はじめに
筆者が運営するMinecraftサーバーが運営開始から4年を迎えたということで、この4年間で得られた経験を元にMinecraft Java Editionにおけるマルチプレイサーバーの構築方法から管理・運用方法まで余すところなく書いていく。
1. 環境編
まずはじめにMinecraftサーバーを動かすための環境について確認しよう。
1-1. 専用のサーバー機は必要か
Minecraftサーバーを走らせるためだけの専用PC(サーバー機)が必要かどうかは運営方法によって異なる。例えば、サーバーを24時間常時解放したい場合や、多くのプレイヤーと遊ぶ(将来的に大型サーバーを目指す)のであればMinecraftサーバーを動かすためだけのサーバー機を用意する必要があるが、友人と遊ぶ時だけ解放したい場合やプライベートで使う分には、普段自分が使っているPCをサーバーとしても問題ない。ただし、普段使用しているPCがノートである場合には注意が必要である。
1-2. ノートPCは危険
ノートPCをサーバーとして24時間稼働させることは発火リスクを考慮して避けるべきである。そもそもノートPCはサーバーとして連続的に動作させることを前提として設計されていないため、長時間の稼働にはそれなりの負荷がかかり、バッテリーの劣化を早めたり、PC自体の寿命を縮めることにもなる。もしノートPCしか持っておらずMinecraftサーバーを構築したいのであれば、専用のサーバー機を用意する必要があると言える。
1-3. VPSの利用
専用のサーバー機を使う1つの手段として、VPS(バーチャル・プライベート・サーバー)といったサーバー機を定額でレンタルできるサービスが存在する。VPSは、企業のデータセンターにサーバー本体が設置されており、それを別の場所から遠隔操作することで自分でそこにMinecraftサーバーを構築するといったものだ。VPSを利用することのメリットとデメリットを以下にまとめた。
■ VPSのメリット
・安定性が高い
・自宅にサーバー機を設置する必要がない
・電気代の心配がいらない
・故障時のメンテナンスを自分で行う必要がない
■ VPSのデメリット
・CPUやメモリ/回線などのリソースが他の利用者と共用である場合が多く、ラグが発生する
・DoS攻撃を受けた場合にサービスが停止する
・性能の割に料金が高い (コスパが悪い)
筆者は2年間Minecraftサーバーを2社のVPSで運用してきたが、デメリットの多さから最終的に自宅サーバーへと切り替えた。接続人数の増加に伴って性能が不足したことと、性能に対するコスパの悪さが原因である。
VPSの中にはサーバーの起動時間に応じて課金されていくものや、DoS攻撃を受けた場合に多額の請求が来るサービスも存在するので注意したい。
とはいっても、初めてMinecraftサーバーを運用する人にはVPSをお勧めしたい。1ヶ月単位でレンタルできるから、挫折した場合でもすぐにやめられるのと、電気代を気にせずに24時間稼働できるからである。ただ、長く運営を続けていくにあたっては将来的に性能不足になり、上位プランにアップグレードした場合に運用コストが割高になることを意識しておいてほしい。
1-4. 自宅サーバー
その名の通り、自身でサーバー本体を購入し、自宅にサーバー機本体を設置して運営を行う方法である。自宅サーバーのメリットとデメリットも以下にまとめた。
■ 自宅サーバーのメリット
・ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク関連においてかなり勉強になる
・サーバーのパーツを予算と用途に合わせて選んで自作できる
・(構成によるが)VPSに比べてコスパが良い
■ 自宅サーバーのデメリット
・初期投資が多額
・運用するための知識が必要
・電気代は自己負担
・パーツ故障時のメンテナンスを自分で行う必要がある
・サーバーの監視やセキュリティ対策を自分で行う必要がある
自宅サーバーを用意する場合は多額の初期投資とそれなりの覚悟が必要なので、初めてMinecraftサーバーを運用する人にはオススメしない。また、自宅サーバーでMinecraftサーバーを運用する場合は、光回線でないとほとんど快適に運用できないので注意。
1-6. 必要最低限の性能
ゲームサーバーを運用する以上、サーバーにはそれなりの性能が問われる。サーバーの性能が足りないと、プレイヤーはまともに遊ぶことすらできない。ラグいサーバーに人は集まらないので、まずは快適にプレイできる必要最低限の環境を用意しよう。
VPSを利用する場合であっても、一番安いプランでは快適にMinecraftサーバーを運用できない場合がほとんどなので、以下に挙げる各パーツの必要最低限の性能と比較しながらプランを選択すると良いだろう。
CPU
【最低性能】2コア
【推奨性能】4コア以上
クロック数に関しては3.0GHz以上あればまず問題ない。
GPU
サーバーなのでグラフィック性能は基本必要ない
RAM
【最低性能】2GB
【推奨性能】4GB以上
基本的に、以下の表に示したメモリの容量を満たしていれば十二分である。
