はじめに
GraphQLとRESTにはそれぞれの強みと特徴があり、これらの違いを理解することで開発者は特定のニーズに最適なアプローチを選択できる。この記事ではGraphQLとREST APIの主要な違いを掘り下げ、十分な情報に基づく判断を支援する。
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REST APIとは
REST(Representational State Transfer)は誕生以来広く採用されてきたアーキテクチャスタイルだ。ステートレスなクライアント-サーバー通信モデルに依存し、GET、POST、PUT、DELETE、PATCHなどの標準的なHTTPメソッドを使用してCRUD(Create、Read、Update、Delete)操作を実行する。REST APIはURI(Uniform Resource Identifier)で識別されるリソースを中心に構成される。
RESTの主な特徴:
- リソースベース:各リソースはURIで識別され、これらのリソースに対して操作を実行
- ステートレス:クライアントからサーバーへのリクエストには、サーバーがリクエストを処理するために必要なすべての情報が含まれる
- 標準メソッド:通信に標準的なHTTPメソッドを使用
- スケーラビリティ:ステートレスな性質によりREST APIは高度にスケーラブル
- キャッシュ可能:レスポンスを明示的にキャッシュ可能または不可能としてマークでき、サーバー負荷を軽減してパフォーマンスを向上
- レイヤード システム:プロキシやゲートウェイなどの中間層が機能できるレイヤー化されたアーキテクチャを許容
GraphQLとは
GraphQLは2012年にFacebookが開発し、2015年に公開されたクエリ言語だ。クライアントが必要なデータを正確にリクエストできるようにすることで、RESTよりも柔軟で効率的な代替手段を提供する。これによりREST APIでよく見られるデータの過剰取得や過少取得の問題を解消する。
GraphQLの主な特徴:
- クエリベース:クライアントが必要なレスポンスの構造を指定
- 単一エンドポイント:すべての対話が単一のエンドポイントを通じて行われる
- 強力な型付きSchema:データの型とそれらの関係を定義するSchema
- 効率的なデータ取得:クライアントは必要なデータのみをリクエスト可能で、転送データ量を削減
- イントロスペクション:クライアントはSchema自体に問い合わせて利用可能な型と操作を理解でき、強力な開発ツールとドキュメント生成を実現
- リアルタイムデータ:サブスクリプションによりリアルタイムのデータ更新をサポート
GraphQLとREST APIの主要な違い
1. データ取得
REST:
サーバーがレスポンスの構造を定義する。クライアントは必要以上のデータを受け取る(過剰取得)か、必要なデータをすべて集めるために複数のリクエストが必要になる(過少取得)。例えば、RESTエンドポイントはユーザー名とメールアドレスのみが必要な場合でも、ユーザープロファイル全体を返す可能性がある。
GraphQL:
クライアントが必要なデータを正確に指定できる。1つのリクエストで複数のリソースからデータを取得でき、リクエスト数と不要なデータ転送を削減する。例えば、GraphQLクエリは1回の呼び出しでユーザー名とメールアドレスのみを要求でき、過剰取得を避けられる。
2. エンドポイント
REST:
通常、異なるリソースに対して複数のエンドポイントが必要。各リソースは独自のURIを持つ。例えば、REST APIでは/users、/posts、/commentsが別々のエンドポイントになる可能性がある。
GraphQL:
すべての対話に単一のエンドポイントを使用。クライアントは必要なデータを取得するためにこのエンドポイントにクエリを送信する。すべてのデータリクエストに1つのエントリーポイントしかないため、API設計が簡素化される。
3. 柔軟性
REST:
データ取得の面で柔軟性が低い。サーバーがレスポンスの構造を決定し、クライアントはそれに適応する必要がある。必要なデータが複数のリソースにまたがる場合、クライアントは複数のリクエストを行い、クライアント側でデータを集約する必要がある。
GraphQL:
非常に柔軟。クライアントがレスポンスの形状と構造を定義でき、より適切で効率的なデータ取得が可能。この柔軟性により、クライアント側のコードの複雑さを大幅に削減し、ネットワークリクエスト数を減らしてパフォーマンスを向上できる。
4. バージョニング
REST:
変更に対応するためにAPIのバージョニングが必要になることが多い。既存のクライアントを壊すことなく機能を追加または変更するために新しいバージョンが導入される。例えば、/v1/usersと/v2/usersが同じリソースの異なるバージョンを表す場合がある。
GraphQL:
通常バージョニングは不要。変更はSchemaを通じて管理でき、クライアントは他の変更に影響を受けることなく必要なフィールドをリクエストできる。Schemaは既存のクライアントを妨げることなく、新しいフィールドやタイプを追加して進化できる。
5. エラー処理
REST:
HTTPステータスコードでリクエストの成功または失敗を示す。追加のエラー情報はレスポンスボディに含まれることが多い。例えば、404 Not Foundステータスコードは要求されたリソースが存在しないことを示す。
GraphQL:
レスポンス内の専用のerrorsフィールドで詳細なエラー情報を提供。部分的なレスポンスが可能で、クライアントは部分的な成功/失敗シナリオをより適切に処理できる。例えば、クエリは失敗したフィールドのエラーメッセージと共に部分的なデータを返すことがある。
