###チャットボットはWeb接客ツールの概要
「チャットボットという言葉は聞いたことがあっても、具体的にどんなツールなのかよく分からない」といった方もいらっしゃるでしょう。チャットボットはコロナ禍でWeb接客の必要性が増す中、顧客に合わせた受け答えを行えるツールとして重要です。もし「ECサイト運営やコーポレートサイトの問い合わせなどで顧客を上手く満足させられていない」と課題を感じている場合は、チャットボットが解決の糸口になるかもしれません。
今回はチャットボットとは何か、また導入する際のメリット・デメリットをご紹介していきます。
Webの接客係になる!チャットボットとは
チャットボット(ChatBot)を日本語訳で簡単に説明すると、「会話を行える(Chat)自動プログラム(Bot)」を指します。顧客からの問い合わせに対して提案を行いながら、疑問や悩みを解決していけるのがポイントです。
チャットボットが単なるWebサイトと違うのは、「顧客の回答に応じて受け答えが柔軟にできる点」です。Webサイトだけで情報を提供しても接客にはなりますが、単にポップアップで資料請求ボタンを表示したりといった施策では上手くコンバージョンを獲得できない可能性があります。顧客とその場で受け答えをしながら情報を提示しているわけではないからです。
一方チャットボットを利用すると、顧客の疑問や悩みをその場で聞きながら対応した選択肢を出したり、解決案を提示したりできます。いわばWeb上の接客係として「どんなご用件でしょうか?」と投げ掛けて回答ができるのです。現在たくさんのコーポレートサイトやECサイトなどでチャットボットが搭載されるパターンが増えており、右隅のボット欄をクリックすることで起動するといった仕組みで顧客から問い合わせ内容を聞き出せるようになっています。
柔軟性やコストが変わってくる!チャットボットには2種類のタイプが
現在チャットボットには大きく分けて2種類のタイプがあります。
シナリオ型
開発者が決めたシナリオ(プログラムファイルで制作した受け答えのルール)通りに受け答えをするチャットボットタイプです。
はい、いいえの2つで回答できる質問を出す
選択肢を複数ボタン表示する
画像を表示して気になる部分をクリック・タップしてもらう
といった項目を提示することでユーザーから疑問・悩みを聞き出して回答ができます。
シナリオ型は中身がシンプルであり、ドラッグ&ドロップといった操作でシナリオを制作できるツールを導入すればプログラミング初心者でも簡単にボットを制作可能です。
受け答えの種類・量が少ない
複雑な受け答えがあまりない
といった場合はシナリオ型チャットボットを導入すると、コストを抑えて効率よく問い合わせ業務を効率化できます。
その代わりあらかじめ設定された内容以外は答えられないので、柔軟性はAI型に劣ります。また受け答えの量が多いと設定に時間が掛かるので注意してください。
設定された内容以外の会話パターンになった際は「回答を選び直してください」といったように誘導する工夫も必要です。
AI型
シナリオ型とは違い、AI(人工知能)を搭載しているチャットボットです。AIにより収集したデータを学習して受け答えに活用できるのがポイントになります。
データさえあれば自動で学習を行い受け答え内容を導き出すため、1つ1つ回答内容を設定する必要がありません。また自由選択肢で文章を入力してもらう項目も追加できるといったように、受け答えの幅が広がるメリットもあります。
受け答えの種類や量が多い
複雑な問い合わせ内容も自動化したい
というニーズがある場合は、AI搭載のチャットボットを選びましょう。
ただしAI型を業務で利用するためには、ビッグデータを用意するといった前準備が必要です。データの量が少ないと回答精度が下がるので注意してください。近年ではあらかじめAIに学習をさせることで精度をある程度確保しているAIチャットボットサービスもあります。
無駄な受け答えの手間を削減!チャットボットのメリット
チャットボットには無駄な受け答えがなくなる、といったメリットがあります。
問い合わせ対応の人件費が削減される
社内で使えるチャットボットを整備するには、導入費や継続コストなどが掛かります。ただし問い合わせをすべて人的要因で済ませる場合よりもコストが削減されるのは間違いありません。
