概要
応用情報技術者試験に出題されうる、経営分析に関するワードについてまとめました。
目次
売上や利益について
- 売上高
- 原価
- 売価
- 定価
- 売上原価
- 製造原価
- 粗利 (売上総利益)
- 販売費
- 一般管理費
- 営業利益
- 営業外収益
- 営業外費用
- 経常利益
- 特別利益
- 特別損益
- 税引前当期純利益
- 純利(当期純利益)
- 予算
- 予算達成率
決算書について
売上や利益について
利益
儲けを得ることを指します。
会社にとって利益は5種類あり、以下の計算で算出できます。
- 粗利 (売上総利益) = 売上高 - 売上原価
- 営業利益 = (1の計算結果) - 販売費及び一般管理費
- 経常利益=(2の計算結果)+ 営業外収益 - 営業外費用
- 税引前当期純利益=(3の計算結果)+ 特別利益 - 特別損益
- 純利(当期純利益) =(4の計算結果)- 法人税等
参考:粗利益とは?計算方法や目安・純利益との違いをわかりやすく解説
売上高
商品やサービスを販売することで得た収入の総額のことです。もちろん、販売する際に割引価格を設定した場合は、割引価格分は含みません。(実際に得た収入部分が売上高の計算に含まれます)
「売上高」の語源が気になったので調べてみましたが、あまり情報がヒットしませんでした。
「売上」はもちろん「売り上げる」ことからきていると思いますが、「高」は生成AIで聞いてみたところ、明確な定説はないが、売上額が積み重なって高い金額になる様子かららしい、ということでした。
原価
商品を製造したり、販売するときに掛かる費用のことです。
飲食店なら、食材の仕入れに掛かる金額や、食べ物を作った人の人件費も含まれます。
ものを販売する際は、しっかり原価を求めないと、売価を決めることができません。原価より売価が低いと、いくらものを売っても赤字のままになってしまいます。
売価
お店で商品を売るときの値段のことです。原価より多く売価を設定することで売れれば利益に繋がりますが、集客率アップをはかるため、売価を原価に近づけるという戦略もあります。
定価
製造したメーカーによってあらかじめ決められた価格のことです。
自由市場では取引の価格を縛るのはルール違反という考えがあるため、定価で販売することを強制するのは認められていないません。
逆に定価販売が義務付けされているものは、「たばこ」があります。その他、新聞や本、CDなどの著作物も、文化振興を促すため、全国で価格を統一する形がよいとして、定価で販売されています。
売上原価
売上げた商品の製造や、仕入れに直接的にかかった費用のことをいいます。
売り上げの為に掛かった原価ということになります。
売上原価が小さいほど、粗利は大きくなります。
売上原価は売り上げた商品に対して計上されます。そのため、仕入れたすべての商品の原価というわけではありません。売れ残った商品の製造や仕入れに掛かった費用は含まれません。
製造原価
売上原価が「売り上げた商品の製造やサービスにかかった費用」になるのに対して、製造原価は商品やサービスを製造するために掛かる費用や原価のことです。なので、製造原価は売上に関与していません。
粗利
売上総利益ともいいます。売上から、その売上に直接かかった経費を引いたもののことをいいます。(売上高から原価を引いたものです)
例えば、1000円で仕入れたものを750円で売れば、250円が粗利になります。
「粗利」自体は「粗利益」の略です。
比較されるものとして、純利益というものがあります。
純利益は税金等も含めてしっかり計算して、決算の結果等で算出します。粗利益は「粗」という文字通り大まかな利益として、「売上高 - 原価」の計算ではじき出す利益のことです。
販売費
販売費とは、商品を販売するためにかかる費用のうち、原価に関わらない費用のことです。例えば、商品を売るための営業活動や宣伝活動、広告費用も該当します。
一般管理費
企業を運営するための一般管理業務を行うために必要な費用のことです。例えば経理や総務など、間接業務を行っている人の人件費や、文房具、コピー用紙といった消耗品も含まれます。事務所の家賃や水光熱費も含まれます。なので原価や販売費などとは違い、商品の販売とは直接関係は無く、一般管理費は固定費であることが多いです。一般管理費が少ないほど、企業的には利益が大きくなります。
営業利益
企業が本業で稼いだ利益のことです。
その企業の収益性や営業効率を測るための目安になります。
営業外収益
営業外収益とは、企業が本業以外で稼いだ利益のことです。本業以外の財務活動で、定期的な収入を得ている企業は多く有ります。
例えば不動産の家賃収入や、預貯金の利息などが該当します。
営業外費用
営業外費用とは、本業以外によって発生した費用です。
本業以外で稼いだ利益を営業外収益といいますが、本業以外で発生した費用を営業外費用といいます。
経常利益
企業の本業で稼いだ利益 (営業利益) に加えて、本業以外で稼いだ利益を足したものが経常利益です。
営業利益は本業の収益性がわかりますが、経常利益は企業全体の収益性を示す指標になります。
特別利益
通常の企業の活動とは直接関係がない、一時的な利益のことを指します。例えば、固定資産の売却益や保険金の受取などが含まれます。営業外利益との違いは、営業外収益と同じく本業以外の利益ですが、営業外収益は本業以外でも継続的に利益があるもののことを指しますが、特別利益はその時だけの一時的な利益のイメージで、非反復的な利益のことを指します。
特別損益
特別利益の損失パターンで、一時的な損失のことを指します。例えば災害による損失で発生する費用や、リストラ費用などです。
営業外費用との違いも特別利益と同じく、継続的か否かで区別されます。
特別利益や特別損益は通常の企業の活動からは発生しないもののため、経常利益とは別に計上されます。別に計上することで、企業の本来のパフォーマンスと、一時的な要因による収益を明確に分けることができます。
※特別利益と特別損益を含めたものは、次項の税引前当期純利益が該当します。
