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【準1級】統計学実践ワークブック 例題5.3  標本平均の分散

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統計検定準1級の勉強のための解説記事となります。下記にご了承いただける方のみ、お読みください。

注意
  • 著作権の都合により問題文は掲載せず解説のみの記述となります。
  • 独自の解釈により、不適切な表現がある可能性があります。

以下の動画でも解説していますので、見やすいほうでご覧ください。

学習のポイント

確率変数の2乗の期待値の式

\begin{align}
E(X_i^2) & = a_1^2 · P(X_i = a_1)+ a_2^2 · P(X_i = a_2) \\
 &    + ... + a_n^2 · P(X_i = a_n) ・・・①
\end{align}

確率変数の積の期待値の式


E(X_i \times X_j) = \sum_{x_i} \sum_{x_j} x_i x_j P(X_i = x_i, X_j = x_j) ・・・②

分散・共分散の公式

確率変数$X_1, X_2, ..., X_n$が独立でない場合、


V\left(\sum_{i=1}^n X_i\right) = \sum_{i=1}^n V(X_i) + 2 \sum_{i=1}^{n-1} \sum_{j=i+1}^n Cov(X_i, X_j) ・・・③

分散の公式

V[X_i] = E[X_i^2] - (E[X_i])^2・・・④

共分散の公式

Cov(X, Y) = E[XY] - E[X]E[Y] ・・・⑤

問題の概要

問題の確率変数に関する情報を表にまとめると、以下のとおりとなります。

添え字$i$ 1 2 i
確率変数 $X_1$ $X_2$ $X_i$
取りうる値 $0, 1$ $0, 1$ $0, 1$
確率 $P(X₁=0),$
$P(X₁=1)$
$P(X₂=0), $
$P(X₂=1)$
$P(X_i=0), $
$P(X_i=1)$

ここで、1人目を選ぶ試行に対する確率変数($X_1$)、2人目を選ぶ試行に対する確率変数($X_2$)、・・・は、それぞれ別の確率変数です。
また、今回の問題においては、少ない母集団での非復元抽出のため、それぞれの選ぶ試行は独立ではありません。

解答

確率変数の2乗の期待値

求めたい期待値の式は、式①から、以下のように、立式できます。

E(X_i^2) =0^2 * P(X_i=0) + 1^2 * P(X_i=1) 

よって、

E(X_i^2) = P(X_i=1) 

を求めればよいことがわかります。

ここで、関東出身者を$A,B,C$とし、関東でない出身者を$D,E,F,G,H,I$とします。

関東出身者 関東以外の出身者
$A,B,C$ $D,E,F,G,H,I$

たとえば、2番目に選ばれた人($i=2$)が$A、B、C$のいずれかだとすると、残りの3つの枠($i=1, 3, 4$)には、選ばれていない8人の中から3人を配置することになります。つまり、$X_2=1$となる場合の表は以下となります。

$i=1$ $i=2$ $i=3$ $i=4$
パターン1 $A$以外 $A$ $i=1,2$以外 $i=1,2,3$以外
パターン2 $B$以外 $B$ $i=1,2$以外 $i=1,2,3$以外
パターン3 $C$以外 $C$ $i=1,2$以外 $i=1,2,3$以外

ここで、$P(X_i = 1)$は、$i=2$でなくても、その順序に関係なく確率は等しくなるため、

P(X_i = 1)=P(X_1 = 1)=P(X_2 = 1)=P(X_3 = 1)=P(X_4 = 1)

となります。

以上のことから、$X_i = 1$となる場合の数は、初めに関東地方出身者3人のうち1人を並べた後、他の3人を残り8人から順序を考慮して並べればよく、$ {}_3P_1 \times {}_8P_3$です。

また、9人から4人を順序を考慮して並べる全体の場合の数は、${}_9P_4$です。

よって、$X_i = 1$となる確率は、

P(X_i = 1) = \frac{{}_3P_1 \times {}_8P_3}{{}_9P_4}= \frac{1}{3}

です。

よって、求めたい期待値は、

E(X_i^2) = P(X_i=1) = \frac{1}{3}

となります。

確率変数の積の期待値

式②から、

\begin{align}
E(X_i \times X_j)   &= 0 \cdot 0 \cdot P(X_i=0, X_j=0) + 1 \cdot 0 \cdot P(X_i=1, X_j=0)  \\
 & + 0 \cdot 1 \cdot P(X_i=0, X_j=1) + 1 \cdot 1 \cdot P(X_i=1, X_j=1)
\end{align}

