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僕が社員に賭けようと思った2つの出来事

Last updated at Posted at 2020-12-25

ネクストスケープとは

ネクストスケープは明らかにベンチャーなんですが、
実は創業から20年以上も続く伝統あるベンチャーなんです。

社員数も2020年12月25日時点で90名を超えて
20年かけて多くの理解あるお客様と優秀な社員に支えられてちょっとずつ大きくなってきました。

主な事業は、一般的にSI。。。System Integrationというお仕事で、
それもCloud上での開発がメインでAgileで開発することが多いのも特徴でしょうか。

さて、僕はこのSIという言葉がなんとなく、「お客様に言われたことを言われたとおりに作る仕事でしょ?」
って思われるのがずっと嫌で。
ネクストスケープは何の会社なの?って言われるたびにSIの会社ですって答えるのが嫌でした。
実際にやってることは言われたことを言われたとおりに、言われたことしか作らない、
なーんてことは一回もしたことがないのに。少なくとも僕が関わってる仕事は。

そして多かれ少なかれうちの会社の社員たちは言われたことしかやらない奴なんていないと思っています。
みんな、少しでもclientのその先のcustomerにとってより良いものを作ろうと
日々、努力と研鑽をしていると思っています。
じゃあ、clientのことは無視しているのかっていうとそういうわけでもなくて、
イメージ51:49でcustomer firstだってだけです。

なので、社員が胸を張ってそして、何より僕自身が胸を張って「うちの会社の仕事はSIです」って言えるように、
このSIという言葉を「Serial Innovator ™」という言葉に再定義しちゃいました。
™があるように商標登録もしています。

僕たちはsystemを開発するという行為を通して、お客様の事業にInnovationを起こしていきたい。
それも連続的、serialに。そんな意味をSIという言葉に込めてみました。

そして、お客様にとってネクストスケープがSerial Innovator™としてあるために、
なによりまず僕ら自身がSerial Innovator™でなければならないと思って、
新規事業に積極的に投資していこう、という方針です。

そしてその新規事業というのは社長である僕が起案発案するのではなく、
社員に賭ける」というのが新規事業の基本戦略です。

その結果、今、ネクストスケープからはお得意の配信基盤サービスのMulti DRM Kitだけでなく、
AlterLockパンタベル、ロボレンズなど、続々と新しい事業が産まれて。。。
いや、産みの苦しみの中にあるものもいっぱいあります。
(でも、産まれる可能性があるだけでも、ありたい姿に近づいている)

じゃあ、なんで僕が「社員に賭ける」と思ったのか、その背景をお伝えしたいと思います。

僕自身のこと

僕はネクストスケープを学生の頃に作りました。
今となっては大学4年生だったか大学院一年生だったかすら遠い記憶(20年以上もまえだから)で
はっきりと思い出せないでいるけれども、少なくとも学生という身分であったことははっきりしていて、
ゼミの先輩3人と作ったのがネクストスケープです。

NeXTSTEPとNetscapeを合わせたもので、
設立当初は分かる人たちからは「大丈夫?二つとも潰れた会社だよ?」ってよく言われたものです。
なので、就職ということをしたことがないので、社会人的には(今では少しはまし)未熟なところも多々あります。

そして、技術が好きで技術者です。
データベースの技術者です。最初に触ったのがOracle7.3.xだったのを覚えています。
Oracleのインスタンスのチューニングをしたり(今はやんなくてよい)
SQLをチューニングしたり(今はDBMSがだいぶ教えてくれる)、
データモデリング(正規化ばかりが正義じゃない)が得意です。

さらに、プロジェクトマネージャーでもあります。
PMP、持ってます。
ACP(Agile Certified Practitioner)もあるし、CSPO(スクラムアライアンスのプロダクトオーナー)、
CSPM、スクラムインクのスクラムマスターも持っています。

未だに現場が好きで、社員の多くは迷惑なんだろうな、って思いながらもついつい突っ込んでいっちゃいます。
それも単騎先駆け。
僕が突破口を開いた戦場に正規軍であるネクストスケープ本体がやってきて平定する、
というのが僕の中での勝ちパターン。。。
(異論反論受け付けます。お客さんからも社員からも)だと思っています。

仕事楽しそうだね、ってお客さんからもそれを見ている(当事者じゃない)人たちからもよく言われます。

はい、大好きです。
特に現場で単騎でネクストスケープ本体が一番いい状態で入ってきてもらえるように踏ん張っている瞬間なんて、
俺って天才!とか思ったりしてます。

でも、本当は、「早くネクストスケープ来てくれぇ」って思って泣きそうになりながらやってたりします。
必ず来てくれるし、入ってくれば何とかしてくれる、って思えるから踏ん張れるんですよね。