ただし、表のメモリ容量を完全に満たしていなくても快適であることが多い。
例えば、筆者のサーバーでは4GBのメモリ割り当てに対して20人が同時接続しても十分快適に動作した。
接続人数の目安 | メモリの量 |
---|---|
~5人 | 2GB |
6~10人 | 4GB |
11~20人 | 8GB |
21~40人 | 16GB |
41~80人 | 32GB |
81~160人 | 64GB |
Minecraftサーバーにおいて最も重要なパーツであり、メモリの容量こそが快適さを左右する。
プラグインの数やワールドの規模によっても必要なメモリの容量は変動するので、多めに構成しておくとよい。
ストレージ
【最低性能】SSD 50GB (OS起動&データ保存用) / HDD 50GB (バックアップ用)
【推奨性能】SSD 128GB以上 / HDD 512GB以上
回線
【最低性能】100Mbps
【推奨性能】1Gbps以上
自宅サーバーの場合は光回線が望ましい。
VPSの場合は共用100Mbps回線である場合が多く、利用者が増える夜間など時間帯によってはラグが発生するので注意。
OS
Linux (CentOS or Ubuntu)
筆者おすすめのOSはUbuntu。CentOSとUbuntuの主な違いはコマンドで、基本操作は変わらない。
友人同士などの用途で、接続数が20以下であればWindows10で運用しても問題ない。
2. 構築編
さて、Minecraftサーバーの構築に入る。ここでは、Linux(Ubuntu, CentOSの2通り)での構築方法を解説する。
Windowsでのbatファイルを用いたサーバー構築の手順はここでは省略する。
2-1. サーバー向けMinecraft本体のダウンロード
まずはサーバーに配置する用のJarファイルをダウンロードする。公式バージョンとBukkitやSpigotなどの改造が施されたバージョンが存在するが、本記事ではSpigotを使用してサーバーを構築する。独自に用意したソフトウェアがあれば、そちらを使用しても構わない。
公式バージョンと改造バージョンの違いはプラグインが導入可能かどうかの違いである。当然、プラグインが使えた方が荒らし対策などが行えるため、改造バージョンの使用を推奨する。
以下のソフトウェアのうち、お好みのものを1つダウンロードしよう。(特に理由がなければSpigotを選択することをお勧めする)
Spigotをダウンロード
Bukkitをダウンロード
PaperMCをダウンロード
GlowstoneMCをダウンロード
2-2. FTPソフトのダウンロード
ここではFileZillaと呼ばれるFTPソフトを使用する。FTPソフトとは、サーバーと作業PC間でファイルの送受信をするためのソフトだ。ここでは主にMinecraftに関するファイルをサーバーに転送するために使用する。FTPソフトは他にもWinSCPなどが存在するので、自身で用意したFTPソフトを使用しても構わない。
※自身の作業用PCでサーバーを構築する場合はFTPによるファイル転送操作は必要ない
2-3. ファイルの転送
FTPソフトでサーバーにrootユーザーでログインする。
接続完了後、rootディレクトリが表示される。
VPSでroot権限を持っていない場合や、普段使いのPCで構築する場合はデスクトップなどの適当な場所にフォルダを作り、そこに構築していく。
本来はrootユーザーではなく、専用の一般ユーザーで構築するのが好ましいが、今回は「root」ディレクトリの中に「Minecraft」というディレクトリを新たに作成し、その中にMinecraftサーバーを構築していく。
/root/Minecraft
もし専用のユーザーuser
を新たに作成した上で構築する場合は、パスは以下のようになる。
/home/user/Minecraft
「Minecraft」を作成し移動したら、先ほどダウンロードしたJarファイルを /root/Minecraft にアップロードする。
これでFTPによる作業は一旦終了。
2-4. サーバーにソフトをインストール
今度はサーバーにSSHを使用して接続する。WindowsであればTeraTermという専用ソフト、Macであれば最初からインストールされているターミナルを使用してアクセスすることが可能。先ほどはFTPでサーバーに接続してファイルをいじったが、今度はSSHでサーバーに接続することでサーバー内部からコマンドを実行していく。
TeraTermもしくはターミナルの画面を開いたら、次のコマンドを順番にコピペして使用。
※今回はrootユーザーで作業を行う。もし、自身でMinecraft専用のユーザーを作った場合にはそちらのユーザーでログインを行う。
# ssh -l root [IPアドレス]
2-5. Screenのインストール
Screenをインストールする。
これはMinecraftをバックグラウンドで24時間動かす役割を担う。
installの前に-y
を追加することでY/nの確認を省略することができる。
# yum install screen
# apt install screen
2-6. Javaのインストール
