1.この記事の背景
あらゆるところでDXの波がきています。お仕事で医療分野の勉強をする機会も今年はありました。
まだまだうすぅ~い理解レベルですが、勉強したことをまとめたいと思います。
2.デジタルヘルスとは
Digital Healthcareのことで、文字通り、デジタル技術をヘルスケア分野に導入してサービスを行うことを指しますが、
「東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究部」の「デジタルヘルス解説集」によると下記のような考え方です。
ヘルスケアとは一般に、健康維持や増進のための行為、健康管理のことを指す言葉だが、ここ近年、実際としてはフィットネスといった健康な人の活動や予防のための取り組みから、疾患からの回復を目指す医療行為まで幅広い範囲を指すようになっている。すなわち改めて「デジタルヘルス」を定義するなら、デジタル技術を活用し、予防から治療、回復まで、健康を維持あるいは取り戻すためのすべての行為と言えるだろう。
3.各国の状況
日本でも、オンライン診療やロボットによる手術など、少しずつ浸透してきています。
アクセンチュアのレポート「日本におけるデジタルヘルスのいま~グローバルサーベイにみるデジタルヘルス活用の現状と課題」(2022年2月公開)に
しかし、各国と比べると浸透もそもそもの利用意向も低い水準です。
(アクセンチュア「日本におけるデジタルヘルスのいま~グローバルサーベイにみるデジタルヘルス活用の現状と課題」p.21より抜粋)
4.なぜか?
(1) ポジティブ要因
・病院へのアクセスが悪くない
・先生と対面で話すことで安心感が得られる
・病院サービスに満足している(病院の環境、医療従事者の対応)
(2) ネガティブ要因
・データ管理への不信感(セキュリティ)
・AI技術への不信感
・対面診療の方が信頼性、安心感がある
・そもそもよくわからない、理解できない
5.デジタルヘルス発展に必要なこと
(アクセンチュア「日本におけるデジタルヘルスのいま~グローバルサーベイにみるデジタルヘルス活用の現状と課題」p.21より抜粋)
考察にあるように、「行動変容促進」がキーになると思います。
そこで、「4.なぜか?」の内容を紐解くと、「経験がない」「なんか信じられない」といった感情部分が大きな部分を占めています。
そこで、下記4点を挙げてみます。
・まず「経験してもらう」ために行政が主導すべき
健康診断の一部など、病気になっていなくても医療サービスを受けるときにデジタルヘルスファーストにしてみるなどして、経験値を増やせる工夫をする。
デジタルヘルスファーストは、デジタルヘルスオンリーではないことに注意(臨機応変な対応が必要)
・地元の医療機関へのデジタル支援も積極的に行う
医療機関がそれぞれが同じ苦労をしていては時間とお金の無駄なので、共有化し効率的に進められるよう、国や行政がデザインすべき
・実際は民間が主力となり、行政がバックアップという構図を作るのがよさそう
・成功事例を作って、気運を高める工夫が必要
6.デジタルヘルスの可能性
項目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
格差是正 | 僻地でも都市部と同等のサービスが受けられる | オンライン診断、遠隔治療 |
コスト減(医療従事者) | データ自動処理により事務作業コスト減 | 患者による電子入力、ウェアラブルデータ連携 |
コスト減(患者) | 時間コスト減 | 必要なときだけ通院することで、移動にかかるコストや待ち時間コスト減 |
コスト減(医療従事者) | データ自動処理により事務作業コスト減 | 患者による電子入力、ウェアラブルデータ連携 |
コスト減(医療費) | 収集データの分析結果から早期対応が可能になる | 普段の状態管理がデータ化されることにより早期発見につながり、各事象に対して医療費の抑制が実現する |
新たな価値 | 収集データからの新発見 | 受診時以外のデータも蓄積されることで、データ推移を確認し新たな発見が生まれる、データを多くの専門家で共有されることで新たな発見が生まれる(匿名データ) |
病気になると心も弱るほか、単に体だけを直せばいいということではなく、いろいろな問題が複合的に絡み合います。そういう意味でも医療従事者との信頼関係は重要です。
デジタルヘルスと従来の診療の良いとこ取りのハイブリッド型をめざすのが今後幸せになる未来かもしれません。