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【TBtools】シークエンスデータのシンテニープロットやってみた

Last updated at Posted at 2022-12-06

はじめに

次世代シーケンサーが登場してはや15年強。少しネットを調べれば、染色体レベルでアセンブリされたシークエンスデータが手軽に手に入る時代になりました。
せっかく公開されているんです。使わなければ損! あなたのシーケンスデータと公開データを比較してみましょう。
しかし、シーケンスデータの処理はバイオが専攻、特にウェットの生物学が専攻の人には簡単ではないですね。
本記事では、TBtoolsというツールを使って、簡単にGUIでゲノムシンテニープロットを比較する方法を紹介します
Genome assembly データと Gene annotation データがあればすぐできますので、この記事を見たらぜひやってみてください。あなたも染色体進化研究の虜になりますよ!

目次

TBtoolsとは

"Tools for Biologist"の略で、ハイスループットデータを扱うのに役立つツールキット。
さまざまな生物学的データ処理ツールを統合した生物学者向けのツールセットで、スタンドアロンのソフトウェアにより、GUIで使えることが特徴です。
具体的には、シーケンスの各種操作(ORF予測、変換など)、BLAST、GO・KEGG(アノテーション)、ベン図やヒートマップおよびシンテニープロットなどの図の作成などができます。
今回使用する、ゲノム間のシンテニー領域を調べる機能のアルゴリズムには、MCScanXを採用しています。

GitHub上にソースコードが公開されています。
https://github.com/CJ-Chen/TBtools
ベン図、ヒートマップ、シンテニーブロックの可視化など、分析結果の例がREADMEに載ってますので、参考にしてください。
コマンドラインからも実行できますが、今回は普段CUIに触らない生物学者向けですので、GUIベースでお話を進めます。

インストール

TBtools

GitHubの最新リリース からインストールしてください。
Windowsの場合は、ダウンロードした.exeファイルを実行して設定するだけです。

解析に使うシーケンスデータ

Ensembl Rapid Releaseから、適当な種の Genome assembly データ(FASTA)Gene annotation データ(GFF3) を取ってきましょう。
(目的の種は一覧ページから探しましょう)
今回は例として、モンシロチョウ(cabbage white)とオオモンシロチョウ(large cabbage white)のデータを使いました。

Name Scientific name Genome assembly mask
モンシロチョウ Pieris rapae ilPieRapa1.1 (GCA_905147795.1) hardmasked
オオモンシロチョウ Pieris brassicae ilPieBrab1.1 (GCA_905147105.1) hardmasked

ダウンロードされるのは圧縮ファイル(.gz)ですので、解凍をお忘れなく。

自分のデータを使う場合も、FASTAファイルと、GFF3もしくはGFFファイルを用意してください。

2種間のシンテニーブロック可視化手順

1.TBtools を起動する
インストール時にデスクトップにショートカットを作成していれば、そこをダブルクリックするだけでOKです。
ホーム画面には、なぜか偉人の名言がランダムで表示されます。今回はキング牧師でした。
2022-12-07.png

2.Graphics > Comparative Genomics > One Step MC ScanX を選択する
2022-12-07 (2).png

3.FASTAファイルとGFF3ファイルのパスを設定する
使いたいファイルをドラック&ドロップすればいいです。
テキストボックスの右のボタンから設定することもできます。
image.png

4.出力先のパスを設定する
出力先にしたいディレクトリをドラック&ドロップすればいいです。
テキストボックスの右のボタンから設定することもできます。
image.png

5.start ボタンを押す
ボタンを押下後、start の文字がグレーになってから結構長い間待ちます(シーケンスデータのサイズにもよりますが)。
フリーズしたと勘違いして終了などしないように気を付けましょう。
モンシロチョウ vs オオモンシロチョウの場合、約15分待ちました。
E-valueなど、パラメータを設定して実行することもできます。

無事実行が完了すると「MCScanX Running Finished...」というポップアップが表示されます。
出力先ディレクトリに複数のファイルが生成されているはずです。

6.Graphics > Comparative Genomics > Dual Synteny Plot for MCScanX を選択する
2022-12-07 (5).png

7.出力されたファイルから、拡張子が「.ctl」「.gff」「.collinearity」のファイルをそれぞれ選んで設定する
image.png
ここも同様に、出力先にしたいディレクトリをドラック&ドロップすればいいです。
テキストボックスの右のボタンから設定することもできます。
ハイライトしたい遺伝子リストがあればここで設定できます(オプション)。

8.start ボタンを押す
結果がすぐに画面に表示されます。

結果

こんな感じで画面上に結果が表示されます。
2022-12-07 (7).png
Save Graph から、.png .jpg .svg .pdf で好きなフォーマットで結果を保存できます。
拡大縮小も可能ですので、いい感じに調整して出力しましょう。

こんなときは

解析時、下記のようなエラー表示が出ることがありました。
java.io.IOException: Chr IDs is NOT consistent in Species [ファイル名]
筆者の場合、解析に使用したファイルのフォーマットが不適切な場合に本エラーが発生しました。ファイルの中身や拡張子をご確認ください。

おわりに

今回はわかりやすさのために、シンテニープロットのみにフォーカスして記事を書きました。
シーケンス技術の発展とともに分析ツールも多数出現してきておりますが、やはり非情報系生物学者には、わかりやすいことが第一ですね。
TBtoolsは他にも便利な機能が多数搭載されていますので、まずは遊んでみてください!

参考

Ensembl Rapid Release
HTSデータを扱う様々なツールをGUIインターフェースで統合した TBtools
ゲノム間のシンテニー領域を調べる MCScanX
染色体イデオグラムや染色体間のシンテニープロットを描画する RIdeogram
Genome wide study Part 14 | How to do Synteny analysis between two Species genome using TBTool
Synteny Analysis in TBTOOLS

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