間くらいかかりました。
削除完了
削除が終わると、マザーボードに備え付けのブザーから、学校のチャイムのビープ音が鳴ります。
夜中に鳴るとびっくりするのでご注意ください。
おつかれさまでした
ディスクがすべて0で埋め尽くされ、データが完全に削除されました。
安心してPCを捨てに行きましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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今後もちょっとしたメモを書いていきます。よろしくお願いいたします。