私がObjective-C でのアプリ開発初心者の時にお世話になった大重美幸さんの「詳細! Objective-C iPhoneアプリ開発入門ノート」の Swift2 版です。
Swift1.2版も出ていましたが、Swift2 版になって 最新Swift の復習も兼ねて改めて見直してみました。Objective-Cの版では言語シンタックスよりも実際に動作するUIを使った実際に動作するアプリを作ることに重点が置かれていましたが、このSwift 版ではより言語シンタックスの解説にページが割かれています。これはSwift になってPlaygroudが使えることも影響しているでしょう。特に実際にはよく使われるけれども初心者には少し難しい「クロージャ」や「ジェネリクス」、「オプショネルチェイニング」や「イニシャライザ」などもこのシンタックスの中で説明されているので、Swift のシンタックスをより深く学習することができます。ただし、iPhone アプリ初心者にとっては少し難解かもしれません。
Part3 のiOSアプリ作成の部分でもiOS9から導入されたSize クラスやStackView もしっかりと説明されていますから、最初の段階からUIの制約設定なども学ぶことができます。
書籍の構成としてはObjective-C の版からそれほど変わっていません。掲載されているサンプルは、それぞれのチャプターでの学習項目の動作を確認するにはよくわかり、リストもわかりやすくなっています。サンプルも豊富なので、実際のアプリを作っている時に似たような機能を使おうとする時に参考になります。Part3 のアプリ作成の部分はわかりやすく初心者向けになっていますが、その前のPart2 の言語シンタックスのボリュームが増えた分だけPart2 で挫折を味わう初心者も出てくるかもしれません。
初心者の方はPart2 と Part3 を並行して学習する方が進歩が実感できるかもしれません。
大重さんにはここから中級者に向けて言語仕様ではエラーハンドリングを取り上げ、プロトコルやジェネリクスをもっとしっかり解説し、プログラム作成ではEventKit やAddressBook などのより深いAPI を扱った中級者向けのノートを出していただければと思います。
あえて欠点を探すならば、まだ初版第1刷とはいえ本文中の誤記が少し多いように思います。