次にJavaをインストール。これがないとMinecraftがサーバー上で動作しない。
もしMinecraftのバージョンが1.16.5以下であればJava8を、1.17であればJava16をサーバーにインストールする必要がある。
1.18からはJava17が動作要件となった。
# yum install java-1.8.0-openjdk
# yum install -y openjdk-16-jdk
# yum install -y openjdk-17-jdk
# apt install java-1.8.0-openjdk
# apt install -y openjdk-16-jdk
# apt install -y openjdk-17-jdk
2-7. ファイアウォール設定
サーバーにSSHで接続した状態で作業する。ここでは、Minecraftでサーバーを公開するために必要なポート解放の作業を行う。
Minecraftで通信を行う際に必要なポート25565番を解放する。
# ufw allow 25565
# firewall-cmd --zone=public --add-port=25565/tcp --permanent
設定を再読み込みで反映させる
# ufw reload
# firewall-cmd --reload
自宅サーバーの場合はルーターのポート開放も必要。http://192.168.0.1 などからルーターの設定画面に入り、各種ポート設定で「25565」を「TCP」で開放する。ルーターにおけるポート開放の手順はメーカーやプロバイダごとに若干異なるため、各自調べてほしい。
主に自宅サーバーを構築する場合に、ポート解放でつまづいて挫折する人が多いが、考え方はいたってシンプルである。わかりやすいように上のような図を用意した。OS側だけ、もしくはルーターだけポート解放を行っている場合は、例2,3のようにクライアント(プレイヤー)からサーバーまでの通信の途中経路が遮断されることになる。1箇所でも途中の経路が遮断されていた時点でサーバーには接続できなくなるので、例2,3ではサーバーと通信できず、正常にポート解放ができていないことになる。
したがって、例1が示すように、全ての経路でポートを解放することを目指せば良い。
図に示した経路はあくまでも一例であり、回線のプロバイダによってはクライアントとルーターの間にONUが入ってきたり、PCにウイルス対策ソフトが入っている場合はそれが経路を遮断する要因となり得ることにも注意したい。
プロバイダやルーターのメーカーによって若干の手順の違いはあるものの、最終的に例1の状態を目指すことに変わりはない。
2-8. 初回起動
サーバー版Minecraft本体のJarファイルを配置したディレクトリに移動する。
# cd /root/Minecraft/
Minecraftを起動。以下のコマンドはファイル名が「spigot.jar」になっている。ここは各自Jarファイルの名前に置き換えてほしい。
# java -Xmx1024M -Xms1024M -jar spigot.jar
しばらく待つと、初回起動が終了する。初回起動時には /root/Minecraft に各種ファイルが生成される。
ここで、利用規約に同意しなければならないため、生成されたファイルの中からeula.txt
を見つけ出し、適当な箇所を変更する必要がある。
# vi /root/Minecraft/eula.txt
コマンドを実行するとeula.txt
の中身が表示されるので「Aキー」で編集モードに変更し、「↑」「→」「←」「↓」キーで一番下まで移動。
eula=false
となっているところを
eula=true
に変更し、「escキー」で編集モードを終了。「:wq」を入力し、保存して終了する。これで必要箇所の書き換えは完了。
もし間違った箇所を書き換えてしまい、取り返しがつかなくなった場合には「:q!」で保存せずに終了することができる。
2-9. 起動
Screenを起動させる。
# screen
以下がMinecraftの起動コマンドであるが、以下のコマンドでは2GB(2048MB)のメモリが割り当てられている。メモリの割り当て量を変更する場合は、起動時にこの数値を変更すると良い。MB単位で設定する場合は1024の倍数を使用。
「Xmx」と「Xms」の値を同じ数値に設定することでメモリへの負荷を軽減することができる。
# java -Xmx2048M -Xms2048M -jar spigot.jar
2-10. クライアントからログイン
クライアント版のMinecraftを用意し、「マルチプレイ」からサーバーを追加する。「サーバーアドレス」にはサーバーのIPアドレスもしくはドメインを入れる。
サーバーにドメインを割り当てていない場合は、「グローバルIPアドレス:25565」と入力する。:25565
を忘れるとサーバーと通信できない。
2-11. 権限の付与
初期状態ではプレイヤーは誰も権限を持っていないので、コンソールから/op [MinecraftID]
