『見通しが立たない』・『変化を受け入れない(何も行動しない)』は、最大のリスクです。
これまで、私たちはリスクを最小化して失敗しないようにプロジェクトを進めることが必要であるとされてきました。
本当にそうなのでしょうか?
『石橋をたたいて渡る』という言葉があります。“堅牢な石橋であっても、さらにたたいて安全を確認してから渡る(用心の上にも用心する)”を指すことわざですが、プロジェクトの実施を渡るに例えると、絶対失敗は許されないという強迫観念から、渡る行為をやめてしまうような判断をする、もしくは先延ばしにする状況が増えているようです。
『渡る前に、石橋をたたいて壊す』です。
新規企画の段階で、リスクをてんこ盛りにして評価して没にするマネジメントが多く見受けられます。特に日本では評論家がもてはやされていて、行動することよりも、評価する方の声に左右されています。
本来の評論家は、単なる評価一辺倒ではありません、評価しその改善点を提案し、共にゴールを目指すように支援できる方が、真の評論家という役割です。
現在は、単なる足の引っ張り合いになっているように感じます。
私たちに求められる行動は、どれだけのリスクが存在し、それら個々の影響度と対策(仮説)を確り把握することです。把握したうえで、ステークホルダー全員でそのリスクを皆当事者として背負っていく勇気が必要で、ステークホルダーでも開発に直接関与できなくても、良きアドバイザーとして一緒に背負という姿勢が必要なのです。
それと実施計画面では、リスクを早期に顕在化して、試す機会や訓練する場を設けることです。
この場を活性化するには、『心理的安全性』は必要です。
心理的安全性はマネジメントレベルが確りと支え、開発チームふくめてステークホルダーが真のチームとした、チームビルディングが出来ている事が前提です。
相互信頼と批判禁止がルールだけでなく行動として染みついているように促します。
大変かと思うかもしれませんが、この基礎をないがしろにしては、全員が同じようにリスクを背負う勇気が芽生えません。
特にマネジメント層には『心のマネジメント』が必須です。
最後に付け加えますが、リスクを次の四つの観点に分類して各々を詳細化する方法をお勧めします。
・ハイレベルな(抽象度が高い)機能要求
・品質特性要求(非機能要件的なものも含めます)
・技術制約
・ビジネス制約(予算・期日・競合他社・・・)
その後、リスクの評価を行い(単なる高・中・低ではなくてビジネスへの貢献・緊急・機会損失といった優先付け項目を独自に作ることをお勧めします)で整理して、実行計画や訓練計画に盛り込んでいきます。