#JDLA(日本ディープラーニング協会)のG検定、E資格
JDLA(日本ディープラーニング協会)とは、松尾豊教授が理事長(2020年3月現在)を務める一般社団法人であり、深層学習の「活用促進」、「人材育成」、「啓蒙・普及」等を行っている団体です。
G検定、E資格とは、JDLAが認定している資格試験で、機械学習、深層学習に関する一般的な知識を有していることを認定する<G検定>と、実装する能力と知識を有していることを認定する<E資格>の2種類がある。詳細は、JDLAのホームページをご参照ください。
てなことを書いても、ここを見に来た人はご存じのことと思います。
#不合格から合格までの経緯
僕の受験歴は、
・2019#1にG検定を合格
・2019#2にE資格を不合格
・2020#1にE資格を合格
である。特に他の合格者と異なるのは、2回のE資格受験のために、2社の異なる会社の「認定プログラム」を受講したことです。
僕がこの資格取得する目的は、自称「趣味」です。つまり、受講費用は全額実費です。50を過ぎた単なるメーカーのサラリーマンにとっては、とても高額です。ハッキリ言って入金時は手が震えました。
しかし、何故、2社の異なる会社の認定プログラムを受講しなければならなかったのか、その経緯を顧みることで、これから受験する人の一助になり、かつ関係者への問題提起になれば、と思いました。
#G検定に合格するまで
2018年の夏、流行りのAIスキルを身に着けようと「Python基礎」のセミナーを受講したのがきっかけです。同じコワーキングスペースで開催されたデータ分析セミナー(9回/3ケ月)を受講しているうちにJDLAの存在をしり、勉強したことの整理を兼ねてG検定の受験を決めました。
使ったテキスト、参考書は以下です。
・ディープラーニングG検定公式テキスト(JDLA監修)
・徹底攻略ディープラーニングG検定問題集(明松真司、田原眞一)
・AI白書(情報処理推進機構)
・人工知能は人間を超えるか(松尾豊)
最近は、いろいろと問題集や参考書が出版されていますが、当時はこれくらいでした。AI白書以外は、繰り返し読んで勉強しました。(当時は問題数が少なくて不安でした。とにかく問題を1問でも多く解いて勉強してください。)
また、データ分析セミナーを受講していたので、テキストの内容を解説無しで理解できました。初めての方は、何等かのG検定向けセミナーを受講すべきと思います。
AI白書は、国内の自動運転、倫理関係、法律関係を中心に。さらに海外各国のAIの取り組みを読みました。基本、どこに何が書いてあったかを覚えることが大事と思います。全部は読み切れませんので。
受験はコワーキングスペースの個室を使って、2時間集中!
なんとか合格をもぎ取れました。
#E資格1回目の受験に向けて
G検定の合格後、E資格の受験について考えました。これからの自分にとって必要かもしれないものとは?等々を家族旅行しながら考え、このままの勢いで取得を決意。(そんな大袈裟なものでもないですが)
実際に行動を起こしたのは4月から。まずは、認定プログラムの選定です。
#E資格1回目の認定プログラム選定
当時、5社の認定プログラムと「以下の事業者からも受講できます」という3社(だったと思う)の認定プログラムがありました。この3社の事業者は、5社の認定プログラムの講義を配信して、認定試験のみ自社で行うスタイルと思います。
僕も1回目は、この事業者(X社)が開催するプログラムを受講しました。
選定理由は、
・金額が他社より少し安かった。(20万円以下)
・オンライン配信をしている。
・合格率が80%以上とのふれこみ。
です。認定プログラムだから、会社によって大差無いと思いました。(これは2回目で大きな間違いであったことに気づく)また、実費支払いなので、とにかく安い会社を探しました。X社は「応用数学」の事前テストをパスすればその講座が免除され、それだけ安くなるので、頑張って免除を獲得しました。
#X社の認定プログラムを受講してみて
プログラムの内容は、「応用数学」、「機械学習」、「深層学習・強化学習」に分かれていて、その中をさらに主な項目に分割された動画配信とそれに伴うPDF資料がありました。そして、どこまで動画を再生したかがグラフで表示されていました。
