AWS(Amazon Web Services)では、IAM(Identity and Access Management)を使用してユーザーやサービスの権限を管理できます。しかし、不適切な権限設定は、過剰な権限付与や不正アクセスなどのセキュリティリスクを引き起こす可能性があります。
本記事では、AWS IAM の基本概念、よくある権限管理のミス、ベストプラクティスについて解説し、適切な権限管理の方法を紹介します。
✨ 1. IAM の基本概念
AWS IAM では、AWS リソースへのアクセス権限を管理するために、以下の要素が使用されます。
- ユーザー(User):特定の個人を表し、それぞれに異なる権限を付与可能。
- グループ(Group):複数のユーザーをまとめて権限を管理。
- ロール(Role):特定のユーザーに紐づかない、一時的な権限を付与可能。
- ポリシー(Policy):JSON 形式で記述されるアクセス制御ルール。
IAM を適切に活用することで、組織全体のセキュリティ管理を強化できます。
✨ 2. IAM 権限管理のよくあるミス
✅ 過剰な権限付与
利便性を優先し、AdministratorAccess
や *
(ワイルドカード)を使用するケースが多く見られます。これは重大なセキュリティリスクとなります。
❌ 誤った設定例
{
"Effect": "Allow",
"Action": "*",
"Resource": "*"
}
✅ 対策
- 最小権限の原則(Least Privilege) を遵守し、必要最小限の権限のみを付与する。
- 具体的なアクションとリソースを指定する。
✅ ルートユーザーの使用
AWS のルートユーザーは、すべての操作が可能な特権アカウントです。日常的な操作で使用するのは避けるべきです。
✅ 対策
- IAM ユーザーを作成し、適切な権限を割り当てる。
- ルートユーザーには MFA(多要素認証) を有効化する。
✅ 権限の定期的な見直し不足
不要な IAM ユーザーやポリシーが放置されると、セキュリティリスクが高まります。
✅ 対策
- IAM Access Analyzer を活用し、不要な権限を検出。
- 定期的に IAM 設定を監査し、不要な権限を削除。
✨ 3. IAM のベストプラクティス
✅ 最小権限の原則(Least Privilege)
ユーザーやロールには、業務遂行に必要な最小限の権限のみを付与します。
✅ 推奨事項
- AWS の 管理ポリシー(Managed Policies) を活用し、過剰な権限を避ける。
-
*
(ワイルドカード)を極力避け、リソースを具体的に指定する。
✅ 例(S3 の特定バケットの読み取り権限のみを付与)
{
"Effect": "Allow",
"Action": "s3:GetObject",
"Resource": "arn:aws:s3:::example-bucket/*"
}
✅ MFA(多要素認証)の有効化
MFA を有効にすることで、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
✅ 設定手順
- AWS マネジメントコンソールで IAM に移動。
- ユーザーを選択し、MFA を有効化。
- Google Authenticator などの認証アプリで QR コードをスキャン。
✅ IAM ロールの活用(長期的なアクセスキーの使用回避)
AWS のリソースにアクセスするアプリケーションには、IAM ユーザーのアクセスキーを使うのではなく、IAM ロールを使用するのが推奨されます。
✅ 例(EC2 インスタンスが S3 へアクセスする場合)
- IAM で
AmazonS3ReadOnlyAccess
ロールを作成。 - EC2 インスタンスに IAM ロールをアタッチ。
- アプリケーションは
AWS SDK
を通じて自動的に権限を取得。
✅ IAM Access Analyzer の活用
AWS が提供する IAM Access Analyzer を使えば、過剰な権限が付与されているリソースを検出できます。
✅ 有効化手順
- IAM マネジメントコンソールで Access Analyzer を有効化。
- 解析結果を確認し、適切な修正を実施。
✨ 4. まとめ
✅ AWS IAM の適切な管理は、クラウド環境のセキュリティを維持するために不可欠 です。
✅ 過剰な権限の付与を避け、定期的な監査を行い、最小権限の原則を適用する ことで、権限の乱用を防げます。
✅ IAM 設定の見直しや MFA の有効化、IAM ロールの活用 など、基本的なベストプラクティスを実践しましょう。
AWS IAM を適切に活用し、安全で効率的なクラウド環境を構築しましょう!💡
AWS IAM に関する質問があれば、ぜひコメントでお知らせください!