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iperfに関するTips集

Last updated at Posted at 2023-12-28

はじめに

以前公開したiperf3を用いた測定方法に関する記事が、いいねやストックをもらえるようになったので、別記事で公開すると言ったTips集を公開します。

前回の記事:

本記事の内容

  • 実際に使うときはこういう使い方が多いという用法集
  • いつも同じ様な事を調べているので覚書に近いかも
  • そのほか、何か役に立ちそうなこと

注意
筆者の実務経験に基づき、時に調べて書いていきますが誤りを含む可能性があります。
適宜、指摘いただければ修正します。

目次

  1. UDPでは終わり際に気をつける
  2. ファイルと標準出力を同時にやる
  3. データ解析に役立つTips
  4. ぼくのかんがえたさいきょうのiperfコマンド

1.UDPでは終わり際に気をつける

UDPで--get-server-outputオプションを活用する場合、測定の最後に結果のやり取りが発生します。ここで、通信環境が極端に悪いと測定結果がバグるという話です。

はじめにおさらいをします。

  • UDPでは受信側への到達確認を行わない
  • 送信側は、とにかく指定された量のデータを送信し続ける
  • 10Mbpd指定だと、送信側の記録は常に10Mbpsとだけ記録される
  • 結果的に受信側しか実際の通信帯域を記録しない

※受信側は最終的に何Mbps分のデータが届いたかが分かり、実帯域が記録される

なので--get-server-outputオプションをつけましょう。

  • --get-server-outputはサーバ/クライアント双方のデータ取得を行う
  • 測定完了時にクライアントがサーバの結果を取り寄せる
  • 結果は同一の出力に保存され解析が楽になる
iperf3 -t 10 -u -c localhost -b 20M --get-server-output

本題の注意点です。端的に言うと、通信環境が悪いと、サーバ側の結果を取り寄せるときにエラー=取り寄せ失敗になる場合があります。

  • 実測定では環境が悪いところで測定することが多い
  • 通信環境が悪すぎると、タイムアウト/エラーなどが発生して結果が取り寄せられないことがある

わざわざ環境が良いところで性能は測らないですよね
なんか速度が出ない、みたいなときに測ります

以下の図はイメージです。

上記が発生すると何が不便かと言うと…

  • サーバの結果を含むデータと含まないデータが混ざる。結果を解析するときに場合分けが必要。
  • サーバの結果を手動で書き写す必要がある。

ということで、私は--get-server-outputオプションを使う際には以下を実践しています。

  • 移動しながら測定をする場合(無線通信など)は測定完了時間が近づくと通信環境の良い場所に移動する。
  • 環境が著しく悪い場合には--get-server-outputオプションをあえて用いない
  • 10秒程度のリハーサルを行い正常取得を確認する

注意
通信環境の悪化は外部要因だけでなくiperf3の設定次第でも発生します。
例:本来10Mbpsしか流せない経路に1Gbpsをぶち込む
この場合、間違いなく通信バッファが溢れます。
この状態で結果のやり取りをすると、バッファが詰まって結果が届かないこともあります。

2.ファイルと標準出力を同時にやる

注意
Linux限定のTipsです。Windowsの人すみません…。

測定後に結果の解析が必要になる場合があります。この場合、ファイルに結果を出力することになりますが、iperfでは意外と曲者です。

単純にiperfの結果をファイル出力する

コマンドで出力先をresult.txt にします。

iperf3 -t 10 -u -c localhost -b 20M --get-server-output > result.txt 

実際にやると分かりますが、測定時に画面の出力を見れません。

abc@abcde: iperf3 -u -c localhost -b 20M --get-server-output > result.txt
*** ここにログが出てほしいのに!(出ない) ***

result.txtもリアルタイムで更新されず、タイムラグの上、ファイルに書き込みされます。
つまり、単純なファイル出力では、不備を測定中に確認できません。

iperfでファイルと標準出力を同時にやる方法

まず、teeコマンドでファイルと標準出力に分岐させます。

iperf3 -u -c localhost -b 20M --get-server-output | tee result.txt

これで測定完了後に、画面に出力が出るようになりました。いやいや、リアルタイムに出力を見たいのですが…。

ではなぜ、リアルタイムに画面出力されないのか。それは、バッファリングの上、まとめて結果を出そうとするからです。

以上の理由から、バッファリングを制御するコマンド(stdbuf)をつけます。

stdbuf -o 0 iperf3 -u -c localhost -b 20M --get-server-output | tee result.txt

※-o は出力のバッファリング設定。0にすることでバッファリングをしない。

このコマンドを実行すると、リアルタイムに結果が画面出力されました。 目標達成です!

