ビジネス環境は刻々変化しています。ユーザーのニーズも日々変化しています。それは従来の様に企画・計画に時間を掛ける事では時代の変化に追従できないばかりでなく、企業生命にも深刻な影を落としかねません。
私たちはこれまで企画や計画にも正解を求めてきました。その結果、慎重になり突拍子もないような奇抜なアイデアは生まれなくなり、従来の焼き直しとなり、安全策を求めるあまり、動きは鈍重になってきました。時間を掛ければ正解を得られる時代はとっくに終わりました。これからは、決められた時間で出来るものをスピーディに提供し、評価しそのフィードバックで改善する方法、即ち仮説&実行&検証の繰り返しであり、そのサイクルを短くすることが肝になります。極端な言い方をすれば、このサイクルこそが計画であると言ってしまってよいのです。その期間は最大でも6ヶ月を超えず、出来れば企業活動の四半期相当(すなわち3か月)に収めます。言い換えると、その期間に収まらないものは、対象(機能・サービス)を軽量化・少なくするように強制します。こうすることで、過剰要求や実施(実行)しなければ価値が明確に判らないような機能・サービスを保険的に実装要求することも抑制できるようになります。タイムボックス思考に切り替えることになります。
フィードバックする項目についてはリスクでの評価も必要です。リスクについては次の“リスクは絶えず変化する”で解説します。
また、企画を練っている時点で下記項目についての当初の見込みを明らかにしておくのも、評価の役に立ちます。
企画そのもの魅力度と適社度です。
魅力度とはその企画自身の評価で、売上・利益の可能性、成長の可能性、競争状況、リスク分散度、業界再構築の可能性、特別な社会状況(特許・優遇制度・認可制)といったものです。
適社度とは、その企画に対する現時点での自社での適応能力の評価です。どんなに魅力的なアイデアでも、自社のチャレンジ労力の評価で、資金力(自社にみあった資金力があるか)、現有マーケティング力の適合性、現有施設、現有人財とノウハウの適合性、現有技術・サービス企画力の適合性、原材料・部品・商品・情報の入手力、事業に対してマネージメントのサポートが十分に得られるか(例えば会社トップの思い入れが強い企画である)といった項目です。これはVeriSMのマネジメントメッシュへ続く項目の候補になり得ます。
もう一つACDM(アーキテクチャ中心設計)の四つのアーキテクチャドライバをサイクル(仮説&実行&検証の繰り返し)によって明確にしていく方法もあります。アーキテクチャドライバとはハイレベルな機能要求、品質特性要求、技術制約、ビジネス制約の四つです。
このアーキテクチャドライバもVeriSMのマネジメントメッシュの導出項目となります。
また、これまでの机上論のような紙(電子版も含む)資料ではなく製造物(ここでは機能・サービスを提供するシステム)で実現しようとする機能・サービスを確認できるようにします。これは従来のプロトタイプとは全く違うもので、ビジネスデータや手続きを確り動作できるシステム(プログラム)であることです。机上で議論しても、実際に製造物を前にすると、意見・要望・評価が変わるのです。これを事前(机上で論じている期間)に抑え込むことは全くできないのです。『正しく要求を捉えれば品質が上がる』とは成りません。アジャイル開発のプラクティスを応用適応すれば実現可能です。
また、PowerAPPSやPowerBIといったシチズンデベロッパーが利用するツールを使用して企画立案者が自ら動作する機能やサービスを作ってステークホルダーと議論して進行させる方法も可能です。
要はJITでの重要項目をクイックに実現し、変化に対応できるコンパクトであることです。
そして、リスクや状況が不明・見えない場合は仮説・検証を最短距離(時間軸)で行う事です。このようになると、従来手法では太刀打ちできないのが明らかです。