たとえば「あなたの会社が提供しているこのツールの、この機能を呼び出すためにはどうしたらよいのか」といったような質問は定型的な会話パターンであり、何度も同じ受け答えをしていると人件費が無駄に掛かります。しかしチャットボットで一次受け答えを行って課題をそこで解決できれば、スタッフにつなぐ必要はありません。もし定型外の質問が来てスタッフが対応する必要があっても、一次受け答えの手間はなくなるでしょう。
また受け答えデータの収集もオンライン上で活動しているチャットボットならば簡単に実行できます。総合的に見て人件費削減効果は高いと言えます。
必要な業務だけに集中できる環境が構築されて業務効率化へ
定型的な受け答えは複雑な受け答え、つまりスタッフが対応する優先度の高い受け答え業務に関するサービスの質を下げる可能性があります。定型的な受け答えが多いと複雑な受け答えに割ける時間が短くなるからです。また「同じ質問に受け答えばかりしている」とスタッフが思うとモチベーション低下にもつながりかねません。
チャットボット導入により、スタッフは必要な業務に時間を掛けやすくなります。結果的に複雑な受け答え業務のサービス品質向上、モチベーション維持などにも効果を見込めるのがチャットボットの魅力です。
問い合わせのハードル低下、24時間365日対応が実現する
電話問い合わせは架電を面倒くさがる方もおり、ハードルが高めです。メール問い合わせもアドレス指定といった手間が掛かるので面倒くさがられる可能性があります。
しかしチャットボットの場合、リアルタイムで疑問や悩みをボットへぶつけられます。電話せずともその場で聞きたいことが聞けますし、アドレス指定といった作業も必要なくスムーズに会話形式で回答を受けられるのがメリットです。問い合わせのハードル低下により件数が増えて、新たなデータ収集にもつながるかもしれません。
そして人間には不可能な24時間、365日対応ができるのもメリットになっています。「電話だと18時までしか対応していないので問い合わせできない」といったように、問い合わせをあきらめていた顧客にもリーチできるのが強みです。
全業務自動化は不可能なので過信は禁物!チャットボットのデメリット
チャットボットには完全受け答え自動化はできない、といったデメリットがあります。
受け答えの範囲には限界がある
チャットボットの受け答えの範囲には限界があります。
たとえばシナリオ型の場合、文章形式の自由回答には基本回答を返せません。また選択肢形式でも選択パターンによっては回答内容を用意できておらず、「スタッフがご対応します」といった回答をしないといけない可能性があります。AI型だと対応範囲は増えますが、データが不十分なパターンには対応できませんし受け答え内容がいつも適切だとは限りません。
そのためすべての問い合わせ業務をチャットボットに任せるのではなく、各ツールの特性を理解して利用できる範囲を特定、人員対応と連携させて利用する工夫が必要です。AIが今後「ディープラーニング」といった学習方式で賢くなればさらなる自動化が可能と思われますが、完全自動化実現はまだ先の話です。
定期的に運用方法を見直す必要がある
チャットボットは人間の接客係と同じく教育する必要があります。
たとえば「AとBの表現は同じだが、Aの表現だけに受け答えできるようになっている」という課題が出てきたとします。この場合はAとBが同じ質問内容であり、同じ受け答えをすればOKだとチャットボットに教えないといけません。シナリオ型の場合は対応項目が増えれば追加で設定を行う、AI型の場合は学習データに基づいて精度の高い回答ができているか確認、都度チューニングを行うといった工夫が必要です。
まとめ
今回はWeb接客にチャットボットを使うメリット・デメリットをご紹介してきました。
チャットボットは24時間365日対応に当たれるツールであり、社内コスト削減や業務効率化にも効果があるツールです。ただし業務の完全自動化に使うのではなく、定型的な質問を自動化してスタッフと連携させるといった工夫を忘れないで活用してみてください。
無料トライアルや無料プランを提供しているツールも多いので、ぜひ積極的にテスト運用してみましょう。