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【準1級】統計学実践ワークブック 例題4.1 変数変換後の確率密度関数、期待値、分散

Last updated at Posted at 2024-11-21

統計検定準1級の勉強のための解説記事となります。下記にご了承いただける方のみ、お読みください。

注意
  • 著作権の都合により問題文は掲載せず解説のみの記述となります。
  • 独自の解釈により、不適切な表現がある可能性があります。

以下の動画でも解説していますので、見やすいほうでご覧ください。

問題のポイント

・正規分布に従うXのモーメント母関数を用いて、対数正規分布に従うYの期待値、分散を導出します。
・変数変換の式を用いて、対数正規分布に従うYの確率密度関数を導出します。

・正規分布のモーメント母関数:M_X(t) = E[e^{tX}]= \exp(\mu t + \frac{\sigma^2 t^2}{2}) ・・・①
・ある確率変数Xが、別の確率変数YにY = g(X)という関係で変換され、
XとYが1対1対応するとき、Yの確率密度関数f_Y(y)は、以下となる。
f_Y(y) = ( \frac{f_X(x)}{|g'(x)|}のxをyで変換したもの)・・・②

①式の導出方法は、コラムの「正規分布のモーメント母関数の求め方」を参照してください。
今回の変数変換の流れを図示すると、以下のようになります。

image.png

解法ノート

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解答

対数正規分布に従うYの期待値

$Y = e^X$という関係により、求めたい$Y$の期待値は、

E[Y] = E[e^X]

と表されます。

$X$のモーメント母関数を用いて、上記の式の右辺を導出します。$X$は正規分布に従うため、式①に$t=1$を代入すると、

M_X(1) = E[e^{X}] = \exp(\mu + \frac{\sigma^2}{2})

となります。

よって、求めたい期待値は、

E[Y] = M_X(1) = \exp(\mu + \frac{\sigma^2}{2})

と表されます。

対数正規分布に従うYの分散

分散は、

V(Y) = E[Y^2] - (E[Y])^2 = E[(e^X)^2] - (E[e^X])^2 = E[e^{2X}] - (E[e^X])^2 

と表されます。

式②は、$t=2$のとき、

 E[e^{2X}] = \exp(\mu × 2 + \frac{\sigma^2× 2^2}{2})

であり、これを整理すると、

E[e^{2X}]=\exp(2\mu + 2\sigma^2)

が導かれます。

よって、分散は、

V(Y)= E[e^{2X}] - (E[e^X])^2 =\exp(2\mu + 2\sigma^2) - \left(\exp\left(\mu + \frac{\sigma^2}{2}\right)\right)^2

と表されます。右辺の第2項を計算すると、

V(Y)=\exp(2\mu + 2\sigma^2) - \exp(2 * (μ + σ²/2))

となり、これを整理すると、

V(Y)=exp(2μ + 2σ²) - exp(2μ + σ²)

が導かれます。

対数正規分布に従うYの確率密度関数

問題の条件より、正規分布に従う$X$の確率密度関数は、

f(x) = \dfrac{1}{\sqrt{2\pi}  \sigma} \exp\left(-\dfrac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right)

です。

便宜上、変数変換後の$Y$について、

y=g(x)

と表します。

問題の条件である、$Y = exp(X)$という関係により、

g(x) = exp(x)

であり、$g(x)$を1回微分すると、

g'(x) = exp(x)

となります。

$Y = exp(X)$であるため、$X$と$Y$は1対1対応となることから、変数変換後の$Y$の確率密度関数$f_Y(y)$は、式②より、

\frac{\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}  \sigma} \exp\left(-\dfrac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right)}{exp(x)} のxをyに変換したもの

と表されます。

ここで、$y = exp(x)$という式を変形すると、

ⅰ)  exp(x)=y
ⅱ) x=\log y

の2つの式が導かれるため、求めたい$f_Y(y)$は、

f_Y(y) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}  \sigma y} \exp\left(-\dfrac{(\log y-\mu)^2}{2\sigma^2}\right)

と表されます。

コラム

正規分布のモーメント母関数の求め方

例題2.3と同じような方法で、証明できる有名な問題です。ガウス積分を使います。

証明は、以下の動画が参考になりました。

ガウス積分については、以下の動画が参考になりました。

確率変数の変数変換そのものについては、以下の動画が参考になりました。

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