この記事は限界開発鯖 Advent Calendar 2022 の 14 日目です. 25 面ダイスを振って決めました.
動機づけ ― 取り組みや挑戦
私はよく, なにか作りたいものやってみたいことを気ままに取り組むことが多いです. アプリとか小説とか音楽とか……どれだけ理想が素晴らしいものでも, そういったものはなかなか長続きせずに忘れ去ってしまいます. 作る過程で学ぶこともありますが, 時間を無駄にしたような虚しさや, 完遂できない無力さを感じてしまいます.
もちろん, 個人で取り組むようなものや, お金がほとんどかからないことにあまり後悔は要りません. 失った損失も微々たるものです. しかし, 仲間を集めて大人数で 取り組みだしたり, それなりに経費や時間がかかる ことを始めると, 取り返しがつかなくなっていきます. 進めていくなかで困難に直面したり, 推進力を失って墜落するでしょう. たとえお金がかからなくても, 関わっていた仲間の人間関係が悪化したり, モチベーションがあるにも拘らず思うように進まない地獄を体験するようです (友人談). 逆に, すごい勢いで面白いものができているはずだったのに微妙なモノに変質していた, なんてこともありえます.
劣悪な環境や心理状態で無理に進めようとすると, 代わりに 防衛機制 が働くでしょう. つまり,
- 欲求を何か別のものに置き換えて満足する
- 自分の人格を解離させて凌ぐ
- 何もやる気が起きない
- 感情を抑圧させてただ手を動かす
- できないことに理由をつけて, 自分を納得させて諦める
- やりたいことがうまくできなくなる
- :
しかしそんな状態になるくらいなら, プロジェクトを始める前の時間を使ってもっと計画できたはずです. 計画を練って備えることは大変かもしれませんが, きっとあなたの将来に繋がります.
プロジェクトとは
まずは, やりたいことを確認しましょう. この記事では以下の性質を満たすものを プロジェクト と呼び, これをうまく計画していくことを考えます.
- 条件: 最低限, 何を達成したら一区切りつくのか. 何が完成してほしいのか.
- 期間: どのくらいの期間はそれに取り組むのか.
- 費用: どのくらいの財や時間を消費できるのか.
例えば, 期間や費用が少ないプロジェクトだと以下のようなものがあるでしょう.
- 映画を鑑賞する
- 安いゲームを買って遊ぶ
- 本を読んで勉強する
- はじめての飲食店に行ってみる
- SNS に毎日写真を投稿する
- ブログ記事を書く
- ゆっくり茶番動画を作る
- :
しかし私たちが真剣に考えたいのは, 次のようもっと取り返しがつかない大きなものですね.
- 長い間旅行する
- 大学に通う
- VOICEROID 解説動画シリーズを作る
- 同人漫画を描く
- コンテストに応募する作品を作る
- 会社を立ち上げる
- 個人でウェブサービスを始める
- :
さらに仲間を作ったり多額の予算を用意したりして取り組むと, 想像よりもプロジェクトは焼けた餅のように膨らんでいき, 生半可な気持ちで手を出すと火傷してしまいます.
プロジェクトを充実させよう
さて, プロジェクトを 続ける ためには, プロジェクトそのものについて考えるよりもむしろ, プロジェクトに 携わる人の性質を掘り下げてうまく付き合う ことが大事です. このプロジェクトだけを続けてそれで終わる, よりも今後も同じような活動を続けられるほうが望ましいでしょうから.
埋もれた目的哲学を拾い上げる
まずはメンバーがどうしてプロジェクトに取り組むのか, どういうプロジェクトなら取り組みたくなるのかを追求してみるのです. 個人プロジェクトであれば, 自分自身を理解することがこれに相当します. そうして, どういう思想や思考が根拠となっているか という 目的哲学 を突き詰めます. 大抵ははっきりと決まっていませんから, 埋もれたものを拾い上げることになります.
こうした目的哲学の集まりは, 条件という山頂に到達するための旗になってくれます. あらかじめ考えておくと, こんなときの判断基準として役立ちます.
