本書を手に取った背景
現在、セキュリティ製品のカスタマーサクセスに携わっているため。
カスタマーサクセスの基本がわかっておらず、最初の読み物として最適と言われていた本書を手に取りました。
結論
「実行戦略」と銘打っているだけあって、なにもないところから成熟した組織に至るまでのロードマップを事細かく説明してくれています。
そのため、自分が何をしたらいいか、何を目指したらいいか、各フェーズではどんなスキルが必要で、カスタマーサクセスとして何をやらなければならないかが明確になりました。
本書から読み始めて良かったと思っています。
本書のテーマ
本書はSansanにいた方が書かれていますが、そこで得られた知識経験を紹介しているものです。
個人的なポイント
①組織の成熟レベルは④段階
Reactive:場当たり対応している。立ち上げたばかりで何をしたらいいのかわからない。
Insights&Actions:蓄積されたデータから活動がフレーム化されてる。独自のアクションプランを設計できてる。ここからブレイクできるかがポイント。
Outcomes:顧客をサクセスできてる。ナレッジ、ツールがたまり顧客の課題に真摯に取り組める。ここまでくるとカスタマーサクセスの存在を疑問視する人がいなくなる。
Transform:全顧客に「関係構築→サクセス」を提供できている。勝ちパターンがある状態。
②CS elements
成熟度レベルでそれぞれ何をすべきかという項目。
Insights&Actions:
データを蓄積することが重要。カスタマーサクセスマネージャーがいつでもデータを閲覧できる状態にする。
顧客の契約時期ごとにセグメント化してフォローする。
顧客の健康状態をスコア化する。
アンケート調査をして定性データも蓄積する。
★顧客の状況把握か一番の使命。
Outcomes:
成功事例を作り出し、共有する。
チャーンの阻止をする。
アップ・クロスセルを検知し、営業にいいパスをだす。
顧客のキーパーソンとグリップする。
顧客の経営に関わるメンバーと定期的にコンタクトを取る。
顧客の成功はなんのなのか。ROIを向上するためのPDCAを回す。
★成果が求められる段階。
Transform:
製品の改善をする。
成功した顧客を見つけ出し、良好な関係を保ち、口コミにつなげる。
カスタマーサポートと連携し、ハードクレームが発生した顧客もファンに変える。
ROIを計測→達成に導く。
★顧客に成果を提供するのは当然。それが自社の事業に明確な利益となって返ってくる状態。
③顧客ライフサイクル
onbording
ここがCSの全てという人がいるくらい大事。
①〜③ヶ月で使えるようにする。
ここが一番熱量が高く、教育もできるところ。
なかなか使いこなせないのはここに原因がある場合も。
adoption
顧客がなし得たかったことをここで実現させる。
grow
顧客に不満があれば先回りする
更新時にアップセルできるようにする。
チャーンが決定しても誠意を持って対応する。数年後に戻ってくるかもしれないし、担当者が転職しても転職先で使ってくれる可能性だってある。
④onbordingに失敗したら?
A 構わず進む B 期間を延長する
基本はA 例外的にB
その後のフォローも失敗した前提で話せば前向きに進める。
⑤健全性を計る軸
4つの軸がある(DEAR)
Deployment 最適な利用条件の充足度
契約したIDをすべて使ってるか
初期設定は終わってるか
Engagement 顧客との関係値
配信した情報は開封されてるか
サポートチケットはどれくらい発行してるか
ユーザー会やウェビナーに参加してるか
客の決済者と面識があるか
Adoption 製品の利用率
Dailyのアクティブユーザー
利用している機能
Roi 費用対効果
サービスが客の業務に組み込まれているか
改善された業務は何%の効果が得られているか
⑥ROIの明確化
客のリターンは「売上増」「コスト減」
「こんな効果がありました」というとき、いかが成り立つかを意識する。
A そのロジックはすんなり納得できるか?
B それをファクトベースで証明できるか?
ROIが出てないから解約したいと言われたら
・事業貢献数値の特定→・その紐づけをロジカルに説明
という流れが上手く行ってないことが考えられる。
⑦CSが更新前の顧客にやること
更新数ヶ月前にメールでファーストタッチ
出席者の決定とスケジュール決定
打ち合わせのためのデータをサマル
データのサマリからROIを算出
現在の運用フローが正しい設計かの質問リストを作成
アップセルができるかの質問リスト作成
製品への意見や不満のヒアリング準備
上記を統合したストーリーの組み立て
⑧CSとしてのキャリアアップは③段階
カスタマーサクセストレーニー
カスタマーサクセスアソシエイト
カスタマーサクセスマネージャー
まずはオンボーディングから。最も仕組み化しやすく短期間で多くの顧客と触れ合えるので。
そして、中小規模の顧客50社くらいを担当する。
経験を積んでより大きい規模の顧客を担当。
経験を活かしてカスタマーサクセスマーケティングを行う。
⑨カスタマーサクセスマネージャーの期待役割とその説明
案件対応時の自律性:どの程度自律的に案件をコントロールできるか
担うべき案件難易度とスキルセット:ARRの基準やどのCSM活動を担うか
目標数字への貢献:事業数値達成のために持つべき行動指針
プロダクト改善への貢献:改善時にどの程度イニシアティブをとれるか
関与する社内ステークホルダー:ビジネス、バックエンドなどどこと関与するか
戦略理解と業務改善貢献:戦略に応じて発生する改善実行に求められる水準
教育関与度:組織内の教育責任をおう基準
★トレーニーからマネージャーまでは2〜3年くらい
⑩CSOpsがある
製品のナレッジを増やし、満足度を上げる必要がある。
ここなくして、Transform期にはいけない。
このためには、テクニカルサポートとの連携が不可欠。
カスタマーサクセスマーケティングもある
ユーザーカンファレンスなどで新規だけでなく、既存顧客へのマーケティングも考えるべき。
今後やれること
これらの知識を用いてCSの議論
他社のCSの内容も調査する
自組織の立ち位置を把握し向上に向けて動く
まとめ
かなり具体的でわかりやすかった。
自組織にはここがかけてるな〜、ここは少し出来てるな〜、まだこの状態かな〜みたいなことを考えながら読んでいたが、
ぜひ同じチームのメンバーと本書を持って議論したいと思いました。