#はじめに
UE4にはAdvancedSearch(詳細検索)というものがあります。
コンテンツブラウザでアセット名ではなくそのアセットが持つメタデータで検索をかけることができる機能です。
メタデータというのはコンテンツブラウザでアセットにオンカーソルしたときに見られる情報のことです。
こちらのドキュメントにも書いてある通り、デフォルトで様々なメタデータがありANDやORなどを使うことでより自由度の高い検索を行うことができます。
エディタ上での検索方法などはこちらのドキュメントで詳しく解説されているため、この記事では独自のメタデータを追加する方法をご紹介します。
#つくってみる
今回はUDataAsset
を継承した独自のデータアセットでメタデータを追加してみます。
UObject
を継承しているクラスであれば同様の方法で追加できます。
UCLASS()
class ADVANCEDSEARCHTEST_API UTestDataAsset : public UDataAsset
{
GENERATED_BODY()
public:
// UObject interface.
virtual void GetAssetRegistryTags(TArray<FAssetRegistryTag>& OutTags) const override;
// End of UObject interface.
protected:
UPROPERTY(EditDefaultsOnly, BlueprintReadOnly)
FName CharacterName;
UPROPERTY(EditDefaultsOnly, BlueprintReadOnly)
int32 TeamId;
};
一先ず、ゲームに登場するキャラクターのデータアセットだと想定してキャラクター名前とチームのIDを定義してみます。
次に、UObject::GetAssetRegistryTags
をオーバーライドします。この関数のOutTags
に追加されたデータがメタデータになります。
void UTestDataAsset::GetAssetRegistryTags(TArray<FAssetRegistryTag>& OutTags) const
{
Super::GetAssetRegistryTags(OutTags);
// キャラの名前を追加.
OutTags.Add(FAssetRegistryTag(
GET_MEMBER_NAME_CHECKED(UTestDataAsset, CharacterName),
CharacterName.ToString(),
FAssetRegistryTag::ETagType::TT_Alphabetical,
FAssetRegistryTag::ETagDisplay::TD_None
));
// チームIDを追加.
OutTags.Add(FAssetRegistryTag(
GET_MEMBER_NAME_CHECKED(UTestDataAsset, TeamId),
FString::FromInt(TeamId),
FAssetRegistryTag::ETagType::TT_Numerical,
FAssetRegistryTag::ETagDisplay::TD_None
));
}
OutTags
に追加したいデータを追加していうわけですが、この変数の型はFAssetRegistryTag
の配列で、FAssetRegistryTag
のコンストラクタはこのようになっており、
FAssetRegistryTag(FName InName, const FString& InValue, ETagType InType, uint32 InDisplayFlags = TD_None)
: Name(InName), Value(InValue), Type(InType), DisplayFlags(InDisplayFlags) {}
それぞれの説明は以下の通りです。
パラメータ | 詳細 | |
---|---|---|
InName | メタデータの名前を指定します。オンカーソルした時に表示されるUIで:の左側に表示されます | |
InValue | メタデータの値を指定します。オンカーソルした時に表示されるUIで:の右側に表示されます。 | |
InType | メタデータの種類を定義します。 | |
ETagType::TT_Hidden | これを指定するとオンカーソルした時のUIで表示されません。 | |
ETagType::TT_Alphabetical | これを指定するとアルファベット順でソートされます。 | |
ETagType::TT_Numerical | データが数値の場合これを指定します。 | |
ETagType::TT_Dimensional | xで区切る次元表示の場合これを指定します。(2x2のような感じ) | |
ETagType::TT_Chronological |
FDateTime::ToString から作成した文字列の場合にこれを指定します。 |
|
InDisplayFlags | オンカーソルしたUI上で特殊な表示方法を使いたい場合に指定します。 | |
ETagDisplay::TD_None | 特殊な表示方法を使わない場合はこれを指定します。(基本これ) | |
ETagDisplay::TD_Date |
TagType がETagType::TT_Chronological の時に日にちを表示したい場合はこれを指定します。(30/4/21のような感じ) |
|
ETagDisplay::TD_Time |
TagType がETagType::TT_Chronological の時に時間を表示したい場合はこれを指定します。(3:58 AMのような感じでもしかしたらMDT 米国山岳部標準時(夏時間) UTC-0600 固定で表示されるかも?) |