- 困難に直面して選択を迫られるとき
- うまくいかなくて気持ちが弱くなったとき
- プロジェクトが思っていたのと違う方向に進んでいると感じたとき
目的哲学を見つけ出すには, メンバーがリラックスできて欲求を抑え込まない環境 が必要です. 個人プロジェクトであれば, 自分を責めたり卑屈に考えたりしてはいけません. メンバーの 抑圧されていない素直な欲求 が目的哲学をプリッと生み出すでしょう.
インタビュー
メンバーに以下のようなインタビューを行って, どんな哲学の人間なのかを分析してみましょう. 個人プロジェクトであれば自分自身にインタビューしてみてください.
ただの質問ではなく, 健全な心理状態を保ち, 対等な立場で接することを心がけましょう.
- 休みの一日に何をして過ごしていますか? 5 パターンほど教えて下さい.
- この活動をどのくらい続けて, どのように制作をしていきたいですか?
- 現実的に, どのくらいのお金が稼げたら嬉しいですか?
- 理想のものが完成したら, それはどのようなものでしょうか?
- 1000 万円と 3 年間を自由に使えたら何をしますか?
- 自分が作るものに持たせたいこだわりはありますか?
- あわよくば狙いたい賞などはありますか?
- :
参考に私の自己インタビュー結果を載せておきます. あなたもぜひ書いてみてください.
- 一日8時間は眠れるようにしたい
- 趣味で時間のあるときに取り組む程度でいい
- 利益が出ないようにしたい、申し訳ない気持ちがある
- どうせ作るなら納得がいくものにしたい
- できるだけ明るい雰囲気の作品にしたい
- 科学要素はリアルに描写したい
- コンテストなどに参加する気はない
こうして得られたインタビュー結果から, その人が何を大事にしているのか, 何を優先して考えるのかを分析してリストアップしましょう.
何も出てこない/もしくはそうなる事態が想定される場合は, 経験や知識のあるメンバーが少ないと思われます. メンバーが勉強する時間を取って, 学びながら人間関係を良くする方向の目的を掲げるべきでしょう. 例えば,
- 1 ~ 2 人ごとに簡単なものを作らせてみる
- 参考資料を話しながら一緒に観る
といったものでも成長するには十分なはずです. そうして力をつけて, より高い目標に 手が届きそう になりましょう.
目的哲学に優先順位を付ける
こうして出した目的哲学に, 相対的な優先順位を付けます. 優先順位を付けることで, 判断基準にするときに「こっちの方を大事にしたい」という考えがすぐにまとまります.
全ての目的に優劣を付ける必要はありません. 優先して守りたい と できれば守りたい の 2 段階に分けるだけでもよいですし, さらに段階を設けてもよいです. 後で無駄に悩む時間を増やさないため なので, 現時点で優劣が思いつかなければフラットな関係のままでおいておけばよいです.
例として, 先ほどの私の自己インタビュー結果から目的を 2 段階に分けてみました.
優先して守りたい:
- 一日8時間は眠れるようにしたい
- 趣味で時間のあるときに取り組む程度でいい
- どうせ作るなら納得がいくものにしたい
- できるだけ明るい雰囲気の作品にしたい
できれば守りたい:
- 利益が出ないようにしたい、申し訳ない気持ちがある
- 科学要素はリアルに描写したい
- コンテストなどに参加する気はない
目的哲学を指向ごとに分類する
この目的哲学には, おそらく言わんとしている 指向や分野 があるはずです. 特にプロジェクトのことを考える場合は, 制作内容, 人件, 時間とお金 の 3 つに分類しておくとよいでしょう. ここまで整理しておけば, 他人に見せて共有するのにも向いています.
再び例として, 先ほど 2 段階に分けたものをさらに分類してみました. 上から優先度の降順で並べています.
制作内容 | 人件 | 時間とお金 |
---|---|---|
どうせ作るなら納得がいくものにしたい できるだけ明るい雰囲気の作品にしたい |
一日8時間は眠れるようにしたい | 趣味で時間のあるときに取り組む程度でいい |
科学要素はリアルに描写したい | 利益が出ないようにしたい、申し訳ない気持ちがある コンテストなどに参加する気はない |
アイデアを作る
ここまでで, プロジェクトとそれに取り組む目的哲学を照らし出しました. それでは, より具体的に取り組めるようにアイデアを作る番です.