を実行し、自分に権限を付与する。
2-12. サーバーの停止
サーバーの停止を行う場合はMinecraft内から/stop
コマンドで停止することができる。
基本的にScreenで動いているため、コンソールを閉じても停止することはない。
一度、/stop
と実行し、サーバーを停止させる。
なお、これ以外の方法でサーバーを停止すると、ワールドセーブデータが破損し、チャンクが組み変わるので注意。
3. プラグイン編
Minecraftサーバーを運用する上で欠かせないのが「プラグイン」の存在だ。荒らし対策やサーバーの独自性を確立するにはプラグインのインストールが必須となる。
3-1. プラグインの導入方法
プラグインのインストールは以下のディレクトリに行う。
/root/Minecraft/plugins
「2. 構築編」で述べた、Spigotなどの改造バージョンを利用しないとプラグインの導入が行えないので注意。
3-2. プラグインのダウンロード
ここにはサーバーに導入するべきプラグインをまとめた。ダウンロードしたら、先程のディレクトリにダウンロードしたJarファイルを入れればインストールは完了。サーバーを再起動するか、/reload
コマンドを実行して、プラグインをサーバーに読み込ませる。
World Edit
建築系プラグイン。大規模なブロックの操作はもちろん、球体などのオブジェクトを生成することができる。建築物のコピー、回転にも対応しており、多くのサーバーで導入されている。
Core Protect
荒らし対策プラグイン。荒らされた場合に、荒らしを行ったプレイヤーの行動を巻き戻すことによって荒らされる前の状態を復元することができるプラグイン。このプラグインが導入されている限り、プレイヤーはサーバーを荒らしても無意味になる。
World Guard
ロビーや立ち入り禁止エリアなどの保護を担うプラグイン。エリアごとにプレイヤーの行動を制限することも可能。荒らし対策全般を行うことができる。
Multiverse Core
複数のワールドを管理するプラグイン。デフォルトでは1つのサーバーで1つのワールドしか管理できないが、このプラグインを利用することで複数のワールドを管理することができ、移動することができるようになる。
LuckPerms
権限系プラグイン。オペレーター権限を持っていないプレイヤーに対しての権限を管理することができる。権限の管理は荒らし対策において最重要。Webサイト上で権限グループを設定することができる優れもの。
3-3. プラグインの注意点
プラグインを導入する際の注意点を以下にまとめた。
・複数のプラグインを導入することによってプラグイン同士の相性による問題が発生することがある。
・悪意のある開発者が作ったプラグインを導入することで、サーバーをハッキングされる場合がある
・無闇に信頼できない開発者のプラグインを導入しない
・プレイヤーにプラグインの導入を頼まれても応じてはいけない
・必ずしもプラグインがバージョンアップされるわけではなく、開発がいつ止まるか分からない
4. 運用編
Minecraftサーバーをより効率的に運用するため、ここでは再起動やバックアップの全自動化を行う。
4-1. Screenに名前をつける
Screenに名前をつけておくと、セッションが切れた後も容易に再接続することが可能になる。
# screen -S [名前]
「MC」という名前のScreenを立ち上げるには
# screen -S MC
となる。ここでMinecraftサーバーを起動させれば、「MC」という名のScreen上で運用することができる。ここで「Controlキー」+「Aキー」+「Dキー」を同時に押せば、Screenからデタッチすることができる。
再度このMCにアタッチするには
# screen -r MC
を実行すればよい。これを使えば1つのサーバー上で複数のMinecraftサーバーを運用することができるようになる。
デタッチし忘れたScreenに入りたい場合は引数に-x
を追記しよう。
# screen -rx MC
4-2. 起動用スクリプト
サーバーの起動時に毎回java -Xmx1024M -Xms1024M -jar spigot.jar
を実行するのはとても手間がかかるのでスクリプトを作成して起動手順を簡略化しよう。
作業用PCのテキストエディットなどで次のシェルスクリプトを作成する。
# ------------設定箇所---------------
# 再起動までの待機時間(秒)
MEM=<割り当てるメモリの量>
# jarファイルの名前
JAR=<jarファイルの名前>
# ---------------------------------
java -${MEM} -${MEM} -jar ${JAR} nogui
「設定箇所」の< >で囲まれた項目は自分の環境に合わせて書き換えて使用する。
# ------------設定箇所---------------
# 再起動までの待機時間(秒)
MEM=1024M
# jarファイルの名前
JAR=spigot.jar
