この記事は、アラフィフ世代がAIの価値を理解し、その活用方法を学ぶまでの具体的なステップとその記録です。
筆者のご紹介
Niyan(にやん)といいます。
かつてソフトウエアエンジニアとしてキャリアをスタートし、外資系IT企業でセールス、マーケティングを10数年経験した後、人材育成と人事の道に進みました。現在は個人として、企業や組織の採用と育成をサポートしています。
この記事の内容
先日、12回にわたるニュースレターの執筆を終えました。これは私にとって初めての執筆活動であり、AIを活用した初めての作業でもありました。
この記事では、その共同作業のプロセスや、AIとの協業から得た気づきと学びについて説明します(ちなみに、この記事もこれから紹介する手法を用いて執筆しています)。
この記事でお伝えしたいこと
以下は、この記事でお伝えしたい主要なポイントです:
- AIの活用により、執筆にかかる時間が以前の4割から5割程度に短縮 : これにより、同じ時間でより多くの原稿を執筆できるようになり、AIの具体的なメリットを実感しています
- 目指すアウトプットを得るためには、プロンプトのチューニングを繰り返す必要がある (ここでいう「プロンプト」とは、AIに対してユーザが入力する具体的な指示や質問のことを指し、これによりAIは適切な回答や内容を生成します)
- より高いレベルのアウトプットを得るためには、自分が考えるベストプラクティスを整備し、その理論をAIに教えることが必要
- AIが私の知識や経験を超える創造的なアイデアを生成することはなかった : この経験を通じて、AIは優れた補助ツールではあるものの、現時点ではその創造性には限界があると感じました
執筆環境
AIとの共同執筆作業で使用したAIとプラットフォームについて紹介します。
- 使用したAI: ChatGPT4, Notion AI
- 執筆に使用したプラットフォーム: Notion
プロンプトや原稿は、全てNotionで管理しています。
執筆のプロセス
このセクションでは、AIとの共同執筆作業のプロセスをご紹介します。
以下は、執筆作業全体の流れです。
今回は主にステップ2から6までの合計5つのステップでプロンプトの整備とAIとの共同作業を進めました。
- 書く目的を整理する
- 仮の見出しとリード文案を作成する
- 小見出しとリード文案を作成する
- 初稿(ドラフト)を作成する
- 編集する
- 校正・校閲を行う
- 公開する
2から6までの各ステップは以下の手順に従って進めました。
- 自分でラフ案を考える
- ラフ案からChatGPTに複数のアイディアを提供してもらう
- ChatGPTから得たアイディアを基に、自分で原稿を修正する
- Notion AIの「Edit or review selection」機能を使用して、先に作成した原稿の日本語を調整する
特に、Notion AIによる日本語の調整は、文章作成に不慣れな私にとって非常に助けになりました。しかし、Notion AIが出力する日本語表現の正確さを確認するには、一定レベルの日本語文法の理解が必要だと感じ、学習する必要性を認識しました。
AIと共に3ヶ月間ニュースレターを執筆して得た気づきと学び
執筆プロセスの効率化と精度向上
前述の通り、AIの活用によって執筆時間は以前の4割から5割程度に短縮されました。
しかし、メッセージが定まっていない場合、初稿作成直後の編集作業で論旨の展開に矛盾があることをAIに指摘されることが多いです。この段階で修正に時間がかかることがしばしばあります。この点に注意すれば、AIの利用のメリットを享受できると思います。
プロンプトの適正化
AIを活用する際、適切なプロンプトの設定が鍵になると思います。プロンプトを調整し、繰り返しテストすることで、AIは明確な指示に基づいて期待するアウトプットを提供できるようになります。この過程を通じて、正確なプロンプト設定の重要性を強く感じました。
前回の執筆で自作したプロンプトは4つあり、最も多いものは15回以上チューニングを行いました。執筆時には常に最新のプロンプトを使用し、必要に応じて更新します。この記事も最新のプロンプトを使用して執筆しました。
また、AIと共同作業する過程で、AIにプロンプトのチューニングを任せるテクニックも学びました。AIに「どのような指示であれば、内容をより正確に理解できるか」と質問すると、AIが最も理解しやすい形式でプロンプトを編集します。AI自身が出力したプロンプトのフォーマットほうが、AIの理解がより的確だと感じました。
AIの教育
AIに対する教育は、質の高いアウトプットを得るためには不可欠であることも学びました。特に、ベストプラクティスと戦略的なアプローチをAIに教え込むことで、より精度の高いアウトプットを得ることができました。今回の一連の作業を通じて、具体的な執筆テクニックや理論をAIにフィードすることが、質の高いアウトプットを得るための重要な要素であることを学びました。
なお、AIの教育で文章の書き方については、以下の書籍の内容を参考にしました。
文章の書き方を指導する書籍は多数存在しますが、以下の要素がこの書籍を選んだ理由です:
- 作業工程がステップバイステップで細かく分けられ、整理されていた。そのためプロンプトとの相性が良かった
- 具体的な文章の書き方のテクニックやルールが詳述されていた
- 多くの文例が掲載されていた
書籍を読みながら、記載されている作業工程(執筆の流れ)に従ってプロンプトを整備し、各ステップごとのルールやテクニックを盛り込みました。また、書籍で紹介されていた文例も良い見本としてAIに学習させました。
利点と課題
AIとの共同作業により、執筆プロセスの効率化と精度向上を実現しました。さらにAIとの対話から多くの気づきを得ることができました。しかし、創造性や新しいアイデアの発見には一定の限界があることもわかりました。また、AIが日本語の自然な表現を生成する難しさにも直面しました。これらは今後の課題となるかと思います。
まとめ
今回はAIと共同で全12回のニュースレターを執筆したプロセスと、AIとの協業から得た気づきを私なりの視点でお伝えしました。これらのアプローチが、原稿執筆の際の参考になれば幸いです。
なお、プロンプトの解説は触れることができませんでしたが、今後はGitHubなどでプロンプトを管理・公開することも考えています。
今回の記事でご紹介したニュースレターは、以下で公開しています。
外資系企業の経験を活かし、人材採用や育成に焦点を当てたベストプラクティスに関する内容になっています。ご興味がある方はぜひご覧ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。