僕が社員に賭けてみようと思った出来事1つ目

さて、そんな現場大好きな社長がなぜ自分よりも社員に賭けてみようと思ったか、ってことを
気付かされた出来事がいくつかありました。
そんなエピソードをご紹介したいと思います。

もう、15年も前になりますか。まだ会社が小さくて、多く見積もっても15人ぐらいの頃。
懇意にしていたお客様から3人月ほどのお仕事をいただきました。
技術的な難易度、という意味では、当時25歳ぐらいのエンジニアで十分対応できるだろうと思っていましたが、
彼に任せることをためらった瞬間がありました。

その時、ふと思ったのです。
そのエンジニアと同い年ぐらいのときに、その100倍の規模を僕はPMとして任されていたな、って。
なのに、僕は彼にその案件を任せられない。
なんでなんだろう。僕は彼に任すことができなくて、僕は任された。

その差は僕に力があったから任されたんじゃなくて、僕に賭けてみようと思った大人たちがいたんだ、
ということに気が付きました。

そこに気が付いた僕は、当時、僕に賭けてくれた大人たちに、
「今までは僕に実力があるから任されたと思っていましたが、僕を信じて掛けてくれた皆様が凄かったんですね。自分が賭ける立場になってやっとわかりました。」と、
当時不遜な態度をとっていた自分を恥ずかしく思い、謝罪とお礼をして回りました。

そういう大人たちと話しながら、
僕は、社員や若者、情熱や想いを持っている人に賭けられるようになりたいと思いました。

そうなるには、経営者として、
そういった情熱ある人たちの成長や未来の可能性を妨げないレベルで投資ができる余裕を持てるぐらいには
会社を大きくしなければいけないと心に誓ったものです。

僕が社員に賭けてみようと持った出来事2つ目

5年ほど前でしょうか。
ダイアログ・イン・ザ・ダークという研修を会社で行いました。

今のコロナ禍ではなかなか受けるのは難しい研修なのかもしれませんが、
チームビルディング、傾聴スキル、人の可能性を見出すなど、数多くの気づきが得られる、
素晴らしい研修だと思っています。

タイトル通り、暗闇の中での対話、というこの研修、
まさに真っ暗闇。完全に視覚が奪われて周囲の状況が全く見えない中、
いくつもの課題にチームで取り組んでいきます。

始まった直後、
「社長!どうすればいいですか?」「社長!どうしましょう?」「社長!」「社長!」
と社員たちから指示を求める声多数。

しかし、こちらも同じ条件。
どうなってるかなんてわからないですし、どうしろって言われても。
しかし、そういう社員たちのプレッシャーに負けた僕はついに

「俺が社長だからって何でもできると思うなよ。俺だってどうしたらいいかわかんないよ」

という普段だったら絶対に言わないだろう弱音を吐いてしまいました。
心の奥底から、本心から。

そしたら、次の瞬間から、これまで僕に頼ってきていた社員たちが変わりました。
「今、ここはこうなってるんじゃないか、って思うんだけど、みんなどう思う?」とか、
「こういう風に仮説を立てるとこうすればいいのではないかと思う」など、
みんなが意見を出し合って課題を解決しようとしています。

そうです。
一人一人がリーダーシップを発揮し始めたのです。

多様性のある価値観、複雑性を増す未来、さらにコロナ禍。
正直、僕だけでなく、世界中の経営者がかじ取りに四苦八苦していると思います。
でも、少なくとも僕は、「どうしたらいいかわかりません」ってことを素直に言えば、
それに応える人たちが出てくるものなんだ、という経験を獲得することができました。

社員の可能性に賭ける

賭けられる大人になりたい、賭けるべき人たちは必ずいる、
両方の経験をして、
僕自身の原則を「できる/できたからをやらせる」ではなくて、「まずはやらせてみる」としました。

僕は社員の、人の可能性をあきらめない。
その人の賭けどころはどこか、どこまでなら賭けられるのか。

僕は経営者として、そこを適切に見極め、ネクストスケープが連続的に社会に対して、
お客様に対してイノベーションを起こし続けられる企業にしていきたい。

Serial Innovator™であり続けられるよう、
51:49で迷ったら社員に賭けられる経営者であり、企業としてあり続けたいと思います。

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