はじめに
このたび、AWS コミュニティで活躍されている @minorun365 さん、@moritalous さん、@hedgehog051 さんが執筆された「Amazon Bedrock 生成AIアプリ開発入門」を読了いたしましたので、レビューをさせていただきます。
著者の @minorun365 さんより書籍をご恵贈いただきました。この記事はその書評を個人の見解として述べるものです。
本レビューが皆様の参考になれば幸いです。
Amazon Bedrock 生成AIアプリ開発入門
2024年6月26日に発売されています!
本書の特徴
本書の特徴として、特に以下の2つの特徴が際立っていると感じました。
1. 初心者にもやさしい
カラフルな図表を多用したり、なるべく平易な言葉で説明しようとする意図が感じられたため、Amazon Bedrockの初心者だけでなく、生成AI技術の初心者にも配慮された構成になっていると感じました。
また、各章に用意されているハンズオン資料も丁寧にに作られており、AWSの操作経験が少ない方でも、実装を最後まで完遂できるよう工夫されていると感じました。
2. 高い網羅性
重要度の高い項目にのみフォーカスするというよりか、網羅性を意識して書かれていると感じました。
例えば、AWS上で使用できるRAG(Retrieval-Augmented Generation)用の検索サービスについては、11種類も解説されています。
そのため、本書は読み物としてだけでなく、辞書的な参考資料としても使えると思います。
対象読者
本書は以下のような方々が読むと特に役に立つと思いました。
1. Amazon Bedrockや生成AI技術の初心者の方
前述の通り、予備知識が少なくても読みやすく、実践的に学習できると思います。
2. Amazon Bedrockに多少触れたことがあり、RAGやエージェントの実装に興味がある方
RAGやAIエージェントをAWS環境で実装するためのハンズオン資料やGitHubリポジトリのソースコードが用意されているので、すぐに実装に取り組めます。
3. Amazon Bedrockを本番環境で運用している人
基本的な知識はあるものの、現在運用中のアプリケーションに他にどんな選択肢があるか、どんな機能を追加すべきなのかを検討する際の参考資料として活用できます。
本書の対象から外れる可能性がある読者
逆に、以下のような目的をお持ちの方は、必ずしも期待に沿わない可能性があります。
1. クラウドベンダー間での生成AIサービスを比較検討したい方
本書は、Amazon Bedrockに焦点を当てており、Azure OpenAI ServiceやGoogle Cloud Vertex AIなど、他のクラウドベンダーが提供する生成AIサービスとの詳細な比較は含まれていません。
2. OSS含めた生成AIアプリケーションのベストプラクティスを求める方
本書ではAWS環境での「おすすめの構成」は紹介されていますが、LangChainなどのOSSフレームワークを含めたエコシステム全体での最適なアーキテクチャについては、十分な情報が得られない可能性があります。
読者別おすすめの読み方
基本的には、最初から読み進めることをお勧めしますが、効率的に学習したい場合や、目的が明確な場合は、以下のような読み方をお勧めします。
Amazon Bedrockや生成AI技術の初心者の方
まずは、「ハンズオン」タグが付いた項(例:2.10、3.5、3.6、4.2など)から始めることで、実際に手を動かしながら学習することをおすすめします。
その後、そのハンズオンを行った章を、最初の段落からに読み進めると、触れた概念や用語の理解を体深めることができると思います。
Amazon Bedrockに多少触れたことがあり、RAGやエージェントの実装に興味がある方
RAGについては第4章から、エージェントについては第5章から読み始めてみて、興味のある技術をすぐに実装することができます。
Amazon Bedrockを本番環境で運用している人
前述で申し上げた通り必要に応じて辞書的に使うことをお勧めします。例えば、
- AWSで実装可能なRAGのパターンの確認したい:第4章
- Amazon Bedrockの機能を網羅的に確認したい:第6章
- Amazon Bedrockと他サービスとの連携方法の確認したい:第7章
などなど
私はどちらかと言えば「Amazon Bedrockを本番環境で運用している人」に該当するので、この本は辞書的な使い方をしながら長い付き合いをしていくと思います。
さいごに
この本についてはここで紹介しきれない良い点もたくさんあります!
また、この本の出版により、コミュニティ全体でのAmazon Bedrockの利用が促進され、技術力がさらに発展することを期待しています!
そのようなコミュニティ全体の発展に寄与するであろう貢献をしてくださった著者の方々にもあらためて感謝を申し上げます。
ありがとうございました!