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育休中に情報処理技術者試験(応用→後にプロジェクトマネージャ)に合格した話

Last updated at Posted at 2022-02-04

この記事の目的

 インターネット上には、「育児休業中に資格を取ってスキルアップ☆」という記事が山のようにあります。
 そしてまた情報処理技術者試験の受験体験記も山のようにあります。
 しかし、**「育児休業中に情報処理技術者試験を受験した体験記」**が見つからなかったため、需要があるかもしれないと思い書くことにしました。
 同じように育休中に受験を検討している方(特に子の母親を想定)、そしてその方を支える家族の方に参考になればと思っています。後半のPM受験は育休明け後の話になるので、休業中でなくとも育児中なら参考になるかもしれません。
 先に書いておくと目新しい勉強法はほとんど書いてないです。

受験当時の自分の状況

産休前までの技術者としての経験

2013年に未経験新卒としてSESに入社(その後同業他社に転職1回)。
産休前には中堅(7年目)の開発メンバとして要件定義〜総合テストまで経験。インフラや保守運用の経験はなし。
PLやPM経験はまったくない。
ちなみに夫(子の父親)も同業者なので資格取得には理解がある状況。

休業・受験スケジュール

  • 2020年2月:産前休暇開始
  • 2020年3月:出産
  • 2020年10月:応用受験
  • 2021年5月:仕事復帰
  • 2021年10月:PM受験

受験しようと思ったきっかけ

 「育児をしながらこの仕事を続ける」と考えた時に、身近なロールモデルが運用の現場にいる人かPMをやっている人しかいないことに気づいたのが始まり。開発メンバでSESからのパートナーに、炎上時でも容赦無く定時退社したり突然数日間休んだりするリスクがある人をわざわざ選ばないということなのかもしれません。社内SEさんだとまた違うと思います。
 前述の通り運用の現場にいたことがないため、まだPMの方がイメージがついたからとりあえずそっちを目指すことにしました。
 とはいえ末端SESに未経験・ゼロ知識でPMの経験を積ませてくれる環境など皆無なので、まずはゼロ知識から脱却しようと思い受験しました。

受験を決意してから受験までの流れ(含育児の状況)

応用受験

受験半年前(生後2ヶ月まで):指先しか自由がない

 これから出産を控えている方の不安を煽るような見出しで申し訳ない。でも事実なので書きました。
 子供の性格や産後の肥立で個人差はあるけれど、どちらも良好な幸運の人はそう多くないと思うからこれがデフォルトだと思うくらいでいいです。

 私の場合は自分の健康は問題なかったです。しかし子供が私の胸の上にいなければいつまでも泣いているので、首がすわらないうちは指先以外の身体は常に子供を支えるために使われていました。ちなみに眠っている間もダメで、ベッドに置いた瞬間に起きて泣き喚いていました。

 指先だけでできる勉強法として、皆大好き**過去問道場でひたすら午前問題を解いていました**。とりあえず1日100問。50問はランダムで、残り50問は午後に選択する予定の分野に絞って解いていました。計算問題は正解の選択肢と計算方法だけ覚えて、計算はしなかったです(指先だけでは出来なかった)。
 この100問ノックは試験前日まで続きます。

受験3ヶ月前(生後5ヶ月まで):1回1時間程度の自由が1日に数回出来る

 里帰りも終えてなんとか自宅育児も慣れてきたころ、ようやく母の胸の上よりベビーラックの方が寝心地がいいことに子供が気づいてくれました。

 子が眠くなりそうなタイミングにラックに乗せて揺らせば、運がよければそのまま眠る。この自由な時間で家事を瞬足で終わらせた後にまだ起きなければ以下の勉強をしていました。

  • 午前問題の計算問題を計算したうえで解く
  • 午後問題の過去問題をPCで解く

 やはりここでも応用情報技術者試験ドットコムさんのお世話に。応用の午後問題は入力したら自動で模範解答との合致度を出してくれるので、回答精度の上昇に役立ちました。
 尚、午後の問題選択についてはまったくできない分野が多く消去法で下記に絞ってやっていました。

