AWS認定資格保持者は約131万人おり、そのうちクラウドプラクティショナー以外を持っている人は43万人いるらしい (公式サイトデータ)。その内、すべて取得している人は10~20万人くらいかなと思う。
日経クロステックで行っているIT資格実態調査の取得したいIT資格では、6年連続1位で、2023年は2位、2024年は3位と常に上位にある。ここ数年、下がっているが、AWS認定資格は多くの国内エンジニアが欲しい資格である。
そんなAWS認定資格の全冠は、然るべき方法で勉強すれば、効率的に短期間で達成することができる。下記に、AWS全試験の概要や難易度、全冠達成の学習方法や試験を受ける順番について紹介する。
AWS認定試験とは
各試験の概要
2024年4月にSpecialtyが3つ(DBS, DAS, SAP on AWS)が廃止され、Associateが1つ(DEA)が追加された。その際のAWS公式コメントを見ると、「SpecialtyのAWS認定の数を減らし、Foundational、Associate、ProfessionalのAWS認定を強化する」らしい。
Associateは関係互換のProfessionalを取得すると同時に更新されるので、Associateが増えることはAWS認定資格の3年更新を楽にしてくれるのでありがたい。
各AWS認定試験
- CLF (Foundational)
AWS Well-Architected Frameworkの概念と個々のAWSサービスの概要 - AIF (Foundational)
初歩的な機械学習の用語とAWS AIサービスについて - SAA (Associate)
VPCやメインのAWSサービスについて幅広い - DVA (Associate)
Lambda/DynamoDB/RDS/API Gateway/CloudFront/Cognitoなどの開発者向けの内容 - SOA (Associate)
セキュリティ設定やロギングについて - DEA (Associate)
GlueによるETL、データカタログ。kinesis等のストリーミング取り込み、RDS, Redshiftのデータベース設定、Athenaによるデータ分析について問われる - MLA (Associate)
生成AIのサービス構築について - SAP (Professional)
コスト・パフォーマンス・工数が最適な全体設計とは何か
ネットワーク設定やCI/CDパイプライン、オンプレからの移行について - DOP (Professional)
- SCS (Specialty)
セキュリティ管理サービスやKMSによる暗号化、セキュリティ設定について - MLS (Specialty)
機械学習の基礎知識とSagemaker/Kinessis/機械学習サービスについて - ANS (Specialty)
高度なネットワーク関連のサービスについて
全AWS認定資格12個
上記の試験には、内容が重複しているものがあり、実際は12個それぞれを1から学習する必要はない。下記に試験内容が似ているものを6グループに分類したテーブルを示す。
グループ名 | 試験名 | 説明 |
---|---|---|
概念や基本的なサービス | CLF | 他試験と全くの別物で概念やこのサービスは何みたいなことを問われる試験。ITパスポートのような感じ。 |
ソリューションアーキテクト | SAA/SAP | 基本サービスにおける全体的な設計や管理、セキュリティについて問われる。範囲は最も広い。 |
管理者向け | SOA/DOP/SCS | 管理者目線の試験。組織のユーザー管理やロギングについて問われる。KMSによる暗号化、セキュリティサービス、ユーザー権限設定など |
開発者向け | DVA | 実際に開発したことある人しかわからないだろってくらい細かいウェブアプリやデータベース構築の方法 |
ネットワーク設計 | ANS | 高度なネットワーク設計について |
データ分析・機械学習 | MLS/AIF/MLA/DEA | 簡単な機械学習の知識とほぼSageMaker/生成AI関連のサービス構成/データ取り込み・移管・分析 |
試験難易度
個人的な試験難易度を下記に示す。SAP/DOP/ANS以外はそれほど難しくなく、CLoudLisence等で試験勉強をすれば、2~3週間で合格するレベル。ただ、始めて試験を受ける人は、SAAで試験範囲のサービスが広く、AWSサービスを一通り学ぶのに時間がかかると思う。SAA/SAPを取れば、基本的なサービスは知ることができるので、その他の試験で出てきたサービスが何のサービスなのかわからないといったことはなくなる。
試験名 | 難易度 | 長文 | 専門知識 | 勉強期間 |
---|---|---|---|---|
CLF | ★ | ★ | ★ | 1週間 |
AIF | ★ | ★ | ★★ | 1週間 |
SAA | ★★ | ★★ | ★★ | 3週間 |
SOA | ★★★ | ★★★ | ★★★ | 3週間 |
DVA | ★★ | ★★ | ★★★★ | 2週間 |
DEA | ★★ | ★★ | ★★★ | 2週間 |
MLA | ★★ | ★★ | ★★★ | 2週間 |
DOP | ★★★★ | ★★★ | ★★ | 4週間 |
SAP | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★ | 4週間 |
SCS | ★★★ | ★★ | ★★★★ | 3週間 |
MLS | ★ | ★★ | ★★★★ | 2週間 |
ANS | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | 4週間 |
約8か月 |
受験の順番
公式で設計・構築、分析、開発、DevOps、セキュリティ、ネットワーク、機械学習とラーニングパスを紹介している。
個人的には、まずはCLFを合格し、50%クーポンコードを手に入れる。その後、SAA->SAPと順番に受け、AWS主要サービスについてや構成例の知識を付ける。その後は、実務に近い試験を受けるのがいいと思うので、ざっくり管理者か開発者かで、分岐を設けている。最後にラスボスのANSを受ける。
12冠達成する勉強方法
CloudLisence
これに尽きる。本番試験とほぼ同じ問題が多数出る。
月5000円のサービスで問題を解き、わからないところはBlackBeltを参照する。
最短で試験に合格したいなら、本番試験と近い問題を解くのが良い。
BlackBelt
無料のAWS公式サービス別資料。公式ドキュメントは英語をただ日本語に訳しただけの非常に冗長な資料だが、BlackBeltの資料はAWSの人がわかりやすくまとめてくれているので、理解しやすい。
基本的にはこの二つを行き来するだけ。
だいたい、一つの試験で300~500問解けば、十分受かる。
平均的にはこんな感じの生活を送る。休み時間やお風呂でちまちま解いていく。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
21問解く | 21問解く | 21問解く | BlackBelt | 21問解く | 21問解く | 21問解く |
21問解く | 21問解く | 21問解く | BlackBelt | 21問解く | 21問解く | 21問解く |
21問解く | 21問解く | BlackBelt | 本番テスト | 本番テスト | 本番試験 |
僕はSOAだけ、この方法ではパスできず、二回も試験を落とした。。。
その他の試験は、上記のルーティンで一発合格できた。
まとめ
12冠達成しても、主要サービスの知識はある程度網羅でき、サービス事例を見ても大体構成が理解できるが、実際に実装するとなると、公式ドキュメントを見ないと実装の仕方はわからない。やはり、実践が大事なので、これからは実装メインでAWSに触れていこうと思う。