MySQLテーブルバックアップ4選：現場で使える実践ガイド

はじめに

データベース管理者が知っておくべき4つのバックアップ手法を解説。開発環境から本番環境まで、規模や要件に応じた最適な選択ができるよう構成しています。

1. mysqldumpを使った基本バックアップ

基本構文

mysqldump -uユーザ名 -pパスワード DB名 テーブル名 > 出力ファイル.sql

パラメータ詳細

オプション	説明	注意点
-u	接続ユーザ名	root以外のユーザ使用時必須
-p	パスワード	特殊文字含む場合は実行後入力が安全
DB名	対象データベース	SHOW DATABASES; で確認可能
テーブル名	特定テーブルのみバックアップ	複数指定可能
>	出力リダイレクト	絶対パス指定推奨

実践例

mysqldump -u${USER} -p${PASS} ecommerce orders > /backup/orders_$(date +%Y%m%d).sql

トラブルシューティング

/* 権限エラー発生時 */
GRANT SELECT, LOCK TABLES ON *.* TO 'バックアップユーザ'@'localhost';

2. MySQL WorkbenchのGUIバックアップ

操作フロー

注意点

• ファイル出力先：ローカルマシンのパスを直接指定不可（サーバー側のパスが必要）
• 大容量データ：Advanced Optionsでchunkingを有効化

3. SELECT INTO OUTFILEでCSV出力

完全版構文

SELECT * INTO OUTFILE '/path/file.csv'
CHARACTER SET utf8mb4
FIELDS
  TERMINATED BY ','
  ENCLOSED BY '"'
  ESCAPED BY '\\'
LINES
  TERMINATED BY '\r\n'
FROM テーブル名
WHERE 条件;

設定項目比較

項目	推奨値	Excel対応	日本語対応
文字コード	utf8mb4	△	○
改行コード	\r\n	○	-
エスケープ	\	○	-

権限設定

-- ファイル書き込み権限付与
GRANT FILE ON *.* TO 'ユーザ名'@'localhost';

エラー対応表

エラー内容	解決策
1290	secure_file_priv設定を確認
1045	FILE権限を付与
1366	文字コードをutf8mb4に統一

4. バイナリログバックアップ

設定手順

1. my.cnf編集：

[mysqld]
log-bin=/var/log/mysql/mysql-bin.log
expire_logs_days=7
max_binlog_size=100M

1. サービス再起動：

sudo systemctl restart mysql

5. バックアップ自動化の高度な手法

5-1. 自動化パイプライン構築例

5-2. 実践自動化スクリプト

#!/bin/bash
# バックアップ実行
mysqldump --single-transaction -u$user -p$pass dbname | gzip > backup.sql.gz

# 暗号化処理
openssl enc -aes-256-cbc -salt -in backup.sql.gz -out backup.enc

# クラウド転送（API連携事例）
curl -X POST -H "Authorization: Bearer $token" \
     -F "file=@backup.enc" \
     https://api.cloudstorage.com/upload

5-3. API連携の効率化手法（Apidog連携事例）

大規模環境ではバックアップ完了後の処理自動化が必須です。APIテストツールのApidogを活用すると以下のメリットが得られます：

• テストレポート：自動テストの実行が完了すると、テストレポートが出力されます
• カスタム通知：Webhook/Slack/Jenkins/Emailへの自動連携

6. 総合比較表

方式	処理速度	容量	復旧精度	自動化	学習コスト
mysqldump	△	大	◎	○	低
Workbench	×	大	○	×	最低
OUTFILE	◎	中	△	○	中
バイナリログ	○	小	◎	◎	高

7. 現場で役立つ重要ポイント

3-2-1ルール

• 3つのコピー
• 2種類のメディア
• 1つは遠隔地保管

ベストプラクティス

復旧戦略

1. フルバックアップ（毎週）
2. 差分バックアップ（毎日）
3. バイナリログ（常時）

チェックリスト

• バックアップファイルの整合性確認
• 復旧時間の計測（RTO）
• 暗号化処理の実施
• 保管期間の明確化

おわりに

実際にバックアップ取得後は、必ずリストアテストを実施しましょう。「バックアップがある」と「復旧できる」は全く別次元の問題です。本ガイドが堅牢なデータ保護体制構築の一助となれば幸いです。