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JavaのSingleton実装方法5つとメリットデメリット使用場面とかいろいろ書いてみる

Last updated at Posted at 2018-11-20

こちらの記事はブログの転載です。
 https://munchkins-diary.hatenablog.com/entry/2018/11/21/040358

前置き

 こんにちは、G1GCを学んでからJVMにならクリーンされても構わないと思ったり思わなかったりするJava/Scala開発者です。

 Singletonパターンというデザインパターンはとても有名なので皆さんご存知かと思いますが、Javaには通常の書き方以外にもいろいろと言語の仕様を使ったSingletonの書き方があるので、今回はそれを紹介していこうと思います。ちなみ僕はBill Pughとか、日本を出るまで知りませんでした。

 Singletonパターンといえば、メリットを説明するときに、オブジェクト指向上唯一でなくてはいけないインスタンスを生成できるとか、抽象的な説明をされる事が多いデザインパターンですね。

 個人的には外部と通信したりミドルウェアアクセスしたりみたいな、重くて副作用の強い箇所を集めたうえでabstract factoryと組み合わせてFlyWeightチックに実装したりするときに使ったりすることが多いですね。

 あと、逆に完全なfunctionalな実装が必要な箇所で、Util系のクラスを使わずもっとオブジェクトチックな実装をするときに使うのも好きです。

 Singletonパターンではないですが、Spring BeanのSingletonポリシーとかは前者の使い方に近いSingletonの使い方してるのかなという印象ですがどうでしょう。
(ここは結構まさかりが飛んできそうなので一旦見逃してください。もっといい使い方あるよという方はぜひコメントに!)

 それでは本題!

※コード上のコメントを日本語で書くのがあまり好きではないので、コメントだけ英語にしてあります。どこかからパクってきたわけじゃないです。

普通のSingleton

 class値にInstanceを持たせて、コンストラクタをprivateにすることで、外部クラスからのnewを禁止し、唯一性を担保する方法。

class NormalSingleton{
  // Singleton instance.
  private static final NormalSingleton INSTANCE = new NormalSingleton();
  // private constructor to prevent instantiation from other classes.
  private NormalSingleton() {}
  // static method to get the instance.
  public static NormalSingleton getInstance() {
    return INSTANCE;
  }
}

 みなさんご存知、一番普通な書き方ですね。軽いクラスであればこれで十分です。
INSTANCEはstaticメンバなので、クラスロード時にヒープに読み込まれます。

 INSTANCEをpublicにする書き方もあるらしいですが、個人的にはクラスメンバは直接参照されたくないので、public staticメソッドから呼び出します。

メリット

・実装がシンプルで簡単
・初学者にもわかりやすい
・スレッドセーフ

デメリット

・クラスロード時に必ずインスタンスが生成されるため重いクラスには不向き
・コンストラクタがリフレクションでアクセス可能なので厳密にはシングルトンではない

用途

汎用的な実装方法なのであえて挙げるのもあれですが、あえて挙げるなら
・学習
・サーバサイドで頻繁に使われることが事前に分かっているクラス
・重くはないがオブジェクト指向的な意味でSingletonにしたいクラス
あたりでしょうか?

遅延生成

初期値を持たせず、最初のgetInstanceメソッドの呼び出しでインスタンスを作成し、二度目以降はその生成したインスタンスを使い回す方法。

class DelaySingleton {
  // field for singleton instance without any initial value (null)
  private static DelaySingleton instance;

  // private constructor to block the instantiation from other class.
  private DelaySingleton () {}

  // method to get the instance
  public static getInstance() {
    // create instance only in initial call of this method.
    if (instance == null) {
      instance = new DelaySingleton();
    }
    return instance;
  }
}

 こちらもお馴染み、遅延生成するパターンです。少し重めのクラスなんかでよく使われます。
 実装は簡単で仕組みが明快なのでよく使われますが、実はこれ見ての通りThreadSafeではないので、並列処理を行う環境では次に紹介するSynchronizedを使用してThreadSafeにしたパターンが使われます。

メリット

・実装がシンプルで簡単
・初学者にもわかりやすい
・重いクラスの生成を使用される直前まで遅延できる

デメリット

・非スレッドセーフ
・コンストラクタに加えinstanceまでfinalではないため、リフレクション経由で書き換え可能になり、よりSingletonではなくなる

用途

・学習
・マルチスレッドを使用しないバッチ処理など

SynchronizedでThreadSafe

 インスタンスを生成する箇所を同期ブロックで囲み、強固にnewの呼び出しを一回に絞る方法。

class SynchronizedSingleton {
  // field for singleton instance without any initial value (null)
  private static SynchronizedSingleton instance;

  // private constructor to protect the instantiation from other class.
  private SynchronizedSingleton(){}

  // method to get the instance
  public static SynchronizedSingleton getInstance(){
    // check if the instance is already instantiated.
    if(instance == null){
      // block the multiple access from multiple thread
      synchronized (SynchronizedSingleton.class) {
        // check again, can be non-null, 
        // since the instance already generated just at the process just before 
        if(instance == null){
          instance = new SynchronizedSingleton();
        }
      }
    }
    return instance;
  }
}

