はじめに
AWS CLFにおいてクラウドとコンセプトの分野は24%ほどの配点割合を占めています。内容は概念的なものが多いため文章にて紹介します。
クラウドのコンセプト
AWS CLFにおいて
このセクションの重要なキーワードとなるのは以下の通りです。
- コスト
- セキュリティ
- サーバーのサイジング
- 俊敏性
- スケーラビリティ
- 疎結合
- Design for failure
- 並列化
- AWS CAF
コスト
AWSでは初期費用が不要かつ使用した分支払う従量課金制となっています。対してオンプレミスの場合は莫大な初期費用が必要となります。
セキュリティ
AWSにおいてセキュリティはAWSおよび利用者の両方が管理する「責任共有モデル」というものが使われています。大雑把に言うとAWSはクラウド環境、利用者はクラウド内及び接続のセキュリティを管理することが義務付けられています。詳しい責任の所在はAWSのWebサイトでご確認ください(https://aws.amazon.com/jp/compliance/shared-responsibility-model/ )。
サーバーのサイジング
サイジングとは利用するシステムおよびサービスの規模に合ったリソースを見積もるおよび用意することを意味します。オンプレミスでは厳密なサイジングが必要なのに対してAWSでは必要に応じてリソースを増減できるため厳密なサイジングは不要である。
俊敏性
AWSでは数分でITリソースの確保が可能です。また世界中にリージョンがあるため海外へのシステム展開が時短でできます。
スケーラビリティ
スケーラビリティとは運用中のシステムを拡張、縮小させる能力を意味します。システムを拡張もしくは縮小することをスケーリングといい、リソースの数を変える水平スケーリングとリソースのスペックを変える垂直スケーリングの2種類が存在します。簡単に言い換えると量を調整するのが水平スケーリング、質を調整するのが垂直スケーリングです。
疎結合
疎結合とはシステム間の関係性が弱く、個々の独立性が高いことを意味します。疎結合システムもしくは疎結合アーキテクチャではシステム障害が起きてもその影響を局所化できるという利点がある。
Design for failure
AWSにおいてDesign for failureとは故障を考慮し、高い可用性及び回復力を持つ設計を意味します。Design for failureの例としてシステムを複数のAZを使用してシステムを構築することが推奨されています。
並列化
並列化とは複数のリソースを用いて複数の処理を行うことを意味します。結果として処理速度や障害への耐性の向上につながります。
AWS CAF
AWS CAFはクラウド導入フレームワークを意味します。AWS CAFを利用することには以下の利点があります。
- ビジネスリスクの軽減
- 環境、社会、ガバナンスに関するパフォーマンスの向上
- 収益の拡大
- 業務効率の向上
クラウドトランスフォーメーションのジャーニー
AWS CAFにおいてクラウドトランスフォーメーションのジャーニー(クラウド導入の工程)は4つのフェーズで構成されています。
構想(エンビジョン)
クラウドを導入するビジネス上の目標を設定しビジョン、ロードマップを策定します。
調整(アラインメント)
クラウド導入のメリットを各ステークホルダーに伝えるなどの、クラウド導入に向けて組織内での調整を行います。
起動(ローンチ)
起動フェーズではクラウド導入に必要な開発や導入作業を実施します。
スケール
スケールフェーズでは構想フェーズで設定した目標が達成できているか計測し、目標と差分があれば問題点の改善を行い目標達成を目指します。
6つのパースペクティブ
AWS CAFはクラウド導入および運用に役立つフレームワークを6つの視点(パースペクティブ)で提供しています。
ビジネス
ビジネスパースペクティブでは組織のビジネス目標およびクラウド戦略の加速を支援するためのフレームワークを提供しています。ビジネスパースペクティブの一般的なステークホルダーとしてCEO、CFO、COO、CIO、CTOなどがあげられます。
人材
人材パースペクティブでは文化や組織構造に重点を置き、継続的な成長、学習、変化が通常となる組織へと進化できるよう支援するためのフレームワークを提供しています。人材パースペクティブの一般的なステークホルダーとしてCIO、COO、CTO、クラウドディレクター、複数部門に渡るリーダーなどがあげられます。
ガバナンス
ガバナンスパースペクティブでは組織の利益を最大化、変化に伴うリスクを最小化できるクラウドへの取り組みの調整を支援するためのフレームワークを提供しています。ガバナンスパースペクティブの一般的なステークホルダーとしてCIO、CTO、CFO、CDO、CROなどがあげられます。
プラットフォーム
プラットフォームパースペクティブではクラウドアーキテクチャの構築、既存のワークロードの近代化、新しいクラウドソリューションの導入を支援するためのフレームワークを提供しています。プラットフォームパースペクティブの一般的なステークホルダーとしてCTO、テクノロジーリーダー、アーキテクト、エンジニアなどがあげられます。
セキュリティ
セキュリティパースペクティブではデータやクラウドワークロードの機密性、完全性、可用性の実現を支援するためのフレームワークを提供しています。
セキュリティパースペクティブの一般的なステークホルダーとしてCISO、CCO、内部監査のリーダー、エンジニアなどがあげられます。
オペレーション
オペレーションパースペクティブではクラウドサービスがお客様のビジネスニーズを満たすレベルで提供することを支援するためのフレームワークを提供しています。オペレーションパースペクティブの一般的なステークホルダーとしてオペレーションリーダー、サイト信頼性エンジニア、情報技術サービスマネージャーなどがあげられます。