条件と目的哲学に沿ってアイデアを考える
条件と目的哲学があるので, これに沿ってアイデアを考えていきましょう. 以前から温めていたアイデアがあれば, 少しでも関係ありそうなものをどんどん 放出 していきましょう. 何もない状況と違って道標がある ので, 考えやすくなっているはずです.
アイデアを出すにあたって, 役に立つ心構えをいくつか挙げておきます.
- やりたいなことなら, 些細なことでも書く.
- やりたくないことは後回し.
- このくらいのことに価値は無さそう, なんて思わない.
- 条件と目的哲学だけを根拠にする.
- 目的に載っていないのに, 人気が出そうだからなどの理由でアイデアを書かない.
- 作りやすそうだからなど作り手の勝手な理由でアイデアを捻じ曲げない.
- アイデアどうしの矛盾は気にしない.
- 日常で触れているものを見つめ直してみよう.
- 普段使っている道具やアプリのしくみや性質を掘り下げてみよう.
- 自分の生活習慣のなかでやっていることにヒントがあるかも.
- 自分が好きな作品の共通点を抽出してみよう.
いつでもどこでもアイデアを蓄積する習慣をつける
創作活動を続けているのなら, こうしたアイデア出しの機会はよく訪れますね. いちいちアイデアをひねり出す時間を設けるのが もったいない と感じるのなら, 常日頃から見つけた/思いついたアイデアを蓄積しておくようにするとよいでしょう. アイデアをメモするなら以下のような手法が考えられます.
- 付箋紙やノートなどの 物理媒体 に書く.
- 筆記用具が必要だが図式をすぐ描ける.
- 電子メモアプリなどを利用する.
- SNS でつぶやく.
- Slack や Discord などの テキストチャット で, セルフ DM や雑談チャンネルに送信する.
ひらめきや発見というものは なるほど と感じてもすぐ忘れてしまうものです. 私は運動しているとき, 寝る前, 風呂に入っているときなどによく思いつくのですが, いざメモしようとするとすっぽり抜け落ちてしまいます. 思いつくに至った手順を再現すれば思い出せることもありますが, 忘れてしまったものはしょうがないですからできる限り拾っていく習慣をつけましょう.
メンバー間でアイデアを常に共有する
アイデアをまとめたものを一覧して見返せるようになっていると, より深く思考を巡らせるのに役立ちます. 当然「面白いな」と感じたものが書かれていますから, 読むだけでも楽しいです. アイデアを大事にしたくなった理由と心理状態を想起させることもあります.
電子的な手段でメモしている場合は簡単ですが, アナログなメモの場合はメンバーが見えるところに掲示するなど共有しておくとより議論が発展しやすいです. お互いのアイデアを持ち寄った宝庫が成長していく様は圧巻ですよ.
たまにアイデアを削って引き締める
アイデアというのは連鎖的に, それに関することとして思いつくこともあります. ずっと連想ゲームをしている訳にはいきませんが, 気が済むまでアイデアを出したほうが思わぬ金塊に遭遇するかもしれません.
そうしてアイデアが集まりすぎて混沌としてき始めたら, 今度はそれを引き締めるターンです. いつ引き締めるべきかは決まっていません. しかし, 条件と目的に沿っているはずなのに, あまりにも増え過ぎたり, 似たものどうしになったりします. さすがにそういった状況は好ましくありません. 大量のアイデアを扱う必要がある制作内容であれば, 冗長なアイデアを削ることを行ってもよいでしょう.
主題となるアイデアを決定する
アイデアを出しただけだと, まだプロジェクトとしては雑然としており未熟です. プロジェクトに関わっていない外部の人からの共感や支援も受けづらいでしょう.
そこで, プロジェクトが結局のところどこに向かうのかを, プロジェクトの 第一印象 にしたいアイデアを決定することで指し示します. 第一印象を決めると, 以下のようなメリットがあります.
- 成果物の利用者が興味を持つきっかけになる
- メンバーとの共通認識を形成できる
- あると良さそうなサブの要素がわかる
- 必要な予算や時間がより具体的になる
- この方向性が良いのかどうかヒアリングできる
具体的に第一印象を決めるには, このプロジェクトで実際にやるアイデアとやらないアイデアを整理していき, 利用者が関わることになる概念 (創作物なら世界観など) をはっきりさせます.