6. ドキュメントとツール
REST:
Swagger/OpenAPIなどの外部ツールを通じてドキュメントが提供されることが多い。開発者はAPIの現状を反映するためにドキュメントを手動で維持する必要がある。
GraphQL:
ドキュメントはSchema自体に本質的に組み込まれている。GraphiQLやGraphQL Playgroundなどのツールは、APIの探索とクエリのテストのための対話的な環境を提供する。イントロスペクション機能によりクライアントはSchema自体に問い合わせ、最新のドキュメントを自動的に生成できる。
7. パフォーマンス
REST:
過剰取得と過少取得により、必要なデータをすべて集めるために複数のリクエストが必要になる場合があり、パフォーマンスに影響を与える可能性がある。ただし、RESTのステートレスな性質は分散システムでのスケーラビリティ向上につながる。
GraphQL:
クライアントが必要なデータのみをリクエストできるため、パフォーマンスを向上できる。ただし、複雑なクエリはサーバーに負荷をかける可能性があり、慎重な最適化とパフォーマンス監視が必要。
RESTを使用すべき場合
-
シンプルなCRUDアプリケーション:
基本的なCRUD操作が主体のアプリケーションにRESTは適している。アプリケーションが主に明確に定義されたリソースに対する基本的な作成、読み取り、更新、削除操作を含む場合、RESTはシンプルで効果的な選択肢となる。 -
明確に定義されたリソース:
リソースとその関係が明確に定義され、安定している場合、RESTのリソース指向アプローチがうまく機能する。データモデルが頻繁に変更される可能性が低い場合、RESTは明確で予測可能な構造を提供する。 -
キャッシュ可能なリクエスト:
RESTは標準的なHTTPメソッドとステータスコードを使用するため、キャッシングが容易。パフォーマンスにとってキャッシングが重要な場合、RESTのHTTPキャッシング機能の組み込みサポートが有利になる。 -
既存のエコシステムとツール:
RESTには幅広いツール、ライブラリ、ベストプラクティスを持つ成熟したエコシステムがある。チームがすでにRESTに精通している場合、またはRESTを使用する他のシステムと統合する場合、このアプローチを維持する方が実用的かもしれない。
GraphQLを使用すべき場合
-
複雑なクエリ:
複雑なクエリと複数のソースからのデータ取得が必要なアプリケーションに最適。クライアントが深くネストされた、または関連データを取得する必要がある場合、GraphQLのクエリ言語は1つのリクエストで効率的なデータ取得を可能にする。 -
クライアント固有のデータニーズ:
異なるクライアント(モバイルvsウェブなど)が異なるデータ要件を持つ場合、GraphQLの柔軟性により各クライアントは必要なデータのみをリクエストできる。これにより転送されるデータ量を削減し、パフォーマンスを向上できる。 -
迅速な開発:
広範なバージョニングを必要とせずに、迅速な反復と開発が可能。GraphQLのSchema進化機能により、既存のクライアントを壊すことなく新しいフィールドとタイプを簡単に追加できる。 -
リアルタイムアプリケーション:
サブスクリプションによりリアルタイムのデータ更新をサポート。ライブフィードや通知などのリアルタイム機能が必要なアプリケーションの場合、GraphQLのサブスクリプションモデルが堅牢なソリューションを提供する。 -
統合されたデータアクセス:
アプリケーションが複数のソース(データベース、サードパーティAPI、マイクロサービスなど)からデータを集約する必要がある場合、単一のAPIエンドポイントを通じて様々なバックエンドと統合できるGraphQLの機能により、データアクセスと管理が簡素化される。
課題と考慮事項
セキュリティ
REST:
認証と認可の管理、一般的なWebの脆弱性(SQLインジェクション、XSSなど)からの保護、HTTPSを介した安全なデータ転送の確保などのセキュリティ考慮事項がある。REST APIは通常、認証にトークン(JWT)やAPIキーを使用する。
GraphQL:
同様のセキュリティ考慮事項が適用されるが、GraphQLクエリの柔軟性により追加の課題が生じる可能性がある。例えば、悪意のあるクライアントがサーバーに負荷をかける複雑なクエリを作成する可能性がある(クエリの深さと複雑さの制御)。レート制限、クエリのホワイトリスト化、永続的クエリでこれらのリスクを軽減できる。
学習曲線
REST:
RESTアーキテクチャスタイルは比較的わかりやすく、広く理解されている。ほとんどの開発者はHTTPメソッドとステータスコードに精通しており、導入と実装が容易だ。
GraphQL:
新しいクエリ言語とSchemaベースのアプローチの理解が必要。初期の学習曲線は急かもしれないが、長期的には柔軟性と効率性のメリットが複雑さを上回る可能性がある。
ツールとエコシステム
REST:
ドキュメント、テスト、モニタリング(Swagger/OpenAPI、Postmanなど)のための幅広いツールを持つ成熟したエコシステムがある。RESTfulの原則は確立されており、様々なプログラミング言語用のフレームワークとライブラリが利用可能。
GraphQL:
Apollo、Relay、HasuraなどのツールがGraphQL APIの構築と管理のための堅牢なソリューションを提供し、エコシステムは急速に成長している。
終わりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この記事を読んで少しでも理解を深めていただければ幸いです!