みなさんこんにちは!Qiitaをお読みの皆さんは、UiPath製品やユーザーガイドを何語でお使いでしょうか?
技術系の皆さんは英語版を使われることが多いのかもしれませんが、日本のユーザーのおよそ80%は言語設定を日本語にしてUiPath製品を使用しています(ユーザーガイドではさらに多く、なんと95%以上)。
そこで今日は、UiPathの日本語化を支える機械翻訳技術の活用について、少し紹介したいと思います。
申し遅れましたが、私はUiPathのローカライズチームで6年以上ローカライズ・翻訳に携わってきました。
ローカライズ部門が担当しているのは製品のUI(インターフェイスに表示されるボタンやラベルなど)とユーザーガイドの翻訳です。
入社した6年ほど前に比べてUiPath の製品数は大幅に増え、それに伴って翻訳のボリュームも増大。機械翻訳の導入により、限られたリソースでもスピーディーな日本語化に成功しています。
たとえば前四半期には、ユーザーガイドの約40%のページが機械翻訳で公開されました。
製品についても、Integration ServiceのコネクタのUIは機械翻訳で処理されています。*特に需要の高いコネクタについては、人間による翻訳が順次行われる予定です。
それ以外のガイド・製品は人間が翻訳していますが、こちらもすべて、あらかじめ翻訳エンジンが出力した機械翻訳を編集する手法(MTPEと呼ばれる)を採用しています。ゼロから翻訳するよりも作業速度はかなり上がります。
翻訳業界ではMTPEは時短にならないという意見もあり、私もそれについては同意するところもあるのですが、翻訳エンジンのトレーニング(後述)の方法や対象分野によっては、機械翻訳は翻訳者の心強い味方になりえます。UiPathのローカライズはその成功事例であると感じています。
また、ユーザーガイドについては、人間の翻訳が完了するまでの間は一時的に機械翻訳を公開しています。機械翻訳や人間翻訳を公開するまでのインターバルをできる限り短くするため、新しい技術を活用しながら定期的に作業フローの改良につとめています。
どのページにも一時的に機械翻訳が公開される可能性があるため、画像のようなバナーを常に表示しています。
このように機械翻訳をあらゆる場面で活用するとなると、重要なのはその正確さです。UiPathでは、自社専用にトレーニングした機械翻訳エンジンを使用しています。
このエンジンはUiPathのUIや技術文書の翻訳に特化してトレーニングされており、チームではトレーニングに使用する対訳データのメンテナンスにも力を入れています。機械翻訳エンジンのトレーニングについては未知の部分も多く、手探りの部分もあるのですが、現時点でBLEUスコア94.6を達成しています。
この数値は、Googleのドキュメントによると「人が翻訳した場合よりも高品質であることが多い」とのことですが、まだまだ至らない部分も多く、たまに笑えない誤訳が混ざっていることもあります^^;
とはいえ、無料で使える翻訳サービスに比べるとかなり精度が高いと感じます。社内文書の翻訳用にもこのエンジンを公開しているのですが、最近じわじわと人気になり、使用者数が増えてきました。笑
そんな翻訳エンジンの力も借りながら、チームでは今後も日本語版UiPathの総合的な品質向上と、翻訳版のスピーディーな公開を目指してまいります。日本語ユーザーの皆さんのUX向上に貢献できれば幸いです!
翻訳についてのご意見・ご感想等があれば、product-localization@uipath.com (受信専用) までご連絡ください。(なお、お寄せいただいた内容についての個別の回答はいたしかねますので、あらかじめご了承ください。)機械翻訳技術の発展にご協力くださいますと幸いです!
ちょっと変わり種の記事でしたが、読んでいただきありがとうございました。それではよいお年を!