修了認定を取得するには、
・上記の動画を全て聴講する。
・「応用数学」、「機械学習」、「深層学習」のレポートを提出する。
・「応用数学」、「機械学習」、「深層学習」のテストをクリアする。
の3つが必要でした。内容はともかく、JDLAが認定会社に、この3種類を修了させることを義務付けていると思われます。
X社の講義・資料は、きっちりとしていましたが、以下の点が気になりました。
・講義の動画にバックミュージックが流れる。
→事業者に音楽の削除を依頼したが、1回目は自分の端末で調整してくださいとの回答。2回目に依頼したら、配信元が修正しないのでできない、との回答。イヤホンで聞くと、バックミュージックが大きくて講義内容を集中して聞けないことが残念でした。
・質問対応が不可であった。
→これは最初の規約をしっかりと読んでいなかった僕の責任です。「安かろう。悪かろう。」?なのかもしれませんが、質問が受け付けられないのはどうか、とも思いました。
そんなこんなで、なんとか締め切り期日内に全ての課題をクリアして修了することができ、E資格の受験資格を得ることができました。
受験前の感想としては、問題集・参考書が無いため、認定プログラムから配信された問題をひたすら(過学習みたいに)勉強して覚えることしかありませんでした。しかし問題数が少なく、とても不安でした。
#E資格を受験。不合格の通知を受けて(認定プログラムとは?)
2019#2のE資格を受験。生まれて初めてのCBT受験でした。会場に入ると本人確認をして、すぐ荷物をロッカーに。最後の確認ができず、焦りました。パソコンをログインして、自分のタイミングで開始。PC画面に残り時間が表示されます。。。。2時間後、不合格を確信。
全く歯が立たない。初めて見る用語。初めて見るコード。配信された問題と比べて格段にレベルが違う、という印象でした。
約1週間後、予想通り、不合格通知を受理。
確かに不合格は自分が悪い。ですが、認定プログラムとは?
JDLAが配信している動画には、「認定プログラムは自動車教習所的な意味合い」という趣旨の説明がなされていました。であれば修了認定を受ければ、もっとE資格のテストレベルに近いものであって欲しいと思いました。
X社からは、低額で継続受講の連絡が入ってきました。迷いましたが、このプログラムを受講しても、今後、僕は合格しそうに無いと判断し、継続受講は諦めました。
JDLAに、どの認定プログラム会社が、どのくらいの合格率を出したかを問い合わせました。認定プログラムを選定する情報の一つとして事務局に質問しましたが、**「公表できません」**とのお返事がありました。
今後、E資格の受験を継続すべきか、とても悩みました。
如何せん、認定プログラムの内容に関する情報が少なすぎて、どの会社の認定プログラムを受講すべきか、判断が付きにくいのです。また、受講者のスキルによっても変わってくると思います。その点を善処いただくようJDLA事務局にメール送信したところ、「いただいたご意見は事務局長をはじめ協会内にて共有し、今後の参考とさせていただきます。」とのお返事をいただきました。
#E資格合格に向けての取り組み(2回目)
さて、趣味とはいえ、ここまで時間と労力と費用をかけてE資格が取れなかったままでいるのは、きっと後悔すると思い、再チャレンジすることを決めました。それには、以下のことが重なったことも重要でした。
・データ分析セミナーでお世話になった先生の勧め。
・まとまった額の還付金を入手。
・社内の異動で、時間に余裕ができた。
どれ一つ欠けても、ダメだったと思います。また、セミナー等で知り合った若い人たちが、みんなE資格を取得したことも、モチベーションを上げるきっかけとなりました。
認定プログラムは、上記のお世話になった先生がおられるZ社にしました。費用は、前回の約1.5倍でした。しかし、講義内容は一変しました。
・「応用数学」の講義は無し
・配布された資料にそった講義動画を受講
・オンライン受講でも対面講義の動画を配信(復習用)
