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【準1級】統計学実践ワークブック 例題2.3 モーメント母関数の期待値と分散

Last updated at Posted at 2024-11-18

統計検定準1級の勉強のための解説記事となります。下記にご了承いただける方のみ、お読みください。

注意
  • 著作権の都合により問題文は掲載せず解説のみの記述となります。
  • 独自の解釈により、不適切な表現がある可能性があります。

以下、動画でも解説しています。

問題のポイント

モーメント母関数は、確率分布を解析するための強力なツールです。主に連続型確率変数に対して使用します。離散型確率変数に対しては、例題2.2のように確率母関数を使用します。

モーメント母関数を用いることによって、連続型確率変数の確率分布の期待値と分散を容易に求めることができます。

モーメント母関数の定義:M_X(θ) = E[e^{θX}] ・・・①
Xの期待値:E[X] = M_X'(0) ・・・②
X^2の期待値:E[X^2] = M_X''(0) ・・・③

また、例題4.1の変数変換した場合の求め方と比較をしてみてください。

解答

指数分布のモーメント母関数

①の式に連続型確率変数の期待値の定義を当てはめると、以下のような式が導かれます。

M_X(θ) = E[e^{θX}] = \int_{-\infty}^{\infty} e^{θx} f_(x) dx

問題文の条件にある、指数分布の確率関数

f(x) = \lambda e^{-\lambda x} \quad (x \geq 0)

を代入すると、

M_X(θ) = \int_{0}^{\infty} e^{θx} \lambda e^{-\lambda x} dx

となります。

ここで、$λ$は定数のため、

M_X(θ) = \lambda \int_{0}^{\infty} e^{-(\lambda - θ)x} dx

と式変形ができます。

ここで、$λ−θ>0$ という条件を付けます。これは、指数部分の指数が常に負となることを意味し、この条件下で積分が収束します。

よって、この条件の下で、通常どおり積分すると以下の式が導けます。

M_X(θ) = \lambda \int_{0}^{\infty} e^{-(\lambda - θ)x} dx = \lambda \left[ -\frac{1}{\lambda - θ} e^{-(\lambda - θ)x} \right]_0^{\infty} 

上記の式を計算し、モーメント母関数が導かれます。

M_X(θ) =  \frac{\lambda}{\lambda - θ}  (λ−θ>0)

指数分布の期待値

まず、モーメント母関数$M_X(θ)$を$θ$で1回微分した値を求めます。

M_X'(θ) =  \frac{d}{dθ} \frac{\lambda}{\lambda - θ} \

これは、商の微分法を用いると、以下のとおり計算できます。

M_X'(θ) =\frac{d}{dθ} \frac{\lambda}{\lambda - θ} = \frac{0 \cdot (\lambda - θ) - \lambda \cdot (-1)}{(\lambda - θ)^2} = \frac{\lambda}{(\lambda - θ)^2}

よって、上記の式の$θ$に0を代入すると以下のように計算できます。

M_X'(0) = \frac{\lambda}{(\lambda - 0)^2} = \frac{1}{\lambda}

以上から、式②より、

E[X] = M_X'(0)  = \frac{1}{\lambda}

が導かれます。

指数分布の分散

まず、モーメント母関数$M_X(θ)$を$θ$で2回微分した値を求めます。先ほどの1回微分した式を用いると、

M_X''(θ) = \frac{d}{dθ}  \frac{\lambda}{(\lambda - θ)^2} 

と表されます。

上記の式を、商の微分法を用いて微分します。

M_X''(θ) = \frac{0 \cdot (\lambda - θ)^2 - \lambda \cdot (-2(\lambda - θ))}{(\lambda - θ)^4}

これを計算すると、

M_X''(θ) =\frac{2\lambda}{(\lambda-θ)^3}

が導かれます。さらに上記の式の$θ$に0を代入して計算すると、

M_X''(0) = \frac{2\lambda}{(\lambda-0)^3} = \frac{2\lambda}{\lambda^3} = \frac{2}{\lambda^2}

となります。

よって、分散は、式②、③を用いて、

V[X] = E[X^2] - (E[X])^2= M_X''(0) - [M_X'(0)]^2 = \frac{2}{\lambda^2} - \left(\frac{1}{\lambda}\right)^2 

と表されます。

この式を整理すると、

V[X] = \frac{1}{\lambda^2}

となります。

参考資料

以下の動画が勉強になりました。

コラム

指数分布のグラフは$λ$によって、以下のように変化します。

image.png

参考)高校数学の知識

商の微分

\left(\frac{f(x)}{g(x)}\right)' = \frac{f'(x)g(x) - f(x)g'(x)}{g(x)^2}
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