遅れる日本のデジタル化
急速に発展し続けている昨今のデジタル社会。
「日本のITは遅れてる。」などといろんなところでいろんな人が言ってるような気がします。
言われてみれば私自身も、役所の手続きや選挙などネットでできたらいいのになぁ...と思うことはあります。
また2020年10月、国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界デジタル競争力ランキング2020」によると、日本は27位という位置づけとなっています。世界的に見ても日本は「デジタル後進国」と言えます。
(1位:アメリカ、2位:シンガポール、3位:デンマーク)
日本のデジタル化が遅れている要因の一つとして、日本の省庁や自治体にITに精通している人員が不足していることがあげられると思います。
特に現在コロナウイルスが猛威を振るう中で、国民が安全かつ便利な生活を手に入れるために社会全体としてのIT化というものが一つの有効な課題解決となると私自身感じます。
そんな中、日本政府もいろいろと動き出しているようで2021年9月に新たに「デジタル庁」というものを創設するそうです。
デジタル庁とは
「デジタル改革関連法案」が5月12日に参院本会議で採決され、賛成多数となり可決・成立となりました。この法案の中に「デジタル庁の創設」が組み込まれているのです。
仮設のデジタル庁HPの中でデジタル庁について以下のように説明しています。
「デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指します。徹底的な国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を進めてまいります。」
デジタル庁ホームページ:https://www.digital.go.jp/
現状、国や自治体は縦割り構造で、それぞれ省庁などで独自のシステムを利用しています。
使っているシステムが違えば省庁間でのデータのやり取りなどといった連携も非効率になります。
また国民目線でいえば、それぞれの省庁のサイトやシステムの見た目や使い勝手も異なるため、とても使いづらいものです。
デジタル庁を創設することの目的の一つとして、国や自治体のシステム基盤などを再整備することがあげられます。
全体として統一したシステム基盤を整備することによって、これまでかかっていた無駄な労力やコストを削減することができ、職員と国民ともに効率的な生活を送ることができます。
デジタル庁の活動に期待できること
デジタル庁創設で今後期待できることとしては、行政手続きの効率化です。
それに大きく関わってくるものが「マイナンバー」です。
これまでの法律ではマイナンバーの利用範囲は「社会保障制度、税制、災害対策、その他の行政分野」といった限られたものでした。
また自治体ごとに個人情報の取り扱い基準が異なるため、国と自治体の間で個人情報に関する連携が非効率でした。
今回のデジタル改革関連法案では、国と自治体で統一した個人情報保護に関する基準を設定し、かつマイナンバーの利用範囲も広げるなどといった内容が組み込まれています。
このようにシステムや個人情報を一元管理することによって様々な手続き等がスムーズになることが期待できます。
またデジタル庁では新たに民間のIT技術者などを積極的に募集し採用活動をしています。
ITに精通している人材が増えることによって、民間のIT企業にシステム開発を委託する際に、コミュニケーションが取りやすくなり、システムの品質向上などにもつながるでしょう。
まとめ
このように日本社会全体のデジタル化によって利便性は上がる一方で、個人情報の漏洩などの懸念の声も上がっています。
システムや個人情報の取り扱いが統一されれば、システムトラブルや情報漏洩が起こった場合の影響は非常に大きなものとなるでしょう。
このようなことが起きないためにもセキュリティ面に関する議論や強化というものを進めていく必要があるでしょう。