となるため、

E(X_i \times X_j) = P(X_i=1, X_j=1)

です。

ここで、たとえば、2番目と4番目に選ばれた人($i=2,4$)が$A、B、C$のいずれかのとき、残りの2つの枠($i=1,3$)には、選ばれていない7人の中から2人を配置することになります。これは、$X_2=1,X_4=1$の場合となり、表にすると以下のとおりとなります。

$i=1$ $i=2$ $i=3$ $i=4$
パターン1 $A,B$以外 $A$ $A,B$、$i=1$以外 $B$
パターン2 $A,C$以外 $A$ $A,C$、$i=1$以外 $C$
パターン3 $A,B$以外 $B$ $A,B$、$i=1$以外 $A$
パターン4 $B,C$以外 $B$ $B,C$、$i=1$以外 $C$
パターン5 $A,C$以外 $C$ $A,C$、$i=1$以外 $A$
パターン6 $B,C$以外 $C$ $B,C$、$i=1$以外 $B$

ここで、ある2つの確率変数が、両方とも1となる確率はその順序に関係なく、

\begin{align}
P(X_i=1, X_j=1)  &=P(X_1=1, X_2=1) = P(X_1=1, X_3=1) = P(X_1=1, X_4=1) \\
 &  = P(X_2=1, X_3=1) = P(X_2=1, X_4=1) = P(X_3=1, X_4=1)
\end{align}

となります。

よって、$X_i=1, X_j=1$の場合の数は、関東地方出身者3人のうち2人を順序を考慮して並べた後、他の2人を残り7人から順序を考慮して並べればよく、${}_3P_2 \times {}_7P_2$となります。

以上から、求めたい確率は、

P(X_i=1, X_j=1) = \frac{{}_3P_2 \times {}_7P_2}{{}_9P_4}= \frac{1}{12}

となります。

よって、

E(X_i \times X_j) = P(X_i=1, X_j=1)= \frac{1}{12}

となります。

標本平均の分散

求めたい分散は、シグマを展開し、定数$\frac{1}{4}$を2乗して分散の外に出すことによって、

V(\bar{X}) = V\left(\frac{1}{4}\sum_{i=1}^{4}X_i\right) = \frac{1}{16}V(X_1+X_2+X_3+X_4)

と表されます。

ここで、確率変数$X_1, X_2, ..., X_4$は独立でないことを踏まえると、式③より、

\begin{align}
V(\bar{X})  &=  \frac{1}{16} [ V(X_1) + V(X_2) + V(X_3) + V(X_4)  + 2(Cov(X_1, X_2)  \\
 & + Cov(X_1, X_3) + Cov(X_1, X_4) + Cov(X_2, X_3) + Cov(X_2, X_4) + Cov(X_3, X_4))
\end{align}

と式変形できます。

ここで、$X_i$の期待値は、

E[X_i] = \sum X_i P(X_i) = 0 \cdot P(X_i = 0) + 1 \cdot P(X_i = 1) =\frac{1}{3} 

です。また、式④より、$X_i$の分散は、

V[X_i] = E[X_i^2] - (E[X_i])^2 =\frac{1}{3} - \left(\frac{1}{3}\right)^2= \frac{2}{9}

です。さらに、式⑤より、$X_i$と$X_j$の共分散は、

Cov(X_i, X_j) = E[X_i X_j] - E[X_i]E[X_j] = \frac{1}{12} - \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{3} = -\frac{1}{36}

です。

上記の式から、分散、共分散は確率変数の添え字に限らず一定のため、

V(X_1) + V(X_2) + V(X_3) + V(X_4) = 4 \cdot V(X_i)

および

\begin{align}
\text{Cov}(X_1, X_2) &+ \text{Cov}(X_1, X_3) + \text{Cov}(X_1, X_4) + \text{Cov}(X_2, X_3)   \\
 & + \text{Cov}(X_2, X_4) + \text{Cov}(X_3, X_4) = 6 \cdot \text{Cov}(X_i, X_j)
\end{align}

です。よって、$V(\bar{X})$は、

V(\bar{X}) =  \frac{1}{16} \left[ 4 \cdot V(X_i) +  6 \cdot \text{Cov}(X_i, X_j) \right]

となります。

よって、

V(\bar{X}) =\frac{1}{16} \left( 4 \cdot \frac{2}{9}  +2 \cdot 6 \cdot \left(-\frac{1}{36}\right)\right)= \frac{5}{144}

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