・ セキュリティ
・ データベース
・ 情報システム開発
・ プロジェクトマネジメント
・ サービスマネジメント
・ システム監査

 ただし、ちょっとの物音でも起きるのがこの時期。起きたらまた指先のみの自由に戻るため、文章を読み込んでじっくり回答を考えることや、時間を測って解いてみることは不可能です。

受験直前(生後7ヶ月まで):自由な夜が訪れる

 このあたりになると夜中は比較的まとまって眠ってくれるようになりました。夜泣きをしたとしても深夜4時ごろが多く、私も勉強はやめて寝ている時間なのであまり関係なし。  つまり、**21時ごろに寝かしつけてしまえば後は自分が眠くなるまでは自由になる**ことを許されたのです。  最後の追い込みとしてこの時期にやっていた勉強が以下です。
  • 保険として経営戦略の午後問題に手を付ける
  • 図が少なく文章が多い午後問題を解く(これまでやれなかったため)
  • 時間を測って午後問題を手書きで解く

 結果的に経営戦略はやっといてよかったです。当日情報システム開発とプロジェクトマネジメントがわからなすぎて、試験終了間際にこちらに鞍替えしたので…。
 手書きでの回答は、慣れておかないと当日漢字がわからず字数制限にひっかかることがありそうなのでやっておきました。この手書きが辛い問題は応用よりPMで感じることになるので、もっと日頃から字を書かないといけないと後に思います。

受験当日(生後8ヶ月くらい):実家に子を預けて受験

 夫も受験していたため、当日は前日から実家に泊まり、そのまま預けて受験会場に向かいました。意識していた訳ではないけれど、やっといてよかったというのが以下の点です。

  • 予め実家に行く機会を何度か設け、場所見知りや人見知りをなくしておく
  • 良くも悪くも母親(自分)以外の人間と触れ合う機会を多くさせ、後追いを減らす
  • ミルク育児←これが一番大事!!

 はっきり言って、**完母の人に情報処理試験の試験時間はかなり厳しいと思います。**子供は冷凍させた母乳を与えることも出来るけれど、母体は試験終盤に胸が張って全力が出せないんじゃないでしょうか。休憩時間に搾乳したとしても試験は2時間半もあります。高度試験に至っては休憩の15分で搾乳もして休憩もしてなんて無理では。子供をミルクに慣れさせると同時に、自分の身体も試験に耐えられるようにすることが大切です。
 書くのは簡単だけど、これが大変なお子さんがいることもわかっています。自分と子供の身体第一で、試験を受けるかどうか考えてください。

PM受験

応用合格後〜職場復帰前(生後1歳前後):「子が出来ると人間関係が倍になる」を知る

 この頃になると起きている間も抱っこしていなくてもおもちゃで遊べるようになり、育児がかなり楽になりました。  しかし、**「育児ではないが子供がいなければ発生しないタスク」**が世の中にあることを知ったのもこの時期です。PTAやママ友付き合いがその筆頭ですね。  私の場合経緯は割愛しますが、定期的に人前でギターを弾くことになりました。ちなみにギターは10年前お遊びで買っただけでほとんど弾けません。でも私の人生によるタスクではなく子供の人生によるタスクなのでこれを書いている今も頑張って弾いてます。

 とにかく子供が大きくなれば手が離れてもっと勉強に時間を費やせると思っていたがそんなに甘くはなかったということです。子供が寝ている間はギターは弾けないので、結局勉強時間はこれまで通り子供の昼寝中か就寝後のままでした。
 この時期やっていた勉強は以下の通りです。

  • PMの概要について書かれた本を読む
  • PM試験の頻出単語を覚える
  • 過去問道場で午前Ⅱの過去問題を解く

 ここでようやく参考書の登場です。

PMの概要について書かれた本を読む

 PM経験がないので、まずはどんな用語を用いてどんな仕事をするのかを知る必要がありました。果たして自分が挑戦できそうな資格なのかどうかもわからなかったので、図書館で借りた上の本を最後まで読めたら受験を確定させることにしました。無事読めたしプロジェクトマネジメントの勉強は面白そうと思えたので、下の本を購入し、受験を確定させました。
 この下の本と著者である三好康之先生には受験前日までかなりお世話になりました。本そのものよりも付録がこの本の肝だと思うので、本文だけ立ち読みして微妙だった人も付録の内容を見た上で買うか吟味してほしいです。大量の過去問解説PDFや動画は本当に重宝しました。付録の立ち読みが出来ればいいのに!

