数学でよく出てくるπ(パイ)。しかし最近、「いや、 τ(タウ) の方がいいんじゃないか?」という議論が数学好きの間で盛り上がっています。
この記事では、πとτの違いや、なぜτが「いい」とされるのかを簡潔にまとめてみます。
πとτの定義
まずは、πとτの定義をおさらいしましょう。
π(パイ)
πは、円周を直径で割った比率として定義されます。
$$
\pi = \frac{\text{円周}}{\text{直径}}
$$
その値は、よく知られている通り
$$
\pi \approx 3.14159
$$
です。
τ(タウ)
一方で、τは「円周を半径で割った比率」として定義されます。
$$
\tau = \frac{\text{円周}}{\text{半径}} = 2\pi
$$
その値は
$$
\tau \approx 6.28318
$$
となります。
なぜτの方がいいのか?
「πじゃダメなんですか?」と思うかもしれませんが、実は数学的にも教育的にもτの方が有利な点がいくつかあります。
1. 円と角度の対応が自然になる
円周の長さや角度を考えるとき、ラジアンという単位を使います。このラジアンは「円周の何割か」を表す単位なので、1周を「τ」とする方が直感的です。
現在(πを使用)
$$
90^\circ = \frac{\pi}{2}
$$
$$
180^\circ = \pi
$$
$$
360^\circ = 2\pi
$$
τを使った場合
$$
90^\circ = \frac{\tau}{4}
$$
$$
180^\circ = \frac{\tau}{2}
$$
$$
360^\circ = \tau
$$
1周が「τ」となることで、角度とラジアンの対応がシンプルになります。
2. 数学の公式もより直感的になる
円の面積公式は通常、以下のようにπを使って表されます:
$$
A = \pi r^2
$$
これをτに置き換えると、次のように書き換えられます:
$$
A = \frac{\tau r^2}{2}
$$
なぜこの形が直感的?
この形は「円周を基準にした面積」として解釈できるため、式の意味がより直感的になります。
3. 物理公式がスッキリする
物理や工学では、2π が頻繁に登場します。これをτに置き換えると、式が簡潔になります。
例:フーリエ変換
現在、フーリエ変換では次のような公式を使います:
$$
e^{2\pi i} = 1
$$
これをτに置き換えると、
$$
e^{\tau i} = 1
$$
となり、式がスッキリします。
3. あの有名な e^iπ + 1 = 0もさらに美しくなる
オイラーの公式は、数学の中でも最も美しい式の一つと言われています:
$$
e^{i\pi} + 1 = 0
$$
この式は、円周率 (π) を使って複素数の単位円を表現しています。しかし、τ を使うと、この公式がさらに直感的かつ簡潔になります。
オイラーの公式の τ バージョン
まず、オイラーの公式を一般形で書くと次のようになります:
$$
e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta
$$
ここで、θ = τ を代入すると:
$$
e^{i\tau} = \cos\tau + i\sin\tau
$$
なぜこれが美しい?
従来のオイラーの公式では、1周(2π)を使って次のように表されていました:
$$
e^{i 2\pi} = 1
$$
しかし、τ を使うと1周が「τ」そのものとして表現でき、式がよりシンプルで美しくなります:
$$
e^{i\tau} = 1
$$
結論
τ を使うことで、オイラーの公式も「1周が τ」という直感的な定義に基づいてより美しくなります。
-
従来の形:
$$
e^{i 2\pi} = 1
$$
$$
e^{i \pi} + 1 = 0
$$ -
τを使った形:
$$
e^{i\tau} = 1
$$
結論:τは未来のスタンダード
πとτ、どちらが良いかは用途や文脈によりますが、τの方が直感的で式がスッキリするケースが多いのは事実です。
とはいえ、数学界や教育の現場では長年πが使われてきたため、すぐにτが主流になるわけではないでしょう。でも、τを使った方が「理解が早い」「計算が楽しい」と感じる場面があるなら、ぜひ試してみてください!