チラシ, エレベーターピッチを作ってみる
プロジェクトの第一印象を考えるときは, 実際に他人へ発表するならどうなるかを考えると効率的です. このような資料を作ってみるとよいでしょう.
- A4 用紙 1 枚 に載っている情報だけで その作品の特徴を伝える.
- 15 ~ 30 秒間のプレゼン だけで その作品の特徴を伝える.
- 5 秒間の動画広告 だけで その作品の特徴を伝える.
実際に作らなくても, どういう内容になるかをじっくり考えれば大丈夫です. 自然とプロジェクトのアピールポイントが見えてくるはずです. これこそがプロジェクトを 特徴づけるアイデア となります.
モデルを共同制作する
ここからは, 考えたアイデアをちゃんと実施するために, 具体的な部分を 肉付け していきます. 未来の自分も別のメンバーのようなものです. アイデアに対する共通認識をメンバーの間で形成するために, それをより具体的にした モデル (模型) を共同で作りましょう.
モデルを作るときは, 実際に成果物を利用する人やそれに詳しい人と, リアルタイムにやり取りしながら作るのが好ましいです. このようにするのは, 以下のメリットがあるからです.
- 認識にすれ違いがあったらすぐに訂正できる
- 文章と口頭の両方で伝えるため情報が欠落しにくい
- 利用者またはメンバーが気づいていなかった既知の概念を洗い出せる
- 既知の概念を纏めて新しい概念を形成できるかどうか試せる
アイデアを出してからいきなりここに飛び込まないようにしましょう. まずは特徴を決めてください.
特徴が定まっていないのにアイデアごとのモデルをすべて作ろうとすると, あまり重要でないモデルにまで労力を割いてしまう ことになります. また, どのアイデアが大事なのか分かっていないので, アイデアならびにモデルの変更が頻繁に行われて, 一貫性を保つ作業に追われる 羽目になります.
理想の利用者像を作る
アイデアへ肉付けするには, 利用者と成果物の関わりを考えていくと足りないところがはっきりわかります. そこで, まずは この利用者がどんな人物なのか をはっきりさせましょう. 理想の利用者像を作り上げるのです. つまり,
- どんな趣味?
- どんな生活?
- どんな家庭状況?
- なんのためにこの成果物を利用している?
- どういう経緯でこの成果物を利用している?
- :
といったことを考えます. あまりにもこの人物像が稀有すぎるなら, 先ほどの 特徴 がもう少しゆるくなるように考え直したほうがよいでしょう.
また, 利用者が特殊な職業であったり大きなリスクを冒す立場であったりするときは, その利用者が どんな目的哲学を持っているか を考えてもよいでしょう. 例えば, 利用者が航空機のパイロットなら, 以下のような目的哲学を持っていると考えます (あくまで理想なので, 現実にこのような敬虔なパイロットがいるのかは知りません).
- 乗客や貨物を安全に保つ.
- マニュアルに従って運行する.
- 航空会社の利益を最大化する.
- :
研究活動, 学業, スポーツなど利用者が自分自身のプロジェクトであれば, この利用者像を考える必要はありません. この次のステップに進みましょう,
需要を抽出する
そして理想的な利用者ならこの成果物を どのように利用するのか? を, その人がやりたいこと 1 つに対して簡潔な一文で表します (複数のことがやりたいならそれぞれ一文ずつ書きます). 創作物なら消費される形態やプラットフォームを, 製品やサービスなら利用される環境や一緒に利用されるものなどを考えてみましょう. 利用実態にそぐわないようなコンセプトや機能を持っていても, 利用しづらくなるだけですからね.
こうした コンテキスト をベースに, どのように利用できるのが一番メリットがあるのかを考えて, アイデアをより洗練させます. コンテキストがあることで, 冗長なものを削ぎ落としたり, あったほうが役立つことを見つけたりしやすくなります.
シナリオを作る
最後に, アイデアどうしの間にある 矛盾や疑問点を解消 します. 成果物の アイデアどうしをつなげて 1 つのシナリオ (創作物ならプロット) を考えてみます. 利用者と成果物が実際にどういった過程で関わるのか (創作物なら登場人物どうしの関係性の変化) を, それぞれの 人物がやり取りする内容の時系列 で書き表します. 利用者が複数存在していたり, 過程が複雑で長くなっていたりする場合は, シーケンス図などを描くのも有効です. もし前後でやっていることに不都合が出たり論理的な破綻が生じたりした場合は, これまでに決めた目的や特徴に沿って直していきましょう.
