統計検定準1級の勉強のための解説記事となります。下記にご了承いただける方のみ、お読みください。
以下の動画でも解説していますので、見やすいほうでご覧ください。
学習のポイント
モーメント法
パラメータ $θ = (θ₁, θ₂, ..., θm)$ をもつ確率分布の確率密度関数を$f(x; θ)$ とする。以下を中心モーメントといいます。
$μ₁ := ∫xf(x; θ) dx$ (平均または1次中心モーメント)
$μₖ := ∫(x - μ₁)^k f(x; θ) dx, k = 2, 3, ...$ (k次中心モーメント)
モーメント法は、母集団分布の理論的な中心モーメントを、標本から計算される標本平均や標本分散のような推定量で置き換え、得られた方程式を解くことによって、 $\hat{θ}_j$ を導出し、母集団パラメータ$θ_j$の推定量として用いる推定方法です。
解答
ガンマ分布に独立同一に従う標本 $X_1, X_2, ..., X_n$ から、モーメント法を用いてパラメータ $\alpha$ と $\lambda$ を推定する方法を確認します。
1. ガンマ分布の平均と分散
まず、ガンマ分布の中心モーメントを確認します。ガンマ分布の確率密度関数は以下の通りです。
$$ f(x;\alpha, \lambda) = \frac{\lambda^\alpha}{\Gamma(\alpha)} x^{\alpha-1} e^{-\lambda x} \quad (x ≥ 0) $$
ここで、
- $x$: 確率変数
- $\alpha$: 形状パラメータ
- $\lambda$: 尺度パラメータ
- $\Gamma(\alpha)$: ガンマ関数
です。
このガンマ分布の中心モーメントは以下のように表現できます。
- $μ_1=E(X) = \frac{\alpha}{\lambda}$
- $μ_2 =V(X) = \frac{\alpha}{\lambda^2}$
2. 標本平均と標本分散
次に、標本 $X_1, X_2, ..., X_n$ の標本平均を$\bar{X} $、標本分散を$S$とします。
3. モーメント法の適用
母集団のモーメントである$μ_1$を標本平均$\bar{X}$に、 $μ_2$を標本分散$S$で置き換えます。ここで、$\hat{\alpha}$ と $\hat{\lambda}$ はそれぞれ $\alpha$ と $\lambda$ の推定値を表します。
- $\bar{X}= \frac{\hat{\alpha}}{\hat{\lambda}}$
- $S= \frac{\hat{\alpha}}{\hat{\lambda}^2}$
上記の連立方程式を $\hat{\alpha}$ と $\hat{\lambda}$ について解くと、モーメント法によるガンマ分布のパラメータ $\alpha$ と $\lambda$ の推定値は以下のようになります。
- $\hat{\alpha} = \frac{\bar{X}^2}{S}$
- $\hat{\lambda} = \frac{\bar{X}}{S}$