はじめに
Webアプリケーションをはじめ、モノづくりにおいて「品質」という言葉をよく耳にします。これは製品の信頼性を高め、顧客満足度を向上させる上で必要な概念です。ただ、具体的にどのような種類があるのか知らない方も多いのかと思います。この記事では狩野モデルという「品質の3要素」を紹介し、それにWebアプリケーション開発の例を当てはめながら、3要素に対する個人的意見を述べています。
この3要素を知ることで、プロジェクトの品質について考え直したり、ユーザーの満足度向上につながるヒントを得られるかもしれません。
品質の3要素とは?
品質の3要素とは以下のグラフで示される通り、主に当たり前品質、一元的品質、魅力的品質の3つがあります。この図式は世間一般的に狩野モデルと言われています。
それでは、1つずつ簡単に見ていきます。
1. 当たり前品質
当たり前品質は、ユーザーが「これがないと使えない」と感じる基本的な要素です。もしこれが欠けていると、ユーザーは不満を抱くことが多いです。
具体例: ユーザー認証機能のセキュリティ
Webアプリケーションを作る上で、ログイン機能やユーザー情報の管理は必要不可欠ですよね。その際、セキュリティが担保されていないと、どんなに他の機能が充実していてもユーザーは安心して使えません。パスワードの暗号化や適切な認証フローの設計など、セキュリティに関する部分は「当たり前品質」としてしっかりと考えるべき要素だと思います。
2. 一元的品質
一元的品質は、ある要素の品質が高まるほどユーザーの満足度も上がる要素です。反対に、低いと不満につながることもあります。
具体例: ページの読み込み速度
例えば、Webアプリケーションのページがすぐに表示されると、ユーザーにとってはとても心地よい体験になりますよね。ページの読み込み速度が速ければ速いほど「使いやすい!」と感じますし、逆に遅いと「なんだかストレスがたまるな...」と思ってしまいます。ページ速度を改善することは、一元的品質として直接ユーザー満足度に影響を与えるポイントになるので、意識しておくべきです。
3. 魅力的品質
魅力的品質は、ユーザーが「こんな機能があったんだ!」と感じるような要素です。無くても不満はないけれど、存在すると嬉しいという、まさに「魅力的」な要素です。付加価値という言われ方をすることもあります。
具体例: 作業をサポートするヒント機能
例えば、タスク管理アプリで、ユーザーの作業パターンを分析し、「こういうやり方もありますよ」といったヒントを表示する機能があったらどうでしょう? 必須ではないけれど、こうしたアシスト機能があると「このアプリ、すごく親切だな!」と感じるはずです。ユーザーにとっての新しい発見や意外な便利さを提供できる要素が、魅力的品質です。
これらの3要素とどう向き合うか
これらの3要素をWebアプリケーション開発などにどう向き合うかについて、私なりの考えをシェアします。
当たり前品質をまずは確保
ユーザーがアプリケーションを安心して使えるように、セキュリティやバグを発生させない開発が大切だと思います。特にセキュリティなど、ユーザーが安心・安全にwebアプリケーションを使えるように、特にお客様からの要件になかったとしても自発的に考えて取り入れることで、必要最低限の品質を担保できる開発をしていく必要があると思います。
一元的品質を向上させる
パフォーマンスや操作性の向上などが挙げられます。ページの読み込みが速い、フォーム入力がスムーズ、操作が直感的など、痒いところに手が届いている製品がこれに当たるのかと思います。
これを常日頃から意識して開発できるようにするには自分が作成したアプリと世の中の様々なwebアプリケーションを比較して「このアプリのこの部分は自分が作ったものより優れているな」など気づきを得ながら、その感度を向上させ、次の開発に取り入れるなどの取り組みが必要だと思います。
魅力的品質は日頃から人を喜ばせることを考えて鍛える
ユーザーやお客様を喜ばせるにはどうしたらいいかを日頃から考えられるようにする必要があります。アプリを使うのは大半が人であるため、人を喜ばせるための発想力が必要だと思います。ただ、そうはいってもなかなか簡単に鍛えられるものでもないと思います。
そのため、webアプリ開発といった狭い範囲だけで鍛えようとするのではなく、まずは身近な人(家族や会社の仲間など)をまず喜ばせるなどからそれを意識することを習慣化し、次のステップで自社を喜ばせるにはどうしたらいいか、最終的にその先のお客様を喜ばせるためにはどうしたらいいかというように発想の幅を広げて鍛えていければいいかなと思います。
まとめ
品質の3要素(当たり前品質、一元的品質、魅力的品質)は、Webアプリケーション開発において役立つ考え方だと思います。私自身はまだまだ学びながらですが、これらの要素を常に考えながら開発を進めることで、ユーザーやお客様にとってより良い体験を提供できるエンジニアになっていきたいと思います。
皆さんも、ぜひ自身のプロジェクトに投影して考えてみてください。これからもより良いアプリケーションを作っていきましょう!