・講義内容の理解度チェックシート。随時質問対応可
・豊富なサンプルコードによる習得
・独自のE資格対策問題の配信
等々、さすがに額に見合った充実した内容でした。ある程度のベーススキルを有していないとついていけません。(僕は落ちこぼれ状態でした。)また、機械学習では、最適化の式の詳細な説明から実装まで。深層学習の内容では、一般的なCNN,RNN,GAN等から、最新の内容まで幅広く、難しい内容もポイントをおさえた講義であり、会社によってここまで違うのかと思いました。
修了認定を取得するには、
・動画を全て聴講する。
・「応用数学」、「機械学習」、「深層学習」のテストをクリアする。
・指定された課題をクリアするPythonコードを作成し提出する。
の3つが必要でした。コードを書きなれていない僕は、コードの提出は困難でした。結局、E資格認定の締め切り期日までにコード作成はクリアできませんでした。オンライン受講でしたが、希望すれば講師の方との面談が可能で、面談で相談したところ、修了認定書が発行可能な締め切りは先なので、コード作成を後回しにして、E資格対策を優先するアドバイスをいただき、その通りしました。
ちなみに、1回目の認定プログラムで修了認定を取得したので、2年間は受験資格がありますので。
#E資格、2回目の受験
受験3週間前から臨戦態勢。最後の追い込みと称して、時間があれば復習していました。時には、社内の会議室に籠って。時には遠距離出張の移動中に。さらには年休を取得して、コワーキングスペースに朝から行って。
とにかくなりふり構わず?対策しました。使ったのは、認定プログラムの資料とネット上の資料。参考書までは手が回りませんでした、
そして2020#1を受験。
普通なら「ここまでしたのだから余裕」ってことになりますが、これまた。。。。前回ほどではありませんが、新しい用語は???あと、コードのスキル不足は否めず。受験後、今回もダメだと思いました。お世話になった講師の先生にも、もう1回頑張りますの連絡をしてました。
同じ認定プログラムを受講した人は、8割以上できた等のSLACK投稿。
そして合否通知メールを見たところ、「合格」!
正解率を見た瞬間、恐らく最下位合格と思われました。
講師の先生からは、「追い込みが効きましたね」と言われました。確かにそうです。でも、合格は合格。1年越しで目標を達成し、ホッと一息つけました。
#E資格の認定プログラムについて思うこと
X社、Z社の異なる2つの認定プログラムを受講しました。知り合った学生に、どの会社のプログラムを受講したかを尋ねると、Y社とのこと。学生割引があって、超格安で受講できるからだそうです。しかし、選択の自由は無かったとも言ってました。全てを比較した訳ではありませんが、認定プログラムの内容は、
・すでに十分なスキルを保有している人向けのプログラム
・G検定合格レベルからE資格レベルに引き上げる為のプログラム
・全くの初心者レベルから合格させる為のプログラム
等、受講する人のスキルによって、その人に合ったプログラムがあるように思いました。だとすれば、ミスマッチした僕の1回目の受講は、運が悪かったとして気持ちを整理するしかありません。(高額だったけど)
ですが、これから受講する人は、その点を注意して、できるだけ情報収集して進んで欲しいと思います。
#E資格に合格してみて
「何事も合格してからが大事」ということで、まずは認定プログラムの残課題のコードを構築中。それ以前に、コードのお勉強を一からやり直し。
自称「趣味」で勉強しているので、気が楽です。会社に取得資格申請制度があるので申請しましたが、それを活かした職種に異動されるでもなく、ひっそりと続けています。E資格を取得したといっても、すぐにコードがバリバリ書ける訳ではないので、とにかく継続してコードの勉強をして、最新の情報を収集して、社外の人たちと繋がっていく、ということを目標にしていきたいと考えています。そういう意味では、機械学習、深層学習の世界の「運転免許証」といった感じです。この世界に慣れて、楽しくいろんな世界へ運転しに行きたいと考えています。
基本「趣味」ですから。。。(笑)