ラズベリーパイにMOXA社UPort11xxドライバをインストールする

はじめに

MOXA社製UPort11xxもRasPiで使用が可能
ただし、HPでDLできるものはSRCのため、ARMアーキテクチャ用（RasPiCPU用）にビルドする必要がある。
Kernel6.x対応

MOXA社のHP↓

ドライバDLサイト

対応するLinuxカーネルの選択

対応するLinuxカーネルを選択するためにRasPi側のOSカーネルバージョンを調べる↓

uname -r
uname -a
uname -m

Kernel 6.xにおける不具合

2023年5月9日時点ではRaspberry Pi(4)のKernel6.1.21に合わせて
最新版6.xがUPされている。
Driver for UPort 1100 Series (Linux kernel 6.x)
本Verにおいては、V5.1xでの不具合とmxu11x0.cのソース修正は対策されており不要である。
ただし、Raspberry Pi側の不具合により以下の対応が必要になる。

RasPi OS 32bitをkernelアップデートした場合に64bit表示になってしまう。

当方所有のRasPi OSは32bitでセットアップしているにもかかわらず
2023年5月時点においてupdateしたところカーネルはｖ6.1.21にUpdateされたが
どうやら64bitの設定にセットアップされてしまっているようであった。
（本件はバグかどうか現時点で不明）
現象としては以下のコマンドにより確認できる。

uname -r
　-> 6.1.21-v8+
uname -m
　-> aarch64

対策方法

/boot/config.txt
に
arm_64bit=0
を追記する

sudo nano /boot/config.txt

これにより以下となり、不具合はなんとか解消される。

uname -r
　-> 6.1.21-v7l+
uname -m
　-> armv7l

Kernel 5.xにおける不具合

2021年9月2日時点での最新版5.1がUPされているが↓
Driver for UPort 1100 Series (Linux kernel 5.x)
本Verは5.10.103-v7lまでは動作確認済
ただし5.15.32-v7lでは動作しないので注意

mxu11x0/driver/mxu11x0.c:341:21: error: initialization of ‘unsigned int (*)(struct tty_struct *)’ from incompatible pointer type ‘int (*)(struct tty_struct *)’ [-Werror=incompatible-pointer-types]

暫定対策 (kernel v6.1.21では不要）

・mxu11x0\mxu11x0.cを修正する
具体的には以下の２つの関数の戻り値をint⇒unsigned intに修正する。
static int mxu1_write_room(struct tty_struct *tty);
static int mxu1_chars_in_buffer(struct tty_struct *tty);

ソースの修正箇所については以下の通り

mxu11x0.c 162-163行

static unsigned int mxu1_write_room(struct tty_struct *tty);
static unsigned int mxu1_chars_in_buffer(struct tty_struct *tty);

mxu11x0.c 1130-1183行

#if(LINUX_VERSION_CODE < KERNEL_VERSION(2,6,27))
static int mxu1_write_room(struct usb_serial_port *port)
{
#else
static unsigned int mxu1_write_room(struct tty_struct *tty)
{
struct usb_serial_port *port = tty->driver_data;
#endif

	
	struct mxu1_port *mxport = usb_get_serial_port_data(port);
	int room = 0;
	unsigned long flags;

	dbg("%s - port %d", __FUNCTION__, port->port_number);

	if (mxport == NULL)
		return -ENODEV;
	
	spin_lock_irqsave(&mxport->mxp_lock, flags);
	room = mxu1_buf_space_avail(mxport->mxp_write_buf);
	spin_unlock_irqrestore(&mxport->mxp_lock, flags);

	dbg("%s - returns %d", __FUNCTION__, room);

	return room;
}

#if(LINUX_VERSION_CODE < KERNEL_VERSION(2,6,27))
static int mxu1_chars_in_buffer(struct usb_serial_port *port)
{
#else
static unsigned int mxu1_chars_in_buffer(struct tty_struct *tty)
{
	struct usb_serial_port *port = tty->driver_data;
#endif

	struct mxu1_port *mxport = usb_get_serial_port_data(port);
	int chars = 0;
	unsigned long flags;

	dbg("%s - port %d", __FUNCTION__, port->port_number);

	if (mxport == NULL)
		return -ENODEV;

	spin_lock_irqsave(&mxport->mxp_lock, flags);
	chars = mxu1_buf_data_avail(mxport->mxp_write_buf);
	spin_unlock_irqrestore(&mxport->mxp_lock, flags);

	dbg("%s - returns %d", __FUNCTION__, chars);

	return chars;
}

DLと解凍

moxa-uport-1100-series-linux-kernel-6.x-driver-v6.x.tgzを解凍
moxa-uport-1100-series-linux-kernel-6.x-driver-v6.x\readme.txt を参照（手順が記載されている）
2. System Requirements
3. Installation
はななめ読みする。
3.3 Module driver configuration
3.3.1 Build the MOXA driver
3.3.2 Load the MOXA driver
を実施する（以下の方法で）　3.4は不要

インストール

事前知識↓

Raspi上でドライバをインストールする。

インストールの方法は
・クロス環境（ＰＣ等）でビルドし、ターゲットシステムにロードする
・ネイティブ環境（この場合ターゲットシステムで直接）でビルドし、設定の上使用する。
今回はネイティブ環境でビルドする。　すなわち後者で行う。

ワークフォルダ（例）

RasPiのセットアップ例にて
/home/pi/share/driver
の作成および実行権限、読書権限をしている前提での説明となる。

準備

1.ビルド

ネイティブ環境でビルドする場合でもカーネルの機能にアクセスするためのカーネルヘッダ等が必要になります。下記コマンドでインストールする

sudo apt-get install raspberrypi-kernel-headers

/usr/srcにファイルが展開される
参考URL
https://qiita.com/iwatake2222/items/1fdd2e0faaaa868a2db2

2.MOXA UPortドライバDLファイルの配置（例）

以下にドライバを展開する(mxu11x0フォルダ）

cd /home/pi/share/driver

/home/pi/share/driver/mxu11x0に移動する

cd mxu11x0

以下のコマンドでインストール

sudo make clean
sudo make install

カーネルモジュールをロードし、確認する

sudo modprobe mxu11x0
lsmod

###【参考】
以下ｍの通りlibフォルダへのコピーまで実施してくれる
@cp -f ./$(TARGET).ko /lib/modules/$(KVER)/misc/

インストールは以上

SetserialによるConfiguration

setserialのインストール

インストール後、UPort1150の機能設定を行うためにインストールが必要
マルチポート動作できるのでRS422で動かしたい場合は明示的にRS422で動作させる設定が必要

インストールは以下でできる

sudo apt install setserial

portの設定をすることでRS422に設定できる。
port 0 RS-232
1 RS-485 2W
2 RS-422
3 RS-485 4W
setserial /dev/ttyUSB0 port 2
どうやら電源断により上記設定は失われる。
保存の方法は別途調査する。