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本記事はリンクアンドモチベーション AdventCalendar2024の18日目の記事です🎄

1. はじめに

初めまして!リンクアンドモチベーション新卒PdMの辻谷です!
今年10月から、弊社プロダクトであるストレッチクラウドの開発チームに配属され、プロダクトやの理解をミッションとして活動しています。

PdMとして働き始め、まず最初にストレッチクラウドの「VPC(バリュー・プロポジションキャンバス)」を作成することになりました。
作成当初は、

  • これどこから書き始めるの...?
  • 情報はどこから取得すればいいの...?

のような状態でしたが、フィードバックをいただいたり、参考本を読んだり、アウトプットを重ねていく中で形にすることができました。

この記事では、PdMとして第一歩を踏み出した私のVPCを作成する過程と学びをお伝えします。
同じ境遇の方や、初めてPdMの仕事をする方にとって、少しでも参考になればと思います。

この記事で紹介するVPCの図は、情報保護の観点から一部要素を抽象化した形で公開しています。実際の作成物と異なる部分もありますが、構成や考え方をご参考いただければ幸いです。

2. VPC(バリュー・プロポジションキャンバス)とは?

VPC(バリュー・プロポジションキャンバス)は、顧客のニーズ提供する価値 を明確に整理するためのフレームワークです。スイスのビジネスモデル専門家アレックス・オスターワルダー氏が提唱したもので、主に次の2つの要素から成り立っています。

2.1. VPCの構成要素

  1. 顧客セグメント(カスタマープロフィール)
    • カスタマージョブ(Customer Jobs):顧客が達成したいことや解決したい課題
    • ペイン(Pains):顧客が抱える困難や不満、障害
    • ゲイン(Gains):顧客が得たいメリットや成功体験
  2. 価値提案(バリューマップ)
    • 製品・サービス(Products & Services):提供するプロダクトや機能
    • ペインリリーバー(Pain Relievers):顧客のペインを解消する方法
    • ゲインクリエイター(Gain Creators):顧客にとってのメリットを創出する要素

image.png

2.2 なぜVPCを作成するのか?

PdMとして、VPCを作成することで次の効果が得られると考えています。

  • 顧客理解が深まる
    顧客が本当に求めているものや抱える課題を可視化する。
  • 価値提供の方向性が明確になる
    プロダクトや機能が顧客の課題解決にどう役立つか整理できる。
  • チームで認識を揃えられる
    開発チームと顧客価値について共通理解を持つための材料になる。

私自身も、このVPCを通じて「ストレッチクラウド」が顧客にどのような価値を提供し、どんな課題を解決しているのかを理解する第一歩を踏み出しました。

3. はじめて作成したVPC

私が初めてアウトプットしたVPCがこちらです。
image.png

3.1. 作成当初の状況

「VPCってどうやって書くの?」という状態から、とにかく手を動かすことを優先しました。初めてのアウトプットを作成するためにおこなったことは、次の 1つの行動だけ です。

  • ストレッチクラウドを納品している方のアポに同行し、議事録をまとめる

この段階では、顧客理解もプロダクト理解も不十分で、VPCとしては完成にはほど遠い状況でした。

3.2. 最初に作成したVPCの改善点

今考えれば、「情報が少なすぎる状態でも、とにかく書くことが大事」だと感じます。初めから正確なVPCを書くのは不可能ですし、「仮説ベースででもアウトプットし、そこから学びを得る」 ことが何より重要だと学びました。

この最初のVPCは、

  • 顧客視点の深掘りが浅い
    「なぜこのサービスを選んだのか?」「どんな課題を解決したいのか?」が表面的でした。
  • フェーズごとの違いを考えていない
    サービス導入時(入会フェーズ)と利用時(利用フェーズ)での課題や期待感が分けられていませんでした。

初めてのVPC作成は、「足りない点」や「悩むポイント」 が多く見つかる場でしたが、だからこそ次の行動に繋がりました。
そこで、最終的なVPCをブラッシュアップするために 2つの行動 を意識しました。

4. VPCをブラッシュアップするために意識したこと

4.1. 積極的にフィードバックをもらいにいくこと

VPC作成では「一人で完璧に仕上げよう」とすると、時間がかかる上に方向性がズレることもあります。フィードバックをもらうことの大切さを痛感したのがこのプロセスでした。
最初は「このレベルで見せていいのかな?」と不安でしたが、フィードバックをもらうことで以下の2つのメリットを感じました。

フィードバックをもらう2つのメリット

①「悩む時間」が「次のアクション」に変わる
一人で数時間悩んでいたポイントも、フィードバックをもらうことでわずか10分で解決し、次にすべき行動が明確になりました。
例えば、以下のようなフィードバックをいただきました。

  • 「サービスを買う/使う」2つのタイミングで人事の感じ方は変わるから、別々でVPCを作成してみよう。
  • 人事担当者も目標を持つ一人間だから、彼らの「感情」を深掘りしてみよう。

このように具体的な指摘を受けることで、自分の視点が広がり、より良いアウトプットにつながりました。

②「10%の完成度」で見せる方が、結果として早く完成する
VPCを1回の作成で完璧に仕上げるのは難易度が高いです。むしろ、10%の完成度でも見せる勇気が大切だと感じました。
フィードバックをもらうたびにブラッシュアップできるので、「1人で考え続けるよりも早く良いものができる」ということを実感しました。
最初から自力で完璧を目指さず、積極的に先輩方の力を借りることが、成長への近道だなと実感しました。

4.2. できるだけ実際のアポに参加し、網羅的にお客様の声を知ること

VPC作成の初期段階では、受注背景の資料やGoogle検索からも多くの情報を得られました。しかし、「お客様の感情」や「リアルな課題感」を理解するには、限界があると感じるようになりました。

例えば、こんな疑問です。

  • お客様は どんな感情 でこのサービスを発注したのか?
  • 実際に使っている中で どんな不満 を抱えているのか?