PM試験の頻出単語を覚える

 頻出単語については下の本の巻末に一覧になっていたので、それを**単語カードに書き写し、暇さえあれば眺めるようにしていました。**ワクチンの接種会場とかで見ていた気がする。
 尚、三好先生も推奨していませんが、**最初に本を一通り読んでみることはおすすめしません。**知らない言葉が多すぎてモチベーションが下がるし、4章に差し掛かることには1章のことは忘れています。実際それをやったせいで多大な時間を無駄にしたので、同じことをする人がこれ以上出ないことを祈りながらここに書いています。

過去問道場で午前Ⅱの過去問題を解く

 ここでも出てきた過去問道場。午前に関してはこれと、更にSCの過去問道場も解きました。PMの午前Ⅱはセキュリティ問題の割合も高いと三好先生が解説されていたためです。実際受けた感覚でもそうだったのでやっといてよかったです。応用受験から2年以内であれば流用問題も多いので午前Ⅱはあまり注力しなくても大丈夫かと思います。

職場復帰〜PM受験(生後1歳〜):約束された自由を得る

 職場復帰をして、今までよりも勉強時間が取れなくなると思いきやそんなこともありませんでした。  これまではいつ終了するかわからないお昼寝タイムが勉強時間だったのが、子供が保育園に行くことにより、仕事の昼休み中は自由に勉強ができることを確約されたためです。これは嬉しい誤算でした。

 当時は**「仕事中の昼休み」「子供の就寝後」「土日のお昼寝時間」**が勉強時間となりました。また、土日のお昼寝時間は夫と交渉のうえ、外で勉強することを許されたため子供が早めに起きて中断するリスクはあまり気にしなくてもよくなりました。代わりに午前中はワンオペ育児となりましたが…。
 やっていた勉強は以下の通りです。

  • 仕事中の昼休み:午後Ⅱの過去問を読み、午後Ⅰの過去問を題材に骨子作り
  • 子供の就寝後:午後Ⅰの過去問を解く、家事などで時間がない時は午後Ⅱのサンプル論文を写経
  • 土日のお昼寝時間:昼休みにしたためた骨子をもとに午後Ⅱの論文作成

午後Ⅱの骨子作り・論文作成

 骨子はまず自分で書いてみて、その後三好先生の解説動画を見て足りないところを追加という形にしていました。PM受験に関しては完全に三好先生に依存して挑んでいます。
 1週間のうち平日は5日に対して土日は2日しかないので、骨子だけで終わった問題の方が多いです。ちゃんと文章にしたのは約20本で、そのうち手書きで書いたものが5本、時間を測って時間内に書き切ったのは1本だけです。

 PMの経験がないので**プロジェクトの概要も含めて午後Ⅰの問題から流用していました。**最終的には自分が参画したプロジェクトに落とし込んで書けるようになったので、最初はこれでもいいかな、と思います。
 とくに品質をテーマにした問題の基準値の数字集めは、普段在籍しているPJで集めることは厳しかったので、過去の午後Ⅰの基準値を覚えていつでも使えるようにしていました。

 回答した過去問題は、参考書で「時間はかって書いてみるべき過去問」として紹介されていたものにプラスして、三好先生がブログで「出るかもしれない」と仰っていたセキュリティの問題と、参考書に掲載されていた「新傾向問題」も解いていました。DXは知識がなさすぎたので情報収集に苦労しました。
 下記の連載がわかりやすくて更新を心待ちにしてました。私の受験までには第一回しか掲載されていませんでしたが、受験後もよくチェックしてます。

