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なぜ「ダビング」はIT用語にならなかったのか

Last updated at Posted at 2021-01-17

21世紀生まれの新入社員を迎え入れる時代が近づいていますが、20世紀生まれの皆さんはジェネレーションギャップへの備えはできていますでしょうか。

昭和と平成のジェネレーションギャップをネタにするときの定番と言えば「フロッピーディスク」でしたが、世紀をまたいだジェネレーションギャップは何だろうと考えたときに「ダビングって言葉、最近は使わなくなったなぁ」と思いつきました。

VHSビデオやカセットテープが全盛期だった頃は、テレビ番組やラジオ番組のダビング交換などをしている知り合いを見ることも珍しくありませんでしたが、最近は「ダビングさせて」と声をかけている場面も見かけなくなりました。個人的に「ダビング」という言葉を最後に聞いたのは、アナログ放送からデジタル放送に切り替わるときに使われた「ダビング10」(ダビングの上限回数を10回までにする仕組み)という言葉です。

データのコピーを意味する言葉なのに、どうして「ダビング」という言葉がIT業界に残らなかったのか、思いつくままに書いてみますので、読んでいる皆さんの気が向いたら、二の句を繋いでいただければと思います。

ダビングの語源

英辞郎でDubbingを調べてみましたが「合成録音、吹き替え、アフレコ」という意味でした。語源としては、Dubが「(国王が剣で人の肩をたたいて爵位を)授ける」という意味で、それが色々と転じて「吹き替え」となったようです。そこから更に転じて「データのコピー」となったようなのですが……。

和製英語?

ここからは、昭和世代をリアルタイムで過ごした空気感からの推測です。

昭和の時代、音楽業界の技術にダブ(ダビング)というものがありました。原曲を崩したり、効果音を入れたりするもので、今だとリミックスのようなものに近いと思います。

ダビングという作業は、カセットテープやVHSテープに単純にデータをコピーをするものではなかったように記憶しています。それは、ビデオだったらCMをカットしたり、テープだったら気に入った曲だけをテープの時間内に収まるようにセレクトするなど、編集作業が伴うものでした。

そのため、コピー機を使うような単純な作業ではなくて、編集作業を伴うクリエイティブな作業だという意味合いで、メディアのコピー行為を「ダビング」という言葉になったのでは……と考えています。

IT業界で使われなかった理由

IT業界でダビングという言葉が使われなかった理由については「Copyコマンドがあったから」と書いてしまうと身も蓋もないので、少し話を話を膨らませます。
昭和の時代はプログラマーといえば「人間や社会とコミュニケーションをすることができなくて、コンピュータにしか相手にしてもらえない嫌われもの」という位置づけで、スポーツや音楽をしている人間を「陽」とすれば、コンピュータを理解できる人間は「陰」としており、大きな断絶がありました。そのため、「陽」の人間が使用しているダビングという言葉に侵食されることがなく、デジタル化の時代を迎えることになったのではと推測しています。

消えていった原因

アナログ時代の終焉と一緒にダビングという言葉は消えたのだと思います。
ダビングはアナログ機器を2台揃えて、1台が再生して、もう1台が記録するというもので、60分間のデータであればダビング完了まで60分の時間がかかりました。しかし、デジタル化の時代となると、データは1台の機器で並列に高速コピーが行えるようになったことで、ダビングは自然に消滅していったのでは……と考えています。

ダビングという言葉がフックしたら

ここまで色々と書きましたが、個人の偏った視点になっています。ダビングという言葉にフックするものがある人がいらしたら、色々と話を聞かせてください。

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