このような 「お客様の本音」 を知るには、実際のやり取りに触れることが必要でした。

お客様の声を知るためにおこなった2つの行動

①納品アポに同行して、お客様の反応や言葉に触れる
サービスを納品する場に同席することで、お客様の「課題感」や「期待感」を直接聞くことができました。また、議事録を取ることで、何に嬉しいと感じているのか、何を不満に思っていそうか、深く理解するきっかけになりました。

②過去の会話内容や議事録を確認し、お客様の発言や感情を深掘りする
参加できない場面や過去の事例については、議事録ややり取りの記録を通じて、お客様が何を感じ、何を求めているのかを理解するように努めました。

これらの行動を通じて、これまで見えなかった「感情」や「リアルな課題」に気づくことができました。

5. ブラッシュアップしたVPC

現在、入会フェーズのVPCは以下のようにブラッシュアップできました。
image.png

5.1. 最初のVPCとの違い

ブラッシュアップ後のVPCは、最初に比べて次の3つのポイントで大きく改善されました。
① 顧客フェーズごとの視点が明確になった
最初のVPCでは「入会フェーズ」と「利用フェーズ」の区別がなく、全ての課題や価値が一緒くたに扱われていました。しかし、以下のフィードバックを受けてフェーズごとに整理しました。

  • 入会フェーズ
    導入時にお客様が感じる「期待感」や「導入障壁」に注目しました。
  • 利用フェーズ
    実際に運用していく中で発生する「満足」と「不満足」のポイントを整理しました。

これにより、顧客の課題や期待をフェーズごとに具体化し、適切な価値提案が可能になりました。

② 顧客の「感情」に寄り添う視点が加わった
録画視聴や納品アポでの生の声を通じて、お客様が抱えている感情や温度感をVPCに反映しました。

例えば、

  • 「単発の研修では、なかなか現場の仕事と結びつかなくて効果が見られないことが多い。」
  • 「確実に行動できている人はちゃんと結果に現れている。行動の支援をもっとしていきたい。」

このような、人事の実際の声を要素をペインやゲインに含めることで、より実感のこもった価値提案ができるようになりました。

5.2 ブラッシュアップの成果

このVPCは、最初のVPCと比較して「顧客の課題に入り込み、具体的な価値提案ができる内容」に変わったのではないかと思っています。

  • フェーズごとの整理 で課題感が明確化し、入会時の期待を利用時に価値として感じてもらえているのかどうか考えられるようになりました。
  • 顧客の感情や温度感 を反映することで、実際の顧客目線に立ったVPCを作成できたと思います。

6. VPCを作成して変化したこと

VPCを作成して、私に起きた3つの変化

①お客様目線を意識するようになった
VPCの作成を通して、顧客の課題や背景を考え抜く習慣がつきました。

具体的な習慣としては、

  • 週に2つ、営業や納品の動画を視聴する
  • 管理職についての本を読む

をおこなっています。

こうしたインプットを通して、お客様の理解を深めることが自分の役割だとさらに意識するようになりました。

②チームMTGで主体的に発言できるようになった
VPCを作成する前は、ストレッチクラウドの機能改善のmtgに参加していても、何が話されているのかを理解するだけで必死な状態でした。

VPCを作成するために営業アポや納品アポに触れたことで、

  • 「アポでお客様は〇〇とおっしゃっていました。」

のように、少しずつ自分の経験から発言できるようになりました。
お客様目線で話ができるようになったことで、配属当初と比較し、自分自身の成長を少しずつ感じ始めています。

③PdMとして「仮説を立てる力」が少しずつ身についた
初めは「正しいVPCを作成しよう」と思っていましたが、完璧なVPCを目指すよりも、情報を整理して仮説を提案することが大切だと気づきました。

私の成長ポイント

  1. お客様目線を意識するようになった
  2. チームMTGで主体的に発言できるようになった
  3. PdMとして「仮説を立てる力」が少しずつ身についた

7. おわりに

VPCを作成したことは、自分にとって大きな成長のきっかけになりました。しかし、ストレッチクラウドを通じて価値をお客様に届けるには、利用フェーズの理解と整理が今後の課題です。

これから、利用する中でのお客様の課題を深掘りし、機能改善の提案をしていこうと考えています。VPCを進化させながら、ストレッチクラウドが真にお客様の成長を支援できるプロダクトになるよう、チームと共に挑戦を続けます。

PdMとしてまだまだ成長途中ではありますが、今後も顧客理解を深め、チームに価値を届けられるPdMを目指して頑張ります!

参考文献

アレックス・オスターワルダー(2015) . 『バリュー・プロポジション・デザイン』. 株式会社翔泳社.

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