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「伝え方」をハックする

Last updated at Posted at 2024-08-07

はじめに

私は未経験から中途でエンジニアになり、エンジニア特有の「伝え方」の難しさに直面してきました。
エンジニアリングは専門用語が多く、受け手との認識の齟齬が生まれがちで、油断すると自己満足な伝え方をしてしまいます。
また、外部のセミナーに参加して聴講する中で、登壇者の伝えるスキルによって集中力や理解が大きく変わることを体験しました。
抽象的な「伝え方」を理解して身につけられるように、さまざまな情報や事例を参考に、テクニックを学習してみました。

「伝え方」とは

聞き手に物事を伝える方法であり、「発表」「説明」「回答」「プレゼン」等に共通して利用されます。
この記事では、仕様書やメール等のテキストにまつわる方法ではなく、「発声を通じて」伝える方法に着目します。

「人に物事を伝える」ことの大前提

「伝え方」のノウハウは、「聞き手の立場に立って考えること」の一言に集約されます。
プロダクト開発においてユーザーファーストを掲げるように、聞き手にとって理解できることが伝えることの本質です。

参考

伝え方のノウハウ

伝え方には、「話し方」と「構成」の2軸が存在します。
どちらかが欠けていると聞き手の集中力や理解が促されないため、理想は両立することです。

そもそも心理的安全性が担保されている環境(友達と好きなゲームの話をするなど)では口下手にならないため、環境づくりが大事であると言うテーマもあります。
こちらは別ベクトルの話なので割愛します。

話し方

聞き手の集中力は一説では70秒と言われており、集中力を切らさないためには話し方に変化が必要です。
例えば、テレビではカメラの切り替わりがやたら多かったり、1つのニュースを1分30秒以内で収めることで、視聴者の集中力を維持させています。

1. メリハリを付ける

メリハリを付けなければ、念仏を聞いているかのようで聞き手の集中力は切れていきます。
人は話を、感情 → 論理 → 技術の流れで聞きます。
例えば、尊敬する人であればとりあえず話を聞こうとするし、芸人や役者は表現で感情を揺さぶることに長けているので、興味を惹きます。おそらく詐欺師もこれ。

発声を大きくする

単純に自信を感じさせて説得力が増します。
聞こえなかったことによるコストをなくすこともできます。

声の高さは伝えたい内容や感情に合わせて変える

ポジティブに前向きな内容では高くします。
落ち着いて課題を提示したい時は低くします。

スピードに緩急を付ける

早いとリズミカルで臨場感があり、熱意が表現できます。
遅いとロジカルな情報が伝わりやすく、聞き手も聞き取りやすいです。

参考

2. フィラー(えー…あのー…)をなくす

言葉が詰まった時に間を埋めるために出てしまう言葉です。
話し手が緊張していたり、自信がないといった印象を持たせて、聞き手の集中力を切らす場合があります。
適度な沈黙は、聞き手の考えを整理する余裕と次の言葉に注意を向けさせることができるため、恐れないことが大事です。
スティーブ・ジョブズ氏が、iPhoneを初めて発表したプレゼンテーションでは冒頭で「2年半、この日が来るのを待っていた」と切り出した後で、7秒の間を置いていたらしいです。

参考

3. 表情を作る

表情は聞き手の印象を大きく左右し、話し手が感情を説明する必要がなくなります
例えば「今日は雨が降っている」を無表情で言うのと辛そうに言うのとでは、後者であればどの程度ネガティブな事象か一言で伝わります。改めてどれくらいネガティブなことか伝える必要がなくなります。
特に笑顔は効果的で、話し手が率先して笑顔であれば、緊張的な空気やストレスが緩和されます。
人間は基本的に不安を抱える生物であるため、笑顔で聞き手の不安を軽減できると傾聴しやすくなります。これも詐欺ry

コミュニケーションを図る際、言語情報:7%、聴覚情報:38%、視覚情報:55%の割合で、相手に影響を与えるというメラビアンの法則という心理学の法則があったりします。

参考

構成

1. 事実と解釈を分ける

事実と解釈が使い分けられていないと、認識のずれやコミュニケーションの遅延が生まれてしまいます。
「この開発は本番環境に反映済み?」という事実の確認に「うまくいっています」と解釈で回答してしまったりすると、認識のずれが起きます。
事実とは、「実際に起こった事柄」、解釈は「物事や人の言動について自分なりに考え理解すること」です。
例えば、「今日の気温は35度」は事実、「今日は暑い」は解釈です。
事実であれば体言止めや断定表現を使い、解釈では「主観ですが」「感覚ですが」といった枕詞を使うことで、意図が伝わりやすくなります。事実がわからなければわからない事実を示すことも重要です。

参考

2. 説明の背景を盛り込む

背景はその目的に至った理由であり、「なぜその目的達成が必要なのか?」を指します。
「目的→なぜ?→背景」として目的をサポートします。
目的だけ提示されても、課題観や認識のずれが生まれたり、「どうしてこの話してるんだっけ?」となりがちです。
そのためにも、背景には「ペイン(悩み・痛み・不満・不安・非効率などの苦痛)」と、ペインをサポートする根拠(=事実)をつけ加えることが重要です。

参考

3. 話し手が話したいことではなく、聞き手が知りたいことを伝える

前述の通り「伝えること」は「聞き手の立場に立って考えること」です。
言い換えると聞き手のメリットを意識する必要があります。
聞き手のメリットは「知りたいこと」を知ることであり、話し手が話したいことを知ることではありません。
例えば、開発者が営業など非開発者に説明するとき、「ライブラリのアプデがあるため調査します」に対して、「ユーザー目線どこが変わるのか」「サービスは止まるのか」といった、聞き手が知りたいことを先回りするとコミュニケーションコストが生まれにくくなります。

参考

まとめ

抽象的な「伝え方」を理解できるように、深掘ってみました。
これらのテクニックは、一朝一夕では身につかないので、日頃のミーティングから意識してみたいとおもいます。

「伝え方」は聞き手の立場に立って考えること = 聞き手のメリットを意識する

「伝え方」には「話し方」と「構成」の2軸が存在し、理想は両立すること

「話し方」で聞き手の集中力を促し、「構成」で理解を促すことが大事

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