チームビルディングは仲良しグループではない
チームビルディングから何を想像しますか?
仲良しグループのような・・・遊び仲間のような・・・
というイメージがあると思いますが、相互にリスペクト、適度な緊張感と危機感を持たなければならないと思います。以前に関わった生産管理システムをアジャイル開発で実施したプロジェクトでの出来事です。
20代のエンジニア間で水と油のような関係の二人がいました。
このプロジェクトでは自工程完結(出来る限り作業内で良品をアウトプットするやり方)を実現できる方法としてペアプログラミンングを実施していました。この二人でペアプログラミンングを開始すると、直ぐに喧嘩が始まります。その内容たるやピリオドの位置、判断分岐のネストの仕方等々、とても多く、要するに相手の作業全てが気に入らなかったのです。
さて、皆さんでしたらどう行動しますか?
配置換えをする、極力ペアを組ませないようにする、ペアプロ自体を止めてしまう、・・・というのがこれまでの対処の殆どではなかったでしょうか?
どうしても、不協和音はほっておけませね。
この二人に『ここで働いているのはプロのエンジニアです。お互いにそりが合わないからといって仕事・作業に影響が出るのはプロとしてどうなんでしょうか?お互いを責めるより、プロとして相互に認め合うように進められませんか?それがプロとしての誇りですよね。』と事あるごとに念仏の様に唱えていました。
そうすると、二人にの関係が徐々に変化していき、最終的にはこの二人で作業を行ったタスクの品質が一番よく、生産性も一番高くなっていたのです。
この二人にインタビューしたところ、二人とも似たような答えが返ってきました。『相手が突っ込んでくるポイントは、自分では指摘されたくない個所でした。しかし、それは自分が不得意とする領域で、競う気持ちが反抗心となって起きているのを自覚しました。ですから、一瞬癪に障るのですが、相手は自分の事を責めいているのではない、一緒に良いものを造ろうとしているからの指摘なんだ。と受け入れるようになりました。』と語ってくれました。さらに『癪に障る相手とは同じミスはしたくないですからね!!』とも付け加えていました。
この行動は近年注目されているエモーショナル・インテリジェンスに通じます。エモーショナル・インテリジェンスについては、別の機会に譲りますが。
彼らの行動変化の結果、チーム全体への意識高揚や品質意識行動が高まりました。このプロジェクトの後半期間ではイテレーションで構築したソフトウェアは全てバグフリー、最終的にリリースしたシステムの稼働後の不具合は一切でていない高品質で終わることが出来ました。
チームビルディングというのは、単に雰囲気が良くなるのがゴールではないと思います。チームビルディングが確りできているから品質・生産性が高くなるのです。
私が現場支援やレスキューで始めて現場訪問する際に、先方がチームの雰囲気は良いのです。との発言に対して必ず問いかけるのは、品質と生産性です。
この二つが良くなっていなければ、表層だけが感じ良く振る舞う仮面を被ったチームなのです。