税引前当期純利益
企業の最終的な利益を示す指標の一つです。
この指標では、企業が税金を支払う前の段階でどれだけの利益を上げたかがわかり、企業の全体的な収益性を把握することができます。
純利
「純利益」とも呼ばれます。正式には、「当期純利益」といいます。
こちらの計算式のように、粗利は(1)の計算のみで出していますが、純利を出すには(5)まで計算しないといけません。
これは、企業の最終的な利益を示すもので、株主に対する配当や内部留保に回される金額の基礎となります。
予算
一定の期間内での、収入と支出を計画的に示したもののことです。その企業、または部、課などがどのくらいお金を使えるか、または稼げるかを示すための指標になります。
予算達成率
企業が設定した予算に対して、実際にどれだけ達成できたかを示す指標です。以下の計算式で算出できます。
- 予算達成率 = 実際の売上 ÷ 予算 × 100
ここでいう予算は一定期間内でどのくらい稼げるかという指標を設定しているので、「目標」みたいなニュアンスがあります。
決算書について
決算書 (財務諸表)
企業が一定期間 (1年間が一般的です) の事業活動の結果をまとめた報告書のことです。決算書をみることで、その企業の経営成績や財務状況を確認することができます。企業の成績表といえるかもしれません。
決算書には主に、
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
があります。上記の3つは決算書の中でも特に重要で、「財務三表」とも言われます。
一般的に決算書は、決算期 (企業が1年間の事業活動を区切る時期) の終了後2ヶ月以内に発行されます。
また、上場企業は決算書の内容を元に株主総会を開催するのが一般的のため、株主総会までに決算書は完成しておく必要があります。
決算書は、新しく作成された一つのものだけを見るのではなく、過去の決算書と比較して成績がどのように変化していくかを確認することも大切です。
また業種によって決算書内の重要な項目が変わってくるので、そこも抑えておく必要があります。
決算書という呼び方は通称で、本来は金融商品取引法では「財務諸表」、会社法では「計算書類」と呼ばれます。
財務諸表と計算書類はどちらもそういう名前の書類があるわけではなく、特定の書類の総称になります。
財務諸表が指す書類
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
- 株主資本等変動計算
- 附属明細表
計算書類が指す書類
貸借対照表と損益計算書、株主資本等変動計算書はどちらの決算書にも含まれます。
参考:財務諸表と決算書の違いは?決算報告書の種類や特徴を比較表つきで解説
事業年度、決算期、決算日
企業は、1年間の事業活動を区切るために「事業年度」という期間を設定します。その一定の期間を事業年度といい、事業年度の最終日を「決算日」と呼びます。
※決算日は、企業が自由に設定することができますが、一度決めた決算日は、簡単に変更することはできません。また、決算日を事業年度最終日から5日前くらいに設定している会社もあります。
決算期という言葉もありますが、これは事業年度とほぼ同じ意味で使用されます。ただ、事業年度の最終月 (決算日がある月) のことを指して使われることもあります。
簿記
財産の増減をあらかじめ決められた方法で記録や計算していくことを言います。
単式簿記
ひとつの勘定項目について、その増減を記録、集計する方法です。お金がどのように増減したかを記録するお小遣い帳や家計簿、銀行の預金通帳が単式簿記の形式になります。
複式簿記
お金を「取引」と考えて、お金の出入りと資産の増減を同時にみることができるようになっています。
左側を「借方」、右側を「貸方」と呼び、取引ごとに左と右に分けて記録していきます。このように、取引を「借方」と「貸方」に分けて記載することを「仕訳」といいます。
参考:複式簿記とは?単式簿記との違い・決算書との関係【初心者向け】
「借方」「貸方」を左右のどちらに記載するかの覚え方としては、「かりかた」「かしかた」とひらがなに直して異なる部分の「り」と「し」を抜き出し、「り」を書くと最後に左側に払うから「借方」、「し」は最後に右側に払うから「貸方」と覚える方法があります。
財務三表の「貸借対照表」や「損益計算書」は複式簿記の形式で記載されます。
貸借対照表
「たいしゃくたいしょうひょう」と読みます。「Balance sheet」を略して「B/S」とも言われます。
企業の決算日の時点の、資産・負債・純資産の3つで財務状況を示す書類になります。その時点の企業の財務状況を切り取ったイメージです。借方 (左側) には「資産」、貸方 (右側) には「負債」と「純資産」を書きます。これを作成することで、会社の財務状況が健全か把握することができます。
資産が多いことがわかれば、その企業はそれだけ多くの資源を持っていることが把握できます。
資産の部の合計は、負債の部・純資産の部の合計と等しくなることから、、「B/S(ビーエス)」と呼ばれます。
※こちらのサイト様でキャッシュフロー清算書のサンプルをダウンロードできます。
損益計算書
一定期間 (一般的には一年) の企業の経営成績を表す表です。「Profit and Loss Statement」を略して「P/L」とも言われます。
期間中の企業の収益と費用の動向を追跡でき、その結果でどれくらいの利益が出たかを算出します。利益が増加していることがわかれば、企業は順調に成長していっているとわかります。
※こちらのサイト様でキャッシュフロー清算書のサンプルをダウンロードできます。
キャッシュフロー計算書
「Cash Flow Statement」を略して「C/F」とも言われます。
企業の一定期間における現金の流れを示す表です。これにより、企業がどのように現金を得て、どのように使用したかを明確に把握することができます。
※こちらのサイト様でキャッシュフロー計算書のサンプルをダウンロードできます。