午後Ⅰの過去問回答

 午後Ⅰは1日1問解いて三好先生の解説を読み込んでいましたが、同じ問題を2回解いて同じ間違いをすることが多すぎました。時間対効果が全然合っていなかったので、最後は問題を印刷して余白に模範解答を書き、赤シートで隠して回答する形式にしました。そうすると1日で10問くらいは解けます。
 三好先生が参考書であげていた「問題文と回答をセットで覚えるべき問題」と、三好先生が試験直前にあげていたブログで「出そうな気がする」と仰っていた分野の問題をひたすらやりました。

午後Ⅱのサンプル論文写経

 初めてやってみた時に震えました。自分はこんなにも字が書けなくなっているなんて思いませんでした。筆圧が強すぎて設問ウの頃には手首が動かなくなりました。プニュグリップを購入し、疲れない字の書き方を練習していました。
 ここが一番の不安要素ってくらい大変だったので、筆圧強めな人は早めにとりかかることをおすすめします。

 論文の写経は頻出単語を書いて覚える練習や、論文の構成の参考になるので最初にやってみて損はないと思います。前述の参考書はサンプル論文の出来にバラつきがあったので、写経用に下記の本を購入しました。
 サンプル論文の質以外は先に紹介した本と大差ないので、他の試験区分を受けたことがある人などは不要かと思います。

PM受験当日(1歳半):2回目の実家に預けて受験

 応用とまったく同じなので割愛します。この頃には離乳食も終わっていました。
 ちなみに午後Ⅱは自分の参画PJでも過去の午後Ⅰでもない、その場で思いついた妄想PJで書きました。
 また、私が受験した回での午後Ⅱの問題は人間関係についてかスケジュール管理についてでした。個人的には、PMの実務経験がない人は午後Ⅱで人間関係についての問題は選ばない方がいいと思います。三好先生は「人間関係はヒューマンドラマにならないように」とよく言っていますが、実際自分も書いてみると文字数が稼げやすい割にPMとしての視点がぼやけがちな印象がありました。しかも字数や内容はそれなりにあるからいいのか悪いのか自分では判断しにくかったです。それよりは午前Ⅱや午後Ⅰの対策で培われたPMとしての知識で文字数を稼ぐ方が高評価は狙える気がします。私もスケジュール管理の方を選んで無事A評価をもらえました。

終わりに

 ここでは、「育児休業中に資格を取ってスキルアップ☆」の「育児休業中に資格を取って」までを書きました。「スキルアップ☆」については、自分自身が試験に合格した前後で変わらない日々を送っているので何も書けません。あえて言うならPMにとって都合のいいメンバーの振る舞いがわかるようになったのがスキルアップといえばスキルアップかなと思っています。また、PMを勉強したことにより、PMの仕事にも興味が持てたので、今後出来たらいいなと前向きな気持ちになれました。

 この業界も変わってきて、育児をしながらでも続けられるような道が出来つつあります。自分は保険のような気持ちでPMを取得したけれど、「PMか運用か」みたいなロールモデルは終わりになるのではと思うし、そうなってほしいです。私もこのまま開発案件のSEとして仕事を続けていきたいのが本音です。今のリモートワークによりお迎え時間をあまり気にせずに仕事が出来る内に、もう少しSEとしてのスキルをあげたいと思っています。SEの資格と言われているSAも2年以内には挑戦したいです。

 最後に、先に紹介したPMの参考書の付録にある合格体験記より、三好先生の言葉を引用します。

 受験者の年齢層的に,小さい子供がいることも多いだろう。もちろん,主婦として家事をも担当しながら資格試験に挑戦する人もいる。専業主婦でも大変なのに,仕事に資格にと…どうすればそんな偉業を成し遂げることができるのか。

 受験者に寄り添う言葉を多くかけてくれる三好先生なので、多少のリップサービスもあるとは思いますが、受かったら「偉業成し遂げたぞ!」と自分をたっぷり褒めていいんじゃないでしょうか。ご褒美いっぱい用意しましょう。私は高額な美顔器買っちゃいました。
 どうか身体に無理せず頑張ってほしいです、ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

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