# ---------------------------------
作成したら、これを /root/Minecraft/
にアップロードする。
これで、次回以降、手動でサーバーを起動する際に入力しなければならないコマンドは以下の2つになった。
# cd /root/Minecraft
# ./start.sh
4-3. 自動再起動の実装
長期間動かし続けることは鯖落ちにつながるので、特にプラグインを導入しているのであれば1日1回程度の再起動は必須と言っていいだろう。
Cronをインストール。
# yum install cron
# apt install cron
Cronは指定した時間にスクリプトを実行してくれるソフトだ。
次に、作業用PCで再起動用シェルスクリプトを作成する。
#!/bin/bash
# ------------設定箇所---------------
# 再起動までの待機時間(秒)
WAIT=30
# screenの名前
SCREEN_NAME=<screenの名前>
# メモリの割り当て量
MEM=<割り当てるメモリの量>
# サーバーJarのあるディレクトリ
DIR=<Jarファイルの存在するディレクトリ>
# サーバーJarの場所
JAR=<Jarファイルのパス>
# ---------------------------------
screen -p 0 -S ${SCREEN_NAME} -X eval 'stuff "say '${WAIT}'秒後にサーバーを再起動します\015"'
sleep $WAIT
screen -p 0 -S ${SCREEN_NAME} -X eval 'stuff "stop\015"'
sleep 20
screen -S ${SCREEN_NAME} -X stuff "cd ${DIR}"`echo -ne '\015'`
screen -S ${SCREEN_NAME} -X stuff "java -${MEM} -${MEM} -jar "${JAR}" nogui"`echo -ne '\015'`
次に、/root/Minecraft
内に新たに/scriptディレクトリを作る。
この/root/Minecraft/script
に先ほど作成したrestart.shを入れておく。
続いてCronの設定を行う
# crontab -e
一番下に、0 4 * * * cd /root/Minecraft/script: ./restart.sh
を追加。
#
#
#
#
#
:
# m h dom mon dow command
0 4 * * * cd /root/Minecraft/script: ./restart.sh
ここでは、毎朝4:00に/root/Minecraft/script/restart.shを実行するという設定を行った。
例えば、毎日9:30にスクリプトを実行したい場合は30 9 * * *
とする。
# service crontab restart
設定が終わったらCronを再起動して設定を反映させる。これで自動再起動が行われるようになった。
4-4. 自動バックアップの実装
Minecraftサーバーを運用するにあたって、サーバーのバックアップは必須。バックアップを怠るとサーバーが急停止した場合などにワールドの破損が起こり、取り返しのつかないことになる。データを過失によってリセットするということはプレイヤーの信頼を失うことにつながるので要注意したい。
まずは/root/Backup
を作っておく。
次に、作業用PCでシェルスクリプトを記述する。
#!/bin/bash
# バックアップ処理(ディレクトリのコピー) ->
cp -r /root/Minecraft /root/Backup
#zipに圧縮
zip -r Backup.zip /root/Backup/Minecraft
#ファイル名に日付を付ける
cp -aiv Backup.zip /root/Backup/Minecraft-`date "+%Y%m%d_%H%M"`.zip
#元ファイルの削除
rm -r /root/Backup/Minecraft
rm Backup.zip
本記事の通りにサーバーを構築している場合はこのシェルスクリプトをそのまま使っても問題ないが、ディレクトリ名や構造が異なる場合には各自の環境に合わせて書き換えてほしい。
こちらのスクリプトを/root/script/
に入れ、自動再起動スクリプトと同様に、Cronに登録する。
一番下に、30 4 * * * cd /root/Minecraft/script: ./backup.sh
を追加。
#
#
#
#
#
:
# m h dom mon dow command
0 4 * * * cd /root/Minecraft/script: ./restart.sh
30 4 * * * cd /root/Minecraft/script: ./backup.sh
再起動と重なると不具合が起こる可能性があるため、30分ずらしてバックアップを行う。
