開発環境のセットアップもしっかり解説
Swift2.1に対応したiOSアプリ開発の入門書です。
今回は電子書籍版を見てみました。
この本は、iOSアプリ開発の教科書あるいは独習書として使えるような構成になっています。したがって開発環境の説明やセットアップについてもある程度しっかり解説されています。XCodeの画面や各種ツールについてもしっかり丁寧に解説されています。環境のダウンロードから実行するまでの環境周りでCHAPTER01とCHAPTER02を費やしていて、全体の15%程度を費やしています。
それぞれの項目をレッスン形式で実習をしながら進めるような構成になっていて、CHAPTERごとに簡単な練習問題をいれてあります。
最初はPlaygrroundで基本的な学習
CHAPTER03でSwiftの基本的な文法をCHAPTER04で基本的なUI部品の使い方をPlaygroundを使って学習するようになっています。UI部品の動作までPlaygroudで学習するようになった入門書は今までなかったように思います。
なお、文法の説明ではプロトコルやエクステンション、エラーハンドリングまで解説されています。この辺りまで来ると入門書としてはどうかなと思います。文法解説の章だから入れたのでしょうが、実際のアプリを作ってみていない状態だとなかなか実際にどう使うのかを理解するのは難しいのではないかと思います。プロトコルやエラーハンドリングについては、やはりもっと後の方で実際にそれらを使うアプリを例題にして解説した方が理解できるのではないかと思います。
アプリケーションは5本だけど幅広い技術を学習
CHAPTER05からは、章ごとに1本のアプリを作るようになっています。入門書とはいいながらCHAPTER06ではCocoaPodsやRealmを使うことまで解説されています。また、CHAPTER09ではSpriteKitを使うアプリまで用意されています。最後のCHAPTER10は付随的なアイテムとして、ローカライズとiAdが解説されています。
本書を最後までやると5本のアプリケーションができることになりますが、その中でかなり多く、幅広い学習内容があります。
それぞれの実習では、スクリーンショットをふんだんに使って、XCodeでの操作まで丁寧に解説されているので、この通りにやればまず問題なくアプリを作ることができます。一方であまりに操作の説明が懇切丁寧な割に、その操作で一体どういうことが行われているのかという点についての説明があまりないので、初心者には応用が難しいように思います。
最後に
最後のLESSON55では広告表示まで解説されている割には、最初の環境整備の段階でApple Developer Programについてはほとんど解説されていません。現在は、Deeloper Programの契約がなくても、Developer登録さえすればアプリの開発まではできるようになっているので、金銭が絡んでややこしいDeveloper Programは解説を省略したのでしょうが、iAdのようなアプリストアに公開することが前提の機能を説明しながらDeveloper Programを解説しないのはちょっと片手落ちではないでしょうか?
とりあえず、最後のLESSON55までやりきれば、なんだか動作するアプリが5本できてしまいましたというような入門書です。