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財務分析はまずこれを見よう!危ない企業がすぐわかるGC注記とは

Last updated at Posted at 2015-07-01

はじめに

財務分析と、色々な指標を適当に並べて企業評価をする人がしばしばいるが、違う。そうじゃない。といつも思います。
意外と知られていないですが、「継続企業の前提に関する注記」、略称でGC注記(GC:Going Concern)といわれるものが日本の財務諸表には存在します(簿記一級にもでてきません)。
端的にいえば、「1年以内に倒産する可能性が高い企業」を表すものです。

アナリストや取引先は、財務諸表数値が良くても、この注記がつくと取引相手などは相当危ない企業と考えて取引をひきあげたり、撤退することも考えられています。
そのため、解析モデルにもダミー変数として入れるべき指標として取り上げました。

GC注記について

GC注記とは

正式には、「企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提」のことで、これを省略して「継続企業の前提」といいます
さらに、海外ではGoing Concernと言われることから、「GC注記」とも言われます。
つまりなんなのか端的にいえば、「1年以内に倒産する可能性が高い企業」と表す注記のことで、記載は権利ではなく、義務です。
「なぜ将来にわたってが1年以内って話になってんだ!」と反論する人がいれば、それは会計基準に「合理的な期間(少なくとも貸借対照表日の翌日から1年間)にわたり企業が事業活動を継続できるかどうか」とされているからです。

実際GC注記がつくと、上場企業でおよそ10%程の確率で1年以内に倒産します。
ちなみにGC注記のみで倒産確率を見積もると、財務諸表の数値情報のみで分析して取得した倒産確率より精度が高いという研究結果もあります。

GC注記制定

平成14年の監査基準の改定時に、「企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提について,監査人が検討することに対する社会の期待が存在する。」と考えられて追加されました
※平成15年3月1日以後の財務諸表に記載義務があります

財務諸表での記載のされ方

財務諸表上は、「継続企業の前提に関する注記」といったページに、「1年以内に倒産する理由は事象、対応策、原因」などが書かれています。

興味がある方は詳細を以下などで見て欲しい。
http://www.gtjapan.or.jp/monthly_report/2009-05-vol-04.html

2015年3月のGC注記の効果

2015年3月のGC注記記載企業は上場企業で25社あり、2014年9月より3社減少している。
減少した3社のうち1社は倒産。また、3月に注記が新たに入った1社は5月末をもって上場廃止になっています。
このことからもGC注記の効力が絶大であることは見てとれます。

GC注記を解析にいれるべき理由

GC注記は、その企業が現在存続する可能性を見積もっている。ただ、それ以上にも重要なことが、持ちこたえることができる企業もGC注記がついたことで、取引先や株主、銀行などの利害関係者の信頼性を減少させることにあります。
それら定性的な観点を財務分析にて評価するためにも解析にはGC注記の観点も入れておくべきだと考えています。
※ただし、多重共線性には注意が必要

GC注記の分析トレンド

諸外国での分析への応用

アメリカでは1990 年代前半に起きた BCCI 事件などの企業破綻を受けて,継続企業の前提に対応する監査基準が制定されている。
それもあってか、1990年よりロジットモデルにGC注記を説明変数に組み込む分析があります。例えば以下。
* Hopwood,W.,J.McKeown and J.Mutchler,(1989),”A Test of the Incremental Explanatory Power of Opinions Qualified for Consistency and Uncertainty, ”, Accounting REview,Vol.64,No.1,January,28-48
* Raghunandan, K. and K. R. Subramanyam(2003), ”Market Information and Predictive Accu-racy of the Going Concern Opinion, ”, working paper, Florida International University

日本での分析

GC 監査に倒産予測を利用する逆の発想から GC 監査の必要性を問う内容である GC 監査と倒産予測に関するサーベイといったものはあるが,実際にヒストリカルデータを利用した分析はありません(学士論文は除く)

倒産分析やるならロジスティック回帰分析

以下、参考にしてください。
※ちなみにGC注記のような、「ある・なし」はリスクファクターをダミー変数で表し、あるなら1、ないなら0のように評価するのが一般的です。
http://qiita.com/NaoyaOura/items/6ad5142b0306476d9293

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