 これもまた結構お馴染みかもしれません。デザインパターンの本や多くの入門記事で紹介されている方法です。ちなみにこの書き方、正直僕はあまり好きではないです。

メリット

・スレッドセーフ
・重いインスタンスの生成を、使用される直前まで遅延できる

デメリット

・さとsynchronizedはパフォーマンス劣化につながる事がある
・コンストラクタに加えINSTANCEまでfinalではないため、リフレクション経由で書き換え可能になり、よりSingletonではなくなる
・冗長で書きづらい上に読みづらい

用途

・学習
・マルチスレッドを多用するバッチ
・tomcatなどで運用されるサーバサイドアプリケーション 
Synchronized型のSingletonは結構問題が多いので、個人的には後述のBill Push Singletonを使うことが多いです。

Bill Pugh Singleton

インナークラスのクラス値は初回参照時までメモリに読み込まれないというJavaの言語仕様を利用したSingleton。

class BillPushSingleton{
  // class to hold the instance as final
  private class SingletonHolder{
    // this instance won't be loaded to memory until initial reference
    // normally, class value will be loaded into memory when the class is loaded to JVM with class loader.
    private static final BillPushSingleton INSTANCE = new BillPushSingleton();
  }

  // private constructor to prevent instantiation from other classes
  private BillPushSingleton() {}

  // method to get the instance
  public static BillPushSingleton getInstance() {
    // this instance will be instantiated at the initial call only.
    return SingletonHolder.INSTANCE;   
  }
}

(僕の知る限り)日本ではあまり馴染みがない書き方かもしれませんが、海外の開発者が好んで使う書き方です。
僕も簡素でエレガントだなと思うので、基本的に遅延生成のSingletonを作る場合はこの書き方を使います。

解説

 一応解説すると、通常のクラスのクラス値はクラスローダがクラスをJVMに読み込んだ時点でインスタンス化され、ヒープのpermanent領域に保持されます。(permanent領域がわからない人はオライリーのJavaパフォーマンスを読もう!)
 しかし、インナークラスに宣言された定数は、その親クラス自身が参照された段階ではnewされず、親クラスからそのインナークラスへの参照が発生した段階で初めてnewされてpermanent領域に保持されることになります。
このため、このクラスでのINSTANCEはgetInstanceメソッドが呼ばれるまで生成を遅らせながらスレッドセーフを保つことができるのです。(実はこれ自体はクラスローダの仕様で、決して特殊なhackをしているわけではないのです。)

メリット

・実装がシンプルで簡単
・スレッドセーフ
・重いインスタンスの生成を使用される直前まで遅延できる
・Synchronizedによるパフォーマンス劣化の心配がない

デメリット

・リフレクション経由でインスタンス生成ができるため厳密にはSingletonではない
・JVMやクラスローダの知識がない人に説明するのがだるい(僕がこの記事を書いた一番大きな理由)

用途

・マルチスレッドを多用するバッチ
・tomcatなどで運用されるサーバサイドアプリケーション 

ちなみにこれでもまだ厳密なSingletonではありません。コンストラクタが残ってしまっている以上、どうしても厳密なSingletonにはできないのです。

Enum Singleton

Enumはグローバルに唯一のインスタンスであるというJavaの言語仕様を利用したSingleton

enum EnumSingleton {
  // enum with only one element.
  // this element will act as same with instance of other impl pattern.
  INSTANCE("Now it is clear for you to see this is singleton, ahh??");

  // Constructor to make this sample code looks like class.
  // this constructor is unable to be called even from reflection as Java lang spec.
  private EnumSingleton(String dummyMessage) {
    this.dummyMessage = dummyMessage;
  }

  // dummy filed to make this sample code look like the other impl pattern
  private String dummyMessage;
  // dummy method to show this enum can work like normal class.
  public String sampleMethod() {
    return "this method is sample to show this is not just the normal enum.";
  }
}

 こちらの実装方法は結構有名なのかもしれません。
 Javaの言語仕様としてEnumは厳密なSingletonであり、リフレクション経由でも新しいインスタンスを作ることはできません。
 enumとして実装されたSingletonだけが、本当のSingletonなのです。
 ちなみに僕は普通にキモいなと思うので、知識として知っているだけで使った事がありません。

メリット

・厳密なSingleton
・スレッドセーフ

デメリット

・実装がキモい、enumにする意味がわからない
・インターフェイスや抽象クラスが使えず、他のデザインパターンと組み合わせにくい
・遅延生成ができない
・なぜそうしたかと問われるとうまく説明ができない

用途

・マルチスレッドを多用するバッチ
・tomcatなどで運用されるサーバサイドアプリケーション 
・理想と現実の乖離に耐えられなくなって泣き出した開発者をなだめる

まとめ

 色々と僕の知ってるSingletonパターンの実装方法を紹介してきました。個人的にはBill Pugh Singletonと普通のSingletonだけ使えればいいかなと思ってます。
 ちなみにenum singletonをけちょんけちょんにいっていますが、それなりに伝統のある書き方ですし、使ったからなんだということではないです。個人的な志向の話です。
 それでは!

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