はじめに
本記事はゼットスケーラー株式会社としては初のAdvent Calender 2023 1日目の記事です。
本記事では、Zscaler のトラブルシューティングツールの1つ、ip.zscaler.com について解説します。
以下の免責事項をご理解の上、記事を読んで頂けると幸いです。
免責事項
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ip.zscaler.com と確認くんは何が違う?
- ip.zscaler.com
Zscalerのトラブルシューティングツールです。
Zscalerを利用しているユーザーのデバイスから https://ip.zscaler.com/ にアクセスします。
アクセスすると、ユーザーのデバイスがZscalerを経由した通信を行っているかどうか、またZscalerを経由した後のグローバルIPアドレスを確認できます。
- 確認くん
ご存知、自分のグローバルIPアドレスを確認する時に利用される有名サイトです。
Zscalerの利用に関係なく、「自分のIPアドレスなんだっけ?」という時には、ブラウザから https://www.ugtop.com/spill.shtml にアクセスして簡単に確認ができます。
自分のグローバルIPアドレスを確認する、という意味だと同じ目的のツールです。
しかし、ip.zscaler.com には自分のグローバルIPアドレスを確認する以外にも、Zacalerでのトラブルを切り分けをするための情報が含まれています。
以下の比較から違いを解説していきます。
ZIAにログインしていない状態での比較
ZCCでZIAにログインしていない状態で、それぞれのサイトにアクセスします。
スクリーンショットのグローバルIPアドレスにモザイクを掛けているので分かりにくいですが、どちらも同じIPアドレスが表示されています。
つまり、ZIAにログインしていない状態だと、違いは感じません🤔
ip.zscaler.com
確認くん
ZIAにログインしている状態での比較
今度はZCCでZIAにログインしている状態で、それぞれのサイトにアクセスします。
今度は違いが出ており、ip.zscaler.com はグローバルIPアドレスがたくさん出てきて、確認くんはシンプルにZscalerを経由したグローバルIPアドレスのみが表示されます。
ip.zscaler.com
確認くん
ip.zscaler.com はどんな情報を表示しているのか
上のip.zscaler.comのスクリーンショットを解説します。
You are accessing the Internet via Zscaler Cloud: Tokyo IV in the zscalertwo.net cloud.
Zscaler Cloud 経由でインターネットにアクセスしている時のクラウド名と地域が分かります。
上記場合ですと、このようになります。
- クラウド名 : zscalertwo.net
- 地域 : Tokyo Ⅳ
ちなみに、この情報からでもZscalerのIPレンジが掲載されている config.zscaler.com でIPレンジは分かります。
そうすると、Tokyo Ⅳ で使われている IP Address (CIDR Notation) と Proxy Hostname が書いています。
私のデバイスはTokyo Ⅳのプロキシ tyo4.sme.zscalertwo.net を利用していて、インターネットEgress(IPv4)は 165.225.110.0/23 もしくは 167.103.28.0/23 のいづれかが使われるようです。
Your request is arriving at this server from the IP address X.X.X.X
The Zscaler proxy virtual IP is 165.225.110.34.
The Zscaler hostname for this proxy appears to be zs2-tyo4-1e4-sme.
The request is being received by the Zscaler Proxy from the IP address Y.Y.Y.Y
Your Gateway IP Address is Y.Y.Y.Y
①は、ip.zscaler.com にアクセスしたグローバルIPアドレスです。
外部から見たときのインターネットEgress(IPv4)に該当します。
こちらは確認くんにアクセスしたときと同じグローバルIPアドレスが表示されます。
②はProxy Virtual IPアドレスです。
プロキシは先程確認した Tokyo Ⅳのプロキシ tyo4.sme.zscalertwo.net です。
このプロキシのIPアドレスなのですが、こちらに表示されているのはそのVIPのようです。
しかし、同じデバイスで tyo4.sme.zscalertwo.net の正引きをすると、
$ dig tyo4.sme.zscalertwo.net +short
165.225.110.16
となり、ip.zscaler.comで表示されたVIP 165.225.110.34 と違っています。
これは少し不思議です。
ip.zscaler.com と私のデバイスでVIPの正引きが異なっていることになります。
おそらく、ip.zscaler.com は何らかのロジックで「あなたのVIPはこれでは?」と推測して表示しているのかもしれません。
なお、VIPの仕組みは Multi-Cluster Load Sharing によって説明があるので、良ければこちらをご参考にしてください。
③ Zscalerのプロキシサーバの内部ホスト名です。
このプロキシサーバの内部ホスト名をなぜ ip.zscaler.com が理解しているのかが不思議ですが、英語の表現でも The Zscaler hostname for this proxy appears to be
とある通り、「このプロキシの内部ホスト名はこれっぽい」というニュアンスとなっています。
やはり、ip.zscaler.com には先程のVIPと同様に利用しているプロキシサーバの内部ホスト名を推測するロジックを持っていそうです。
確認くんのサイトには、この様な情報は表示されないのです。
④と⑤はほとんど同じものになると思いますが、ユーザーデバイスがZscalerを経由する前のグローバルIPアドレスです。
ip.zscaler.com がXFFで受け取った値を利用して表示していると思います。
まとめ
ip.zscaler.comと確認くんは同じようにユーザーのデバイスのグローバルIPアドレスを確認するサイトではあるのですが、確認くんでは分からないようなZscalerプロキシの情報も ip.zscaler.com は表示しています。
このような情報はユーザーが直接利用するものではないものの、Zscalerのサポートがトラブルシューティングを早くするために必要となる情報になります。
そういう目的で作られているツールですので、サポートに問い合わせをする際には確認くんではなく ip.zscaler.com を利用しましょう。