こうして作ったシナリオは, 制作にあたって非常に重要な資料となります. メンバーと共有すべきですし, プロジェクトに取り組む間ずっと保存すべきです. また, アイデアの詳細を変えたときはこのシナリオも更新して反映させましょう.
実際に作ってみる
いよいよ, これらのアイデアとシナリオを元に実際の成果物を作り始めましょう. もし成果物が巨大で分業が必要な場合は, この時点で作業工程と分担を決めて共有しましょう.
先にアイデアを出す段階でやっているかもしれませんが, ある程度の アイデアの塊をもとに成果物の一部を作ってみる ことも有効です. 実際に どのように取り組んだほうがよいのかがはっきりします し, 完成形をアピールする資料 にもなります.
技術や環境を選定する
ここで目的, メンバーの規模や練度, やりたいことの量や複雑さを再確認します. メンバーと相談しながらこれらを考慮して, 制作するためのフレームワーク, ツール, 備品, 作業する場所などは現状で得られる 一番いいの にしておきましょう. 設備投資は将来の作業に渡って長く影響し, 馬鹿にできない恩恵があります.
ルシフェル「イーノック, そんな装備で大丈夫か?」
イーノック「一番いいのを頼む」2011 年 El Shaddai -エルシャダイ- より
「大丈夫だ, 問題ない」などと軽視するのは, スキルがあっても宝の持ち腐れになるかもしれません.
もしここでメンバーの経験にそぐわないツールを使うように強制したり, 相性の悪いフレームワークどうしを取り合わせたりすると, ものすごい停滞を招きます.
メンバーどうしのサポート体制を整える
メンバーの習熟度やスキルには 差 が必ずあります. 誰かが知っていたり効率よく作業できることでも, 他の人はうまくできなかったりします. もしメンバーが作業で困ったりうまく進まなかったりしても, すぐ他のメンバーと連絡できるような 環境や雰囲気 を作っておきましょう. 対面して作業するのであれば 日頃から他愛も無い会話をしておく, オンラインであれば チャットで雑談しておく だけでも効果が現れると思います.
また, メンバーの誰かが体調不良など何らかの事情で活動に参加できなくなる可能性は十分にあります. そのためには, 特定のメンバーに依存した状態 (属人化) を避けるべきです. 属人化は以下のようなデメリットを生みます.
- 疑問点があるときに, 担当メンバーを探してその応答を待つことになる.
- メンバーが途中まで行った作業を他のメンバーが引き継げない.
- メンバーごとに作業量の偏りが生まれても解消できない.
- 作業内容の品質が高いのか低いのか判断できない.
属人化は以下のような施策で排除しておくと, メンバーが動けなくなっても補填を効かせる余裕が生まれます.
- 厄介な問題を解決したとき, つまづいた点とその解決手順を文章に残す.
- 特定のメンバーのみがフレームワークなどの学習が必要なものを触った場合は, 他のメンバーがその過程に目を通す.
- 複雑な作業手順を文章に残す.
- なにかを実施できる専用の権限をできるだけ減らす.
まとめ
全体の流れをまとめると, 以下の手順で進めていけばよいです.
- プロジェクトの条件, 期間, 費用を確認する.
- メンバーの目的哲学を見つける.
- 条件と目的哲学に沿ってアイデアを出し合う.
- 主題となるアイデアを決める.
- アイデアからモデルを共同制作する.
- 制作開始.
みなさんもぜひ, あなたのプロジェクトをもう少し続けてみませんか.
あとがきと参考文献
この記事は, 香山哲のプロジェクト発酵記 を読んだことがきっかけで書き始めました. こちらを参考にしつつ, 今までの自分のメモや知見を交えて自分の言葉で書いてみました.
制作を始めてからどのようにコツコツ進めていくかについても書こうと思いましたが, プロジェクトの計画をするという論旨から逸れるため取り除きました. 需要があればそれについても書くかもしれません.