#概要
本投稿は,APTを用いてUbuntu 16.04にoneAPIを導入する手順をまとめたものです.ただし,Operating System Requirementsにある通り,oneAPIはUbuntu 16.04を公式サポートしていないので自己責任でお願いします.
UbuntuのLong Term Support(LTS)版はすでに20.04まで出ています.したがって,「えっ,今更16.04??」とか,「そんなの,OSアップデートすればいいだけじゃん……」と思う方もいるかと思います.(ごもっともです.)
しかし,組織のポリシーや,ワークステーション(WS)購入時の保証,他ソフトウェアの問題でアップデート不可,といった問題で,未だ16.04を使い続けている方も多いはずです.実際私も,今年度導入した某HPC向けSIer製造のWSにUbuntu 16.04がインストールされており,いろいろな兼ね合いもあって致し方なく16.04のまま運用している次第です.Ubuntu 16.04だけどoneAPI試したい,そんな方々のお役に立てれば幸いです.
#インストール方法
実は,Intelが公開しているInstalling Intel® oneAPI Toolkits via APTの通り実行すれば,APTリポジトリの追加までは滞りなく実行できます.日本語によるインストール解説はすでに,implicit_noneさんの記事がありますが,本投稿でも解説します.
なお,インストールの前にoneAPI β版のアンインストールを実施する手順がありますが,本投稿をご覧の方には不必要な作業かと思いますので省略致します.また,GPGPUを行う場合はドライバのインストールが必要となりますが,Ubuntu 16.04でのインストールを確認していないので,こちらも本投稿では省略致します.
1. Intelリポジトリの公開鍵を入手する
cd /tmp
wget https://apt.repos.intel.com/intel-gpg-keys/GPG-PUB-KEY-INTEL-SW-PRODUCTS.PUB
公式ページに従い,/tmpで作業を実施しています.
2. APTのキーリングに公開鍵を追加する
sudo apt-key add GPG-PUB-KEY-INTEL-SW-PRODUCTS.PUB
rm GPG-PUB-KEY-INTEL-SW-PRODUCTS.PUB
公式ページに従い,入手した公開鍵は最後に消去しています.
3. APTがIntelリポジトリを認識するよう設定する
echo "deb https://apt.repos.intel.com/oneapi all main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/oneAPI.list
ここまでは公式ページと同様の手順です.
4. CMakeリポジトリの公開鍵を入手をする
wget -qO - https://apt.kitware.com/keys/kitware-archive-latest.asc | sudo apt-key add -
Ubuntu 16.04でoneAPIをインストールできない理由として,oneAPIのインストールに必要な最新のCMakeがUbuntu 16.04でサポートされていない点があります.そこで,Cmakeの最新バージョンをインストールできるように,KitwareのCMakeリポジトリを追加します.
5. APTがCMakeリポジトリを認識するよう設定する
sudo apt-add-repository 'deb https://apt.kitware.com/ubuntu/ xenial main'
6. APTのパッケージリストを更新する
sudo apt update
7. CMakeおよびoneAPIをインストールする
sudo apt install cmake
sudo apt install intel-basekit
ifortが必要な場合はIntel oneAPI HPCkitも必要です.
sudo apt install intel-hpckit
8. oneAPIのパスを設定する
source /opt/intel/oneapi/setvars.sh
APTによるインストールのみではoneAPIにパスが通らないので,上記コマンドの実行が必須です.bashrcにでも追記しておくと良いと思います.
以上でインストールは終了です.お疲れさまでした!
最後に
APTを用いてUbuntu 16.04にoneAPIを導入する手順をまとめました.私の環境では,上記の方法でiccとifortは動作確認できました.icc及びifort以外のツールに関しては動作確認未実施です.
冒頭にて述べましたが,oneAPIはUbuntu 16.04を公式サポートしていないので自己責任でお願いします.
APTによる管理ができるようになったため,shellによる方法と比べアップグレード作業が楽になりそうですね.