3.データ解析に役立つTips

データを解析に回す観点から2点ほどのTipsです。

Tips1: 詳細なログ出力には -V を使う

ログ解析をする上で、情報は多いに越したことはありません。
取得日時や取得条件など、記録は多いほど良いと思います。

iperfにも詳細なログを残す -V オプションが存在します。

iperf3 -u -c localhost -b 20M -V --get-server-output

注意
Windows版とLinux版で出力が違う

Windowsの場合

iperf 3.1.3
CYGWIN_NT-10.0 *********
Time: Thu, 28 Dec 2023 03:46:54 GMT
Connecting to host localhost, port 5201
      Cookie: *********
[  4] local ::1 port 58139 connected to ::1 port 5201
Starting Test: protocol: UDP, 1 streams, 8192 byte blocks, omitting 0 seconds, 10 second test

Ubuntuの場合

iperf 3.9
Linux Ubuntu22 5.19.0-46-generic #47~22.04.1-Ubuntu SMP PREEMPT_DYNAMIC Wed Jun 21 15:35:31 UTC 2 x86_64
Control connection MSS 32768
Setting UDP block size to 32768
Time: Thu, 28 Dec 2023 03:42:10 GMT
Connecting to host localhost, port 5201
      Cookie: y77jy4yauxuc6u3jrargcpkfol7oqc2mtwpu
      Target Bitrate: 20000000
[  5] local 127.0.0.1 port 32786 connected to 127.0.0.1 port 5201
Starting Test: protocol: UDP, 1 streams, 32768 byte blocks, omitting 0 seconds, 10 second test, tos 0

解析時は、これらの情報を活用して測定条件などを特定しましょう。
ただし、コマンドは詳細な条件が記載されるため、記録した方が良いと思います。

Tips2: タイムスタンプが欲しい場合

iperfの結果単体で解析をすることは稀です。基本的には、他の現象とスループットの変化を紐づけて解析を行うと思います。

この時、重要なのはタイムスタンプです。測定機器間で時刻を同期しておき、タイムスタンプを用いて他の現象とスループットの変化を紐づけます。

このため、タイムスタンプが欲しいですが、iperfはデフォルトで測定した時刻が出力されません。

私はファイル名にタイムスタンプをつけることで、測定時刻を記録しています。

iperf3 -u -c localhost -b 20M -V --get-server-output | tee $(date +%Y%m%d%H%M%S)_result.txt

※dateコマンドを利用。 date +format で文字列を出力している。

結果が出力されるファイル名は 20231228130140_result.txt の形になります。結果を解析するときは、以下の手順で実行します。

  • iperf結果のファイル名を読み取って、開始時の絶対時刻を取得する
  • ファイル内の相対時刻を取得して、毎秒の結果に絶対時刻のタイムスタンプをつける
  • 他の結果と絶対時刻を使用して紐づける

このあたりの解析スクリプトは需要がありそうなら、別記事で実例を出したいと思います。

4.ぼくのかんがえたさいきょうのiperfコマンド

本節は完全に悪ふざけです。

ここまでのTipsを経て、これなら間違いないコマンドを最後に残します。※Ubuntuで動作確認済みです。

stdbuf -o 0 iperf3 -u -c localhost -b 20M -V --get-server-output | tee $(date +%Y%m%d%H%M%S)_result.txt

以下ができます。

  • UDPで帯域指定したiperf測定
  • サーバの結果取得
  • ファイル出力をしながらの結果標準出力
  • 測定に関する詳細ログの追記
  • 出力ファイルにタイムスタンプ付与

さいごに

意外とiperfの記事を読んでもらえたので書きました。実はみんな同じことで困っているのかもしれないな、と思い細かい話を書いてみました。

遅筆ではありますが、今後もニッチかつやたら細かい記事を書いてみたいな、と思います。

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