統計検定準1級の勉強のための解説記事となります。下記にご了承いただける方のみ、お読みください。
以下の動画でも解説していますので、見やすいほうでご覧ください。
学習のポイント
・独立な場合の同時分布収束・・・①
$X_n$ と $Y_n$ が独立であり、$X_n \xrightarrow{d} X$ かつ $Y_n \xrightarrow{d} Y$ であれば、$(X_n, Y_n) \xrightarrow{d} (X, Y)$ が成立します。
ここで、$(X_n, Y_n) \xrightarrow{d} (X, Y)$ は、2次元確率ベクトル $(X_n, Y_n)$ の同時分布が、 $(X, Y)$ の同時分布に収束することを意味します。
・連続写像定理(2変数)・・・②
2次元確率ベクトル $(X_n, Y_n)$ が $(X, Y)$ に分布収束し、かつ関数 $h(x,y)$ が連続な2変数関数であれば、$h(X_n, Y_n)$ は $h(X, Y)$ に分布収束します。
・カイ二乗分布・・・③
$Z_i \sim N(0,1)$, $i = 1,...,n$で、これらが互いに独立であるとき、$Y = Z_1^2 + ... + Z_n^2$ が従う分布を自由度$n$のカイ二乗分布といいます。
・カイ二乗分布の再生性・・・④
$Y_1 \sim \chi^2(n_1)$, $Y_2 \sim \chi^2(n_2)$ で、$Y_1$ と $Y_2$ が独立ならば、$Y_1 + Y_2 \sim \chi^2(n_1 + n_2)$ となります。
解答
$X_n$ と $Y_n$ は独立であり、$X_n$ と $Y_n$ はそれぞれ標準正規分布 $N(0, 1)$ に分布収束します。ここで、分布収束先の確率変数をそれぞれ$X$, $Y$とすると、$X \sim N(0, 1)$ および $Y \sim N(0, 1)$ となります。
ここで、①より、2次元確率ベクトル $(X_n, Y_n)$ は $(X, Y)$ に分布収束します。
さらに、$h(x, y) = x^2 + y^2$ という関数を考えます。この関数は $\mathbb{R}^2$ 上で連続であるため、②より、$h(X_n, Y_n) = X_n^2 + Y_n^2$ は $h(X, Y) = X^2 + Y^2$ に分布収束します。
また、$X_n$ と $Y_n$ が独立であることから、$X$ と $Y$ も独立となり、$X^2$, $Y^2$ は、③より、それぞれ自由度1のカイ二乗分布 $\chi^2(1)$ に従います。
$X^2$と$Y^2$も独立であるため、④より、$X^2 + Y^2$は、自由度$2$のカイ二乗分布に従います。
以上より、$X_n^2 + Y_n^2$ の分布収束先は自由度$2$のカイ二乗分布です。