|
ETagDisplay::TD_InvariantTz |
TagType がETagType::TT_Chronological の時にタイムスタンプを不変のタイムゾーンを使用して表示する場合はこれを指定します。(使用してみたところそもそも表示されませんでした...) |
|
ETagDisplay::TD_Memory |
TagType がETagType::TT_Numerical でFText::AsMemory から取得した場合に使用可能です。バイト数を表示するものだと思われます。 |
#おまけ
上記の方法でUObject
を継承したアセットに独自のメタデータを追加できることがわかりました。
しかしBlueprintアセットの場合、コンテンツブラウザ上にあるのはそのクラスのオブジェクトではなくUBlueprint
型のブループリントアセットのオブジェクトなため上記の方法が使えないのではないかと思い少し調べてみました。
void UBlueprint::GetAssetRegistryTags(TArray<FAssetRegistryTag>& OutTags) const
{
// We use Generated instead of Skeleton because the CDO data is more accurate on Generated
if (GeneratedClass)
{
if (UObject* CDO = GeneratedClass->GetDefaultObject())
{
CDO->GetAssetRegistryTags(OutTags);
}
}
UBlueprint::GetAssetRegistryTags
では設定されているクラスのデフォルトオブジェクトのGetAssetRegistryTags
を呼んでいるため、UObject
を継承したものと同様の方法で独自のメタデータを追加できると思い試してみたところ、オンカーソルしたUI上では確認できませんでしたが検索では指定できたため追加はできるようでした。(どこかでデフォルトオブジェクトのメタデータを明示的に非表示にしているのかもしれない...)
UCLASS(Blueprintable)
class ADVANCEDSEARCHTEST_API UTestObject : public UObject
{
GENERATED_BODY()
public:
// UObject interface.
virtual void GetAssetRegistryTags(TArray<FAssetRegistryTag>& OutTags) const override;
// End of UObject interface.
private:
UPROPERTY(EditDefaultsOnly)
TMap<FName, FString> UserDefinedTags;
UPROPERTY(EditDefaultsOnly)
EObjectCategory ObjectCategory;
};
void UTestObject::GetAssetRegistryTags(TArray<FAssetRegistryTag>& OutTags) const
{
Super::GetAssetRegistryTags(OutTags);
FString ObjectCategoryString = FString(FName(NAME_None).ToString());
{
if (UEnum* EnumPtr = StaticEnum<EObjectCategory>())
{
ObjectCategoryString = EnumPtr->GetValueAsString(ObjectCategory);
}
}
// オブジェクトのカテゴリを追加.
OutTags.Add(FAssetRegistryTag(
GET_MEMBER_NAME_CHECKED(UTestObject, ObjectCategory),
ObjectCategoryString,
FAssetRegistryTag::ETagType::TT_Alphabetical,
FAssetRegistryTag::ETagDisplay::TD_None
));
for (const auto& UserDefinedTag : UserDefinedTags)
{
const FAssetRegistryTag::ETagType TagType =
UserDefinedTag.Value.IsNumeric() ?
FAssetRegistryTag::ETagType::TT_Numerical :
FAssetRegistryTag::ETagType::TT_Alphabetical;
OutTags.Add(FAssetRegistryTag(
UserDefinedTag.Key,
UserDefinedTag.Value,
TagType,
FAssetRegistryTag::ETagDisplay::TD_None
));
}
}
また、TMap
を使ってメタデータの名前と値を自由に設定することもできるようです。
#おわりに
商用タイトルの開発などでは、キャラクター名ではなく開発IDで管理されデータアセットなどの名前もファイルパスを短くする目的や解析対策として開発IDになっていることが多いと思います。
キャラクターの名前などを独自のメタデータとして追加することでAdvancedSearchを使ってキャラクターの名前などで検索できるため、アセットの検索をする効率がかなりアップするかと思います。
この記事で紹介したプロジェクトは以下でダウンロードできます。
https://github.com/Naotsun19B/AdvancedSearchTest