# service crontab restart
設定が終わったらCronを再起動して設定を反映。
5. BungeeCord編
Minecraftサーバーを複数に分散させたい場合はBungeeCordというソフトを使用する。
主にPVPサーバーや生活サーバー、ロビーサーバーなどを別々のサーバー機で運用したい場合に使う。
5-1. サーバーの構築
BungeeCordはポート25565で開くため、Minecraftサーバーには別のポートを割り当てておく。ここからは、既にMinecraftサーバーがそれぞれ別のポートで2つ以上構築されていることを前提として解説を進めていく。
それぞれのサーバーを「Server1」「Server2」として構築し、「Server1」をメインサーバーとする。
サーバーで使用するポートはserver.properties
のserver-port:
で変更可能
5-2. BungeeCordのダウンロード
まずはBungeeCord本体をダウンロードする。
5-3. 専用ディレクトリの作成
BungeeCordを動かすための専用ディレクトリを作る。
ここでは/root/BungeeCord
としておく。
ここに先ほどダウンロードしたJarファイルを入れておく。
5-4. BungeeCordの起動
BungeeCordは、以下のコマンドで起動することができる。
# java -Xmx512M -Xms512M -jar BungeeCord.jar
初回起動後、必要なファイルが/root/BungeeCord
に生成される。
5-5. BungeeCord側の設定
自分のMCIDに権限を付与する必要がある。ディレクトリに生成されたファイルの中から、config.yml
を探し、groups:
のmd_5
を自身のMCIDに変更する。以下はNether2046に権限を渡す場合の例。
groups:
Nether2046:
- admin
次にBungeeCordが認識するサーバーを設定する。
127.0.0.1
はlocalhost
と同じ。もし別々のサーバー機でサーバーを構築した場合はそのサーバーのIPアドレス:ポート番号
に置き換える。
以下は1つのサーバー機の中でServer1がポート25566、Server2がポート25567で開かれている場合の設定例。
servers:
Server1: #サーバー名
address: 127.0.0.1:25566 #サーバーIP:ポート
restricted: false #権限がないプレイヤーがサーバーに入れるかどうか
motd: 'A Minecraft Server' #基本的には使わないのでいじらない
Server2:
address: 127.0.0.1:25567
restricted: false
motd: 'A Minecraft Server'
さらに、プレイヤーのUUIDを正常に取得するため、ip_foward
をtrue
に変えておく。
また、正規プレイヤー以外のログインを遮断するため、online_mode
もtrue
にしておく。
5-6. Spigot側の設定
次に、servers:
に登録したサーバーのソフトウェアがSpigotである場合は、サーバーディレクトリにあるspigot.yml
の31行目付近、bungeecord:
をtrue
にしておく。
bungeecord: true
次に、server.properties
の23行目付近、online-mode
をfalse
にしておく。
online-mode=false
5-7. 起動
設定が完了したら全てのファイルを上書きしたら、Screenを起動。
# screen -S BungeeCord
BungeeCordを起動する。
# java -Xmx512M -Xms512M -jar BungeeCord.jar
コンソールにend
と実行すれば止めることができる。
5-8. サーバー間移動
サーバー間の移動にはMinecraft内で/server [Server名]
を使用する。一般プレイヤーをサーバー移動させたい場合はNPCに埋め込むなどして実装しよう。看板を右クリックしてサーバー間を移動させることができるプラグインなども存在する。
5-9. プラグインの導入
BungeeCordにもプラグインを導入することができる。/root/BungeeCord/plugins
にプラグイン本体を入れるだけ。ここに導入したプラグインはBungeeCordで繋がっている全てのサーバーで有効化される。LunaChatを導入すれば、BungeeCordで繋がっている異なるサーバー間でチャットを共有することができるほか、Votifierなどを導入すれば、投票特典の配布をサーバー間で共有することもできる。
#更新履歴
更新日 | バージョン | 変更内容 |
---|---|---|
2023/04/06 | V1.1 | 一部修正を行いました |
2021/07/11 | V1.0 | BungeeCord編を追加しました |
2021/06/20 | オリジナル | 記事を公開しました |