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エラスティックリーダーシップを読んだ

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エラスティックリーダーシップを読んだので読書メモ。

チームリーダーマニュフェスト

エラスティックリーダーシップって?

まず、チームの状態には「サバイバルフェーズ」、「学習フェーズ」、「自己組織化フェーズ」という3つの状態(後述)が存在する。エラスティックリーダーシップとは、この3つの状態に合わせて柔軟にリーダーシップスタイルを変化させるアプローチのこと。ある特定のリーダーシップスタイルを押し付けてはいけない。
※「エラスティック」には「伸縮自在の」という意味がある。

エラスティックリーダーシップで目指すところ

チーム内のスキルを「自己組織化フェーズ」まで継続的に成長させることを目指す。幸せなチームは顧客と雇用主の両方を幸せにする。そのためには、以下を追求する必要がある。

  • 全員が安全地帯にとどまるのではなく、自分自身とチームがより良くなるために挑戦していく
  • 特定のリーダーシップスタイルを押し付けるのではなく、必要に応じてリーダーシップスタイルを変化させる
  • マシンとばかり向き合うのではなく、人とのやりとりに参加する

チームが持つ3のフェーズとそれぞれに合わせたリーダーシップスタイル

前述した通り、チームは「サバイバルフェーズ」、「学習フェーズ」、「自己組織化フェーズ」という3つの状態を持っており、それぞれの状態に応じてリーダーシップスタイルを柔軟に変化させる必要がある。

サバイバルフェーズとリーダーシップスタイル

サバイバルフェーズとは、チームにゆとり時間がなくスケジュール遅延、常に残業して火消しをしている状態。一部の人は、本来は壊れていてはいけないはずの何かを直すことに居心地の良さを感じてしまっている。中毒症状に陥ると、今している火消しが自分達を楽にし、現状を切り抜ける唯一の手だと自分自身を納得させてしまう。

この状態で必要なリーダーシップスタイルは「指揮統制」スタイルである(所謂トップダウンというやつだろうか)。メンバーが参加する会議は避け、リーダー自らが判断し、メンバーに指示するスタイルで、メンバーの時間を作り出し早くサバイバルフェーズを抜けることを目的とする。また、チーム内の問題もリーダー自ら解決に動く。とにかく、メンバー管理をしっかり行い時には他のチームから自分のチームを守る等、このフェーズを抜けることを一番の目的として指揮統制を行うことが重要。

学習フェーズとリーダーシップスタイル

サバイバルフェーズを抜けると学習フェーズに入る。学習フェーズとは、チームがゆとり時間を持ち、それを新しいスキルの習得時間に充てている状態のこと(学習しながら業務をこなせている状態)。

この状態で必要なリーダーシップスタイルは「コーチ・メンター」スタイルである。チームを谷に飛び込ませ(例えば、新しいスキル習得のために宿題・課題を課す等)、チームメンバーが自分達で問題を解決できるように教え挑戦させることで、自己組織化フェーズへ近づけることを目的とする。このスタイルでは、メンバーの失敗を責めたり、過剰なプレッシャーを与えてはいけない。常に暖かく見守り、いつでもフォローできる状態にしておく。

自己組織化フェーズとリーダーシップスタイル

チームにスキルがあり(もしくはチーム自身でスキルを獲得する方法を知っていて)、また、メンバーそれぞれが問題を自分達で解決できるスキルがあり、自分達で意思決定ができている状態が自己組織化フェーズ。

この状態で必要なリーダーシップスタイルは「ファシリテーター」スタイルである。リーダーはファシリテーターとなってその状態を維持する必要がある。また、リーダーはチームの生産性には関与せず、チームの運営はチーム自身に任せながら、目的を達成するためにメンバーやチームに働きかけをする支援者ともなる。その分リーダー自身の時間が空いてくるので、その時間を使って実験をしたり、チームを発展させるためのアプローチを試したり、制約やチームの目標を探ったりできる。

冒頭の「エラスティックリーダーシップで目指すところ」でも述べた通り、チームリーダーはチーム内のスキルを本フェーズまで継続的に成長させることを目指す必要がある。

影響パターン

誰かの主要な振る舞いを変えたい場合、変化にまつわる6つの影響力を軸に考える。

分類 影響力
個人 1. 個人レベルの能力
2. 個人レベルのモチベーション
社会 3. 社会レベルの能力
4. 社会レベルのモチベーション
環境 5. 環境レベルの能力
6. 環境レベルのモチベーション

それぞれの影響力の説明は以下の通り。

影響力 説明
1. 個人レベルの能力 メンバーは必要なことを実行するための全てのスキルと知識を持っているか
2. 個人レベルのモチベーション メンバーは正しい行動に満足を覚え、間違った行動を嫌うか。正しい行動をとるのが困難な時でも、それを行う自制を持っているか
3. 社会レベルの能力 とりわけ危機的な時、あなたや別の誰かによって、必要な支援、情報、リソースが提供されるか
4. 社会レベルのモチベーション 周囲の人々は正しい行動を積極的に促し、間違った行動を抑止しているか。あなたや他の人々は、効果的な方法で正しい行動の模範となっているか
5. 環境レベルの能力 環境(建物や予算等)には、正しい行動を便利にしたり手軽にしたり、安全にする側面があるか。道から外れないための手がかりや注意はあるか
6. 環境レベルのモチベーション あなたや別の誰かが正しい方法で行動した時、明解で有意義な報酬(給与、手当、インセンティブ等)があるか。短期的な報酬は、起こしたいあるいは避けたいとあなたが望んでいる長期的な結果や行動に合っているか

上記をチェックリストとして1つ1つ確認しながら、どの影響力に問題があるかを特定し行動を変える必要がある。

個人的にいいなと思ったワード

以下引用。

  • 幸せなチームは顧客と雇用主の両方を幸せにする。
  • 偉大なチームは成長によって作られる。雇うことで作られるものではない。
  • リスクをとる勇気がない者は、人生において何も達成することができない。
  • バス因子に対処する。
  • 問題を自力で解決できるよう教え挑戦させることで、自己組織化チームへ育てる。
  • マネジメントは厳しい仕事だ、だからこそ報酬も高い。
  • お前は向いていないんじゃない、やってないだけだ。
  • 谷は最終的には終わって、あなたは新しい知識ともに飛躍することになる。
  • 楽な方とリスクのある方だったら、リスクのある方を選ぶ。

最後に

リーダーシップについて語っている本は多数あるが、どれも一般ビジネス書籍としての本であることが多い。それに比べこの本は我々システム開発者に焦点を当てた本であるため、ここには書ききれなかった目から鱗ポイントが他にも多々あった。また、第Ⅴ部以降は寄稿を依頼した方々によるエッセイとなっていて、そちらにもかなり有用なことが書いてあった。興味のある人はぜひ手に取って読んでもらいたい。

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