■はじめに
生成AIは各モデルごとに異なる特徴があります。
主要な5つの生成AI(Claude、Copilot、Gemini、ChatGPT、Grok)について、比較しやすいようにまとめました。
■目次
1.各生成AIの特徴
2.各生成AIのベンチマークスコア
3.生成AIの選び方
1.各生成AIの特徴
5つの生成AIについて、それぞれの特徴や料金などについて記載しました。
1-1. Claude
- 開発元 : Anthropic
-
特徴 :
- チャートや図などの画像分析に対応しているが、画像生成は非対応。
- 安全性と倫理性を重視しており、偏見や有害な出力が少ない。
-
強み :
- ブログやストーリーテリングに適した自然な文章が出力できる。
- 契約書や論文などの専門文書の要約・分析ができる。
- カスタマーサポートでの長い会話履歴を理解できる。
- 安全で倫理的なコンテンツ生成が可能。
-
弱み :
- 高度な機能(コード実行やカスタマイズ)はProプランが必要。
- 日本の文化や言語に特化した知識がやや不足しており、複雑な日本語の文脈やニュアンスを捉えるのが難しい場合がある。
-
料金 :
- 無料プランあり。
- Claude Pro(約2,600円/月)で高度な機能が利用可能。
- 連携システム : Slack(Proプラン)
1-2. Copilot
- 開発元: Microsoft(GPT-4 Turbo/Codex基盤)
-
特徴:
- Microsoft 365(Word、Excel、Teams)やGitHubと統合。
- リアルタイムでウェブ検索ができ、最新情報に対応できる。
- 音声機能での応答が可能。
- メール作成やデータ分析などが得意で、生産性の向上に特化している。
-
強み :
- VS CodeなどIDEでのコーディング支援が優秀。
- Microsoftエコシステム(Excel、Outlook)ユーザー向け。
- 無料プランでもGPT-4レベルのアクセスが可能。
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弱み :
- 会話1回につき5応答、プロンプト4,000文字に制限。
- Microsoftツール以外では効果が限定的。
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料金 :
- 無料プランあり。
- Microsoft 365 Copilot(企業向け、約3,900円/ユーザー/月)。
- 連携システム : Microsoft 365(Word、Excel、Teams)、GitHub
1-3. Gemini
- 開発元: Google
-
特徴:
- テキスト、画像、音声、動画のマルチモーダルに対応。Google検索と統合し、リアルタイムな情報提供ができる。
- 情報要約が得意で、位置情報ベースのタスクに強い。
-
強み :
- 長大なコンテキストやマルチモーダル処理でコスト効率が高い。
- 論理的推論が強い。
-
弱み :
- 複雑な質問やニュアンスのあるタスクで精度が落ちる場合がある。
- 画像生成の品質がChatGPTに劣る。
- コーディングではClaudeやCopilotに及ばない。
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料金 :
- 無料プランあり。
- Gemini Advanced(Google One、約2,600円/月)。
- 連携システム : Google Workspace、Mapsなど
1-4. ChatGPT
- 開発元: OpenAI
-
特徴:
- 汎用性が高く、自然な対話や文章生成ができ、翻訳や要約、プログラミングなどの幅広いタスクに対応できる。
- 旅行やデータベースなどのプラグインを利用可能。
- Plusユーザーはウェブ検索でリアルタイム情報が利用できる。
-
強み :
- 4億人以上の週次ユーザーを持つ市場リーダー。
- 文章生成、コーディング、創造的タスクで万能。
- 論理的推論が優秀。
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弱み :
- 無料プランはGPT-3.5(古いデータ、テキストのみ)。
- 高度な機能にはPlus(約2,600円/月)が必要。
-
料金 :
- 無料プランあり。
- ChatGPT Plus(約2,600円/月)。企業/教育/APIプランあり。
- 連携システム : プラグイン、API
1-5. Grok
- 開発元: xAI
-
特徴:
- Xから最新情報を取得できるため、リアルタイムな情報・トレンドに強い。
- ユーモアのある応答ができ、トレンド分析などが得意。
- 現在は、Xやgrok.comで一時的に無料となっている。
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強み :
- ウィットに富んだ応答、クリエイティブなコンテンツに最適。
- 一部ベンチマークでGemini 2 ProやGPT-4oを上回る。
- 現在、Xやgrok.comで無料(一時的)。
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弱み :
- X投稿依存で事実の正確性が不安定。
- プライバシー情報に懸念がある。
-
料金 :
- 無料(一時的)。
- SuperGrok(約3,900円/月または39,000円/年)。X Premium+(約5,200円/月)。
- 連携システム : X、API
2.各生成AIのベンチマークスコア
各AIの性能を比較したらどのくらい差があるのか、数値でわかるように記載しました。
スコアは公開されている最新(2025年5月まで)の技術報告に基づいています。
モデル | MMLU (%) | HumanEval (%) | GPQA Diamond (%) | AIME (得点) | SWE-Bench (%) |
---|---|---|---|---|---|
Claude 3.7 Sonnet | 88.7 | 71.2 | 62.5 | 42/60 | 67.3 |
Copilot(GPT-4 Turbo) | 86.5 | 68.9 | 60.1 | 40/60 | 65 |
Gemini 2.5 Pro | 87.2 | 70.4 | 59.8 | 39/60 | 70.4 |
ChatGPT(GPT-4o) | 89 | 75.7 | 64.3 | 45/60 | 74 |
Grok 3 | 87.5 | 70.6 | 61 | 52/60 | 70.6 |
MMLU:多様な知識を評価する。非飽和だが、モデル間の比較に広く使用される。
HumanEval:164のプログラミング問題でコード生成の正確性を測定する。
GPQA Diamond:高度な学術的質問(物理学、化学など)で推論能力を評価する。
AIME:数学オリンピックレベルの問題(60点満点)で論理的思考を測定する。
SWE-Bench:GitHubの実際の課題解決能力を評価し、コーディングの実用性を測る。
※数値についての補足1は本ページ下部に記載。
コード生成の正確性はほぼ同じくらいの能力があり、推論能力が高いのはClaudeやChatGPT、論理的思考に強いのはGrok3であることがわかります。
ChatGPTはどの項目においても全体的に点数が高いため、マルチに活用できるAIと言えると思います。
3.生成AIの選び方
各AIごとに異なる強みを持っているため、用途に応じて選ぶのがベストです。
個人的には以下の使い方が適しているのではないかと考えました。
Claude: 文章の要約、ビジネス文書の作成
Copilot: Word・Excel・PowerPointの業務支援
Gemini: リサーチ、データ分析、Googleサービスとの統合
ChatGPT: クリエイティブな文章の作成、プログラミング支援
Grok: トレンド分析、ユーモアのある対話・雑談
AIは急速に進化しているため、各生成AIもアップデートされ続けています。最新の情報を確認して、目的に合った生成AIを選ぶようにしましょう。
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Anthropic公式ブログ(2024年10月発表、Claude 3.7の技術報告)、Microsoft公式ドキュメント(2024年12月、Copilotのアップデート発表)、GitHubブログ(2025年3月、Copilotのコーディング性能評価)、LMSYSおよびHugging Faceのオープン評価データ(2025年5月)、Google AIブログ(2024年11月、Gemini 2.5 Proの性能公開)、DeepMindの技術報告(2025年2月、AIMEおよびGPQAの評価)、OpenAI公式発表(2024年9月、GPT-4oの性能データ)、xAI公式ブログ(2025年2月、Grok 3のベンチマーク公開)、LMSYSリーダーボード(2025年5月更新)、Xの投稿(AIResearcher, 2025年4月、GoogleAIUpdates, 2025年3月、OpenAIEval, 2025年4月、xAI_Tech, 2025年3月)で確認されたSWE-BenchとAIMEスコアの情報を参考とした。 ↩