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【準1級】統計学実践ワークブック 例題4.2 Z=aX+bYの確率密度関数

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統計検定準1級の勉強のための解説記事となります。下記にご了承いただける方のみ、お読みください。

注意
  • 著作権の都合により問題文は掲載せず解説のみの記述となります。
  • 独自の解釈により、不適切な表現がある可能性があります。

以下の動画でも解説していますので、見やすいほうでご覧ください。

問題のポイント

$X$, $Y$が独立である場合の$Z=aX + bY$の確率密度関数$f_Z(z)$の求め方

・$Z = aX + bY, W = Y$とおき、$f_{Z,W}(z,w)=\frac{f_X\left(\frac{z}{a}-\frac{bw}{a}\right) \cdot f_Y(w)} { \left|J(X,Y)\right|}$を求めます。
image.png

・$f_{Z,W}(z,w)$を$w$について積分して、$f_Z(z)$を求めます。
image.png

$X$, $Y$が独立である場合の$aX + bY$の確率密度関数を求めるため、$2$次元確率変数$(X,Y)$から新しい$2$次元確率変数$(Z,W)$への変換を考えます。
$aX + bY$の確率密度関数を求めたい場合は、

Z = aX + bY, 
W = Y ・・・①

とおきます。ここで、逆変換は、

X = \frac{Z}{a} - \frac{bW}{a}, 
Y = W ・・・②

となり、$f_{Z,W}(z,w)$は、

f_{Z,W}(z,w) = \frac{f_X\left(\frac{z}{a}-\frac{bw}{a}\right) \cdot f_Y(w)} { \left|J(X,Y)\right|} ・・・③

と表されます。上記の$J(X, Y) $は、ヤコビアンであり、

J(X, Y) = \begin{vmatrix}
\frac{\partial Z}{\partial X} & \frac{\partial Z}{\partial Y} \\
\frac{\partial W}{\partial X} & \frac{\partial W}{\partial Y}
\end{vmatrix} ・・・④

です。

$Z$の確率密度関数$f_Z(z)$を得るためには、$f_{Z,W}(z,w)$を$w$について積分し、$Z$の周辺確率密度関数を求めます。

f_Z(z) = \int_{-\infty}^{\infty} f_{Z,W}(z,w) dw ・・・⑤

解法ノート

image.png

image.png

解答

Z=aX+bYの確率密度関数

$X$と$Y$が独立であるときの、$X+Y$の確率密度関数を求める問題であることに着目します。

まず、新たな変数$Z$と$W$を導入し、$Z = X + Y, W = Y$とします。式①について、$a=1,b=1$であり、式④は、

J(X, Y) = \left|\det\begin{bmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}\right| = 1

と求まります。よって、式③は、

f_{Z,W}(z,w) = f_X\left({z}-{w}\right) \cdot f_Y(w) 

と表されます。

ここで、$X$と$Y$の確率密度関数はそれぞれ、同じパラメータ$λ$に従い、

f_X(x) = λe^{-λx}  (x ≥ 0)
f_Y(y) = λe^{-λy}  (y ≥ 0)

です。式②から逆変換は、$X = Z-W, Y = W$となるため、これらをそれぞれ代入して、


f_X(z-w) = \lambda e^{-\lambda (z-w)}    (z-w ≥ 0)
f_Y(w) = \lambda e^{-\lambda w}  (w ≥ 0)

となります。

よって、式③は、

f_{Z,W}(z,w)  = f_X\left({z}-{w}\right) \cdot f_Y(w) =  \lambda^2 e^{-\lambda z}   (0 \leq w \leq z)

となり、これを用いると、式⑤から、

f_Z(z) = \int_{0}^{z} \lambda^2 e^{-\lambda z} dw  (z \geq 0)

となります。これを計算すると、$λ^2 e^{-\lambda z} $は、 $w$ に関して定数とみなすことができるので、

f_Z(z) =  \lambda^2 e^{-\lambda z}\int_{0}^{z}  dw  (z \geq 0)

となり、これを計算すれば、

f_Z(z)  = \lambda^2 z e^{-\lambda z} \quad (z \geq 0)

が導かれます。

参考

ガンマ分布との比較

パラメータ $(k, θ)$ のガンマ分布の確率密度関数は、

f(x) = \frac{1}{\Gamma(k)\theta^k} x^{k-1} e^{-\frac{x}{\theta}} \quad (x \geq 0)

です。$k=2, θ=1/λ$ とすると、

f(z) = \lambda^2 z e^{-\lambda z} \quad (z \geq 0)

となり、今回求めた$ f_Z(z)$ と一致します。

コラム

変数変換とヤコビアン

$f_{X,Y}(x,y)$を$X$と$Y$の同時確率密度関数とすると、2次元の確率変数$(X,Y)$を別の2次元確率変数$(Z,W)$に変換した際の同時確率密度関数$f_{Z,W}(z,w)$は、

f_{Z,W}(z,w) = \frac{f_{X,Y}(x,y)}{|J(X,Y)|}

となります。

ここで、$X$と$Y$は独立のとき、$X$の確率密度関数を$f_X(x)$、$Y$の確率密度関数を$f_Y(y)$とすると、

f_{X,Y}(x,y) = f_X(x) \cdot f_Y(y)

となります。

確率変数の和の確率密度関数については、以下の動画が参考になりました。
1つ目

2つ目

周辺確率密度